~ 第7話 過去の罪 ① ~

授業終了を知らせるチャイムが鳴り響き、生徒たちが放課後の遊びに行く約束やこれから部活だろうと思われる運動部たちの騒がしい音と声が廊下に頬を打つように響く。

そんなどこにでもある校舎の屋上で一人の女子生徒がフェンスの向こう側に立っている。

よくよく見れば、その女子生徒の顔には、うっすら化粧をして誤魔化しているがそれでも隠しきれないアザが顔の至るところにできいて、服のしたも同じようなアザがあるのが想像できる。

「これで、やっと解放される。もう、あいつらに会うことないんだ。」

女子生徒は、そう言うと屋上から飛び降りた。

落下していくなか、今までの事が次々と浮かんでくるこれが走馬灯というものなのだろうか。そんなか、ある一人の顔を思い浮かべる。


「・・・武流くん。」


今日の放課後クラスメイトの一人が死んだ。


    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


半年前ー。

結月ゆづき一緒に帰ろ。」


「うん、いいよ。」

私の名前は花森はなもり結月、普通の何処にでもいる中学生三年生だ。父親は、普通のサラリーマンで母親は、たまにパートをいれている主婦。

そんな家庭で産まれた私は、勉強や恋愛などそんな普通の暮らしをしていてなかなか充実した生活を送っている。


「ーそれださ。ちょっと結月聞いてる?」

そう言って頬を膨らせながら聞くのは、同じクラスの女子で友達の柳原やなぎはら梨央りお

茶色に染めたショートボブが似合う十二分美少女と呼ぶのに差し支えない容姿の女の子だ。


「あっ、ごめんちょっとボーとしてた。それなんだっけ?」


「もー、しっかりしてよね。それで駆君って絶対私のことを好きだと思うんだよね。」


「そ、そうかな。」


「絶対そうよ。最近よく私に話しかけてくるし、一緒に帰ろうとか言ってくるんだよ?

絶対私のことが好きだって。」

自信満々にそう言う梨央に私は、苦笑いをする。


「梨央は、駆君のことが好きなの?」


「何言ってるの。あり前じゃんだってイケメンで頭も良くてスポーツ万能さらには性格も悪くないんだよ?もう、そりゃあ、好きになるでしょ。それにー」


「あれ、結月たちも今帰り?」


「あっ、駆君!」


さっきまでの人とは、別人の様に語尾にハートマークをつけ振り向く梨央。

さっきまでの声の違いに駆君と一緒に、帰っていた武流君が驚いて二度見する。


「今日部活が休みになったから。駆君たちも?」


梨央は、そう言うと駆君と楽しくしゃべり始める。

私は、本を読みながら歩いている武流君に話しかける。


「なに、読んでいるの?」


私の質問に武流君は、読んでいた本から顔をあげ、本のタイトルを見せる。


「出会い厨の、逆襲」


「・・・・・」


想像の斜め上をいくタイトルに思わず黙り込む。だが一周回ってどういう内容なのか気になった私は、武流君に聞く。


「へ、へぇーどういう内容なの?」


「出会い厨を取り締まる法律を出会い厨の主人公が壊す話。」


なに、そのクソみたいな本は・・・・。


「それ、面白いの?」


「いや、おもろんない。」


やっぱり面白くなかったみたい。


「面白くないのに買ったの?」


「これの、本編が凄い面白かったから面白いのかな?っておもって。」

そう言って苦笑いする武流君。


「へ、へぇーその本編のタイトルは何て言うの?」


「リア充爆ぜろ」


「作者、カップルに何の怨みがあるのよ!!」

もはやタイトルとも呼べないタイトルにつっこむ。


「作者、幸せ税として税金払へって公言してるからね。」


「よく、ネットとかで炎上しないわね。」


私の言葉に武流君は、黙ってスマホのあるネット記事のコメント欄を見せてきた。


只今ただいま絶賛炎上中」


「・・・・・どうするのよこれ」

想像以上の炎上具合に思わず聞く。


「さぁ、ほっとけばいずれ収まるんじゃない?」


武流君はそう言いながらスマホになにやら打ち込む。


「何、打ち込んでるの?」


「・・・・リア充爆ぜろ。」


「火に油を注ぎ込むなっ!!」


頭を叩かれた武流君は、頭を押さえる。


「痛い。」







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