第27話 お姫様抱っこ!

昼食のあとは黙々と勉強に励んだ。

午前は勉強も場所も状況も慣れていないから集中出来なかったけど今はそれなりに集中出来ている。


「ここはえっと……」

教えてもらおうと正面にいる栞さんに向けて顔を上げようとしたら、左肩に重い感触が来た。


そこには栞さんの頭があった。

これはいわゆる肩ズンというやつだろうか?奏の少女漫画にあったやつだろう。でもあれは二次元かつイケメンかつ恋人にのみ許される禁断の行為である。ではなぜ栞さんがしているのか?それは俺の夢だからである!QED証明終了。いや、証1ミリもできてねー


と、現実逃避しないといけないくらいに俺の頭は真っ白になった。

本当に何故なんだ!


「あ、あの、し、栞さん?」


「ん?な〜に♡」


「えっと、なんで俺の肩にもたれかかってんの」


「したいからだよ」


「勉強しにくいから退いてくれるとありがたいんだけど」


「だーめ。このままするの」


栞さんの目はドローンとしているのに少女のような可愛らしい目の輝きを持っていた。


いい匂いもするし、上目遣いだし、小さくても服の上から谷間が見えかけているし、本当に脳死してしまいそう。


「ね〜え、少し休も」


「う?うん」


「じゃあベットに」


「べ!ベット?なんで?このままじゃダメなの?」


「おしり痛いからダメ」


「わ、わかった」


「じゃあ連れて行って」


「2歩歩けば着くよ」


「お姫様抱っこ!」


「え〜」


「どうしても。お願い」


クソ!そんな可愛い上目遣いで見られたら断れねー


「分かりました。お姫様」


俺は栞さんの膝の裏と首の後ろに手をかけ、お姫様抱っこをした。

軽すぎない?びっくりした。

少し前に若宮に飛びつかれたときには胸が凄すぎて重さとか分からなかったけど女の子てこんなに軽いの?


カシャ


え?


カメラのシャッター音のような音が聞こえた。

俺はシャッター音が聞こえたドアの方に振り向くとスマホを片手にニヤニヤしている栞さんのお母さんがいた。


「久保くんが女の子を酔わせてその隙に襲うなんて。そんな子じゃないと思ってたのに」


泣き真似をしながら栞さんのお母さんは言っている。


「違いますよ。なんか急にもたれかかってきて」


「それでつい、襲っちゃったんだ」


「襲ってませんよ!」


「でも今の状況を見ると……」


「違います!」


「わかってるよ。さっき栞と未来が食べたのはウイスキーボンボン。つまりお酒よ」


「だから酔ってたんですね」


「未来が寝ちゃったからこっちはどうかと思ったけどやっぱりか」


「やっぱりとは?」


「うちの家系の女はお酒に弱いから」


「はぁ」


「しかもすぐに甘える」


「それは……そうですね」


「だから襲うときはこの手を使いな。あと言動の録音を忘れないように」


「だからしませんよ」


「久保くんならそんな事しないと信用してるから2人きりにさせたのよ」


「そんな信用されても困りますが」


「やっぱり襲いたい願望があるんだ」


「ありません!そんなことより栞さんどうしますか」


「とりあえずブラを外してあげて、寝るとホックとか色々痛いから」


「え、あっ、ちょ」


「嘘よ。寝かせたらリビングに来てちょうだい」


「そんなに笑いながら言わないでくださいよ」



その後に栞さんが寝るのを見計らって部屋を出た。荷物は一応まとめたが部屋に置いてきた。


階段を下り、リビングに入った。

「これを送りたいからLINESを教えてちょうだい」


「それは?」


「さっきの一部始終」


「母親なら止めた方がいいのでは」


「まぁおっぱじめたら止めたわよ」


「はぁ」


一応LINESを交換して、映像を貰った。というか半強制的だった。


「これで栞をゆすれるから頑張りなさいよ」


「ゆすりませんよ」


全くなんでこの家は俺と栞さんをくっつけたいのか?

俺は嬉しいけど栞さんが嫌ならそれを尊重すべきではないのか?


俺は嬉しいけど!

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