第3話

 暗闇で泣いてる子供がいる。


 高速道路の橋桁に蹲っている。


 子供の前にはボロボロの仔猫の骸が横たわっている。


「何もしてあげられなかった」

子供はただ泣くことしか出来ないでいた。


 息が苦しくて飛び起きるとベッドが濡れる位に汗をかいていた。


「大丈夫?」

カナが心配そうに俺を見ている。

「あぁ」

「水いる?」

「ありがとう」

カナは水をくみにいった。


 俺は汗抱くのシャツを脱いでシャワールームへ向かった。

 冷たいシャワーを浴びていると水を持ったカナが入ってきて俺を抱き締めた。


 何も言わずに抱き合いながらシャワーを浴びた。


 カナが食パンとスクランブルエッグを作ってくれていた。


 二人で食べて近所の公園へ散歩に出掛けた。


 桜のような髪色をしたカナは、はしゃいでいた。俺は心では同じくらいにはしゃいでいるのにこの気持ちが終わってしまうのでは無いかと幸せを見ながら恐怖に怯えていた。


 出逢ったときと同じ時間のままで居たい。少しずつ近づくに連れてポツリポツリと黒い雨が降ってくる。真っ黒に染まりこの気持ちは塗り潰されていく、近づけば近付く程に遠くなる。それは互いに欲が出て来てそれを相手に被せてしまう言葉以上に求めてしまい言葉に出さなくても伝わっていると思い込み自分を苦しめてしまう。

 それが嫌なのである。

 言葉を交わすことが苦痛になり別れという無意味な選択肢が見え隠れしてくる。それを隠そうと心にしまい積もり積もって結局は無意味な選択肢へと向かってしまう。

 だから、出逢った瞬間のまま他人行儀で居たい。


つづく

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