第12話
体育館の扉は重い。思い切り開ける。
体育委員だった私が扉が重いって文句を言ったらいつも…
(まーた開けれないの?本当に力ねぇなぁ)
後ろから突然降ってくる声。
するはずのないあきおの匂い。
横を見上げたらあきおがいるのに、今の私に向けられた言葉じゃないだけで体が動かせない。
むわっと体育館の匂いにつつまれる私の横を制服の二人が通り過ぎる。
バスケ部だったあきおの部活が始まるまでよく二人でバスケットゴールの下で話をしていたんだっけ。
運動が苦手な私は一度もゴールを入れれたこともなかったな。
でもあきおはいつも優しく笑ってるだけで何にも言わなかった。
「アドバイスくらいしてくれてもいいのに」
教室よりも音楽室よりも体育館は広い。
この広さの中からどうやって見つけたらいいんだろう…
「広すぎるよー!!あきおのアホ!」
確かにこの体育館も一緒に過ごした時間が長い方だと思うけど、突出した思い出は…
(新しく買ったバッシュめちゃくちゃ調子いいんだー)
(また買ったの?最後の試合だから履きなれたやつのほうがいいって言ってたじゃん)
(最後の試合だから特別なの!なんてったって)
「お前の好きな赤色…」
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