第2話
はじめまして。私は、レイリー・イヤーレッドと申します。怒らず最後まで読むことをお勧めします。
まずあなたは、私の身代わりに私の召喚によって召喚されました。
なぜそんな事をしたかというと、この世界から逃げる為です。この世界は、「聖龍と英雄」というクソ小説の世界です。
小説の中の私は、クソ主人公に言われるまま魔法陣を使って交換召喚を行い、龍を違う世界に送りよわよわ龍を召喚してしまうのです。見た目は一緒、だけど中身が違う龍を倒し英雄となる主人公ですが、龍の加護がないこの地は破滅していくというお話です。
考え抜いた結果、その交換召喚を今自分の為に使って、地球に帰る事にしました。もちろん、あなたとしてですが。
ごめんなさいね。小さなあなたには、このお話は難しすぎるかもしれません。
ただ時間がなかったのです。5歳の誕生日を少し過ぎたころ、国王の使いがやってきて、不思議な力の持ち主だと恐れられ搬送される事になっていたものですから。
ですがきっと大丈夫。この「交換召喚」は、レイリーの能力なのであなたにはありません。
最後に、たぶん召喚された事によってこの世界に適合した体になっていると思います。なので言葉はわかるでしょう。
わかる範囲で、他の用紙にプロフィールを書いておきました。この世界に慣れたら読んでみるといいでしょう。
またこの文字は日本語で書かれており、他の人が見ても読めませんが、なくしても代わりはありません。
では頑張って下さい。
かしこ
「………」
なんだこれは? え? 私、召喚されたの? 夢じゃないの? うん? ちょっと待って。小さなあなたにはって……。
私は、自分の体を見てみた。これ子供かもしれない。地面まで低いと思ったら!
しかもパジャマだ。これも小さくなりサイズがぴったりになっていた。
え? どういう事? 私、高校一年生、15歳だったんだけど!!
しかし、5歳の子に宛てた手紙が漢字だらけとは。さすが夢。そうだって、彼女しか持ってない魔法みたいので召喚されたのならもう家に帰れない!
夢よこれ。うん。夢。
「こんなところにおられましたか、お嬢様」
お嬢様? 振り返れば私と同じぐらいの女の人が安堵したように立っている。
私よりだいぶ背が高いわ。あ、そっか今私、5歳なのね……。
というか、誰この人。
「えーと……」
「レイリーお嬢様、どうしてその様な恰好を……」
レイリーってお嬢様なの? じゃこの人ってもしかして侍女とかいうやつ? たしかにイメージ的にぴったりの格好だわ。
私と彼女は間違えられるほど似ているのね。あ、やっとわかった! あの子、小さい時の私にそっくりなんだ! 5歳頃の私はおかっぱだったけど、レイリーは今の私と同じ胸ぐらいまでの髪の長さだった。だからすぐに気が付かなかったのよ。
でもなんで私、小さくなっちゃってるのよ。
とりあえず私は、首を傾げてみせた。だって、まったく何もわからないんだもん。
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