第4話
「……っと、こんなことしてる場合じゃないな。早く行かないと入学式から遅刻する」
ベッドの上で羞恥に悶ているミラに声を掛け、ミラが影に入ったことを確認し、荷物を持つと戸締まりをして学校へ向かうのだった。
これから幾度も通ることになる通学路を歩き、俺は遂にゲームの舞台にもなる月谷学園の前に立っていた。
《どうした主殿?早く入らないのか?》
ゲームで見た一枚絵と同じ光景をリアルで見ていることにちょっとした感動を感じていると、影の中から念話でミラが話しかけてきた。俺は念話で《これまでの努力を思い返して感慨深くなってただけ》と返すと、門を通り抜け、月谷学園へと足を踏み入れたのだった。
入学式の会場となる大講堂には、すでに来ていた他の生徒たちが出身校、出身地域ごとに並んだパイプ椅子に行儀よく座っていた。俺はたった一人分の椅子しかない場所へと行き、そこに腰を下ろした。
この有様を見せつけられ、俺は改めてウチの中学から月谷学園へ進学できたのは俺だけなのだと、中学時代の親しかった友人達を思い浮かべながら式が始まるのを待ってると、舞台袖からサンタクロースのような立派な髭を垂らしながら、のそのそと現れた。
「やっぱりリアルでもあんな感じなのか、サンタクロース校長って」
ゲームでも度々ネタにされてきた月谷学園のサンタクロースこと、
そこから長々とした校長の話だったり、主人公のライバルになる学年主席の答辞だったりがあり、無事に入学式を終えたのだった。
「いや……運命の悪戯ってあるんだな」
《いきなりどうした主殿。何か問題があったのか?》
入学式が終わり、それぞれのクラスでHRがある為、自分のクラスの確認のために玄関へと来た俺は、張り出されていたクラス表を見て、ついそう呟いてしまった。そんな俺の呟きを拾ったのか、影の中からミラから念話が届いた。そこから心配するような声色が見えたので、俺は頭を振りながら念話で影の中にいるミラに答えるのだった。
「問題は無い。……いや、問題と言ったら問題か?なんせ主人公達と同じクラスなんだからな」
俺の視線の先にあるクラス表、2組と書かれたその表には俺の名前『山田明人』とそのすぐ上にゲームの主人公のデフォルトネーム『
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