第28話 ね、可愛い寝顔してるでしょ
パチ!
私は目を覚ました。ここは?
私の部屋か
えっと……確かお昼ご飯を久保くんと食べて、部屋に戻ってから……思い出せない。
時計は18時半を指していた。
何時間くらい寝ていたんだろう。寝始めた時間が分からないなぁ
あれ!久保くん帰っちゃった?
コンコン
「はーい」
ガチャ
「あら?起きたのね」
「お母さん。久保くんは?」
「さっきまでは私と勉強の続きをしてたけど、今はリビングのベットでお昼寝してるわよ」
「よかった。お母さんは襲ってないよね」
「あたりまえじゃない」
「じゃあ私、寝ぼけて変なことしてなかった?」
お母さんはニコニコしながら
「私には分からないから久保くんに聞きなさい」
「お母さん知ってるよね」
「さ〜ね〜」
「う〜。変なこと言ってたらどうしよう」
「そしたら責任とってもらえばいいじゃない」
「責任?」
「結婚とそういう行為よ。高校生なんだから知識としてはあるでしょ」
「あるけど……そもそも母親としその発言はどうなの」
「私はあなたの幸せを願うだけよ」
「複雑」
「それより久保くんの寝顔、すごく可愛いわよ」
「見たい!」
「母性本能をくすぐられるような顔してるわ。行ってきなさい」
「はーい」
階段を降り、いそいそとリビングに向かう。
ガチャ
スースー
リズム感のある寝息が聞こえる。
ベットで寝ている久保くんを覗き込む。
「ね、可愛い寝顔してるでしょ」
「可愛い」
「さっき、栞が何もしてないか聞いてきたわよね」
「うん」
「私が言うことは何も無いけどこれだけは見せられるわよ」
お母さんが写真を見せてきた。
私が久保くんにお姫様抱っこされている写真だった!
「え!なにこれ」
「さ〜なんでしょう。久保くんに直接聞きなさい」
「いじわるしないで教えてよー」
「この写真も久保くん持ってるわよ」
「う〜」
「あらあら可愛いわね」
「うるさい」
「もういい時間よ。そろそろ起こしてあげて」
「はーい。久保くん、起きて」
「ん〜」
「久保くん」
「ん〜」
可愛い。
違う違うそうじゃない
「久保くん!」
「ん〜」
体を起こして、周りをキョロキョロしてる。
状況を理解したのか目が見開いた。
「おはよう」
「お、おはよう」
「久保くん、栞が寝ぼけて何をしたか教えてあげなさい」
久保くんは顔を真っ赤にしてこちらを見た。
「いや、その、知らなくて大丈夫だよ。何も迷惑とかじゃなかったし」
目を合わせてくれない
「教えて」
「千冬さんに教えてもらって」
「お母さんにも同じこと言われた」
「やっと千冬さんて呼んでくれたわね」
「まぁ栞さん相手に『栞さんのお母さん』というのもおかしいと思ったので」
「そうね」
「はい」
「久保くん、そろそろ遅い時間だし、帰りなさい」
「そうですね、もう遅い時間ですし」
帰っちゃう!
「もう少しだけ勉強しない?」
「えーと」
「さすがに付き合ってもない男と娘を夜に2人きりにさせられないわよ」
「「……」」
最悪の空気になっちゃった。
「ではそろそろ」
久保くんは玄関に向かった。
「じゃあね。またいらっしゃい」
「はい、ぜひ」
「また日曜日に」
「うん、バイバイ」
ガチャ
行っちゃった。
「あなたが寝ぼけて何をしたかは今度久保くんにしっかり聞いておきなさいよ」
「忘れてた!」
「それと今日でしっかりアピールできたと思うから、これからもガンガンアピールしなさいよ」
「はーい」
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