~第4話 弁当作り ② ~
買い物が終わり先輩の家にお邪魔した俺は、先輩と一緒にキッチンに立つ。
「そしたら、作りますね。」
キッチンの前に立った俺は、チキンライスをさっと作り、フライパンにとかした卵を流し込む。半熟状態になったら一旦火を止めて、さっき作ったチキンライスをのせる。形を整えたら
「これで完成ですね。今度は、教えながらやるので先輩が作ってみてください。」
案外、教えていると先輩は、手際よくオムライスを作っていく。
すると、俺の携帯が鳴り出す。
「先輩、電話に出るの少し席外しますね。」
「そうね。後は、私だけでも十二分よ。」
「そうですか。くれぐれも変なアレンジとかしないでくださいね。」
「わかっているわよ。」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「先輩、できましたか?」
「できたわよ。」
テーブルには、ケチャップがかけられているオムライスが二つ並んである。
「おっ、美味しそうですね。」
そう言って俺は、一口食べた。・・・辛い、むしろ口の中が痛い。
「先輩、オムライスの上に何をのせましたか?」
「えっ?これだけど?」
先輩は、俺に容器を見せる。
「先輩・・・それ、デ○ソースです。」
「!?」
ピタリと固まる先輩。そして、俺が食べかけているオムライスの皿に手を伸ばす。
「なにしようとしてるんですか?」
「えっ、食べれないんでしょ?なら、捨てようと思って。」
「なに、もったいないことしてるんですか。別に食べられないとは、言ってないじゃないですか。」
俺は、オムライスを再び食べだす。そんな俺にを見て先輩は、目を大きく開いたがすぐに微笑み《わらい》だす。
「そうよ。こんな美少女が作った料理よ感謝して食べなさい。」
「・・・先輩、限度というものを考えてくださいね」
二人は、笑いながらそんな冗談を言い合う。
先輩に、料理を教えて一週間がたった。
今日は、駆に弁当を渡す日だ。
「き、緊張するわね。」
「先輩、ここまできたんですからひよらないでくださいよ?それじゃ、作戦通りでいきますから。」
俺は、そう言って駆の席に近づいた。俺が近づいたことに気づいた駆は、俺に声をかける。
「今日のは、遅かったじゃん。今日の弁当は、なに?」
「いやぁ、その事なんだけど・・・すまん!今日弁当作るの忘れてた!」
弁当がないと知った駆は、慌てだす。
「やべっ。なら、急いで購買に行かないと。」
教室を出ようとする駆だが教室のドアの前で今度は、先輩と鉢合わせる。
「あら、駆くんじゃない。そんなに慌ててどうしたのから?」
「あっ、如月先輩。弁当忘れたので、今からちょっとダッシュで購買に行くんですよ。」
「そうなの。」
先輩は、さりげなく弁当を駆に渡す。
「実は、今日弁当作りすぎちゃったのよね。よかったら、食べる?」
その途端、賑やかだった教室が静まりかえる。
「・・・・えーと、気持ちは嬉しいんですが、遠慮しときます。」
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