第14話

どこを見ても今まで赤い文字で書いてあったものがどこにも見当たらない。


「ここに来てあきおの記入ミスってこと?」


パタンと文集を閉じて歩き出す。

途中までしか書かなかったのか。



そんなはずない。そうであってほしくない私の希望が勝ってしまう。


迷った時、嫌なことがあった時、喧嘩をした時、泣きたい時だいたい私は屋上へ向かっていた。


大人になってもそれは変わらずに気づいたら屋上だった。




「んー!気持ちいい!」


ここの澄んだ空気がとても好きだった。



(また喧嘩しちゃった…)


頑固な私と照れ屋でシャイなあきお。言葉が足りない二人はよく喧嘩をしていた。

そんな時は一人で屋上で反省をする。



「ごめんねって今ならこんな簡単にいえるのになぁ」



あの頃こうしておけばああしておけばって沢山いまさら後悔が出てくる。

あの頃あんなに悲しくて喧嘩して泣くことも多かったのに、今の私からすると世界一の幸せに見える。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る