第11話

音楽室の扉を開けると独特の少し埃っぽい空気が流れ込んでくる。


(ねぇ、いつものあれ弾いてよ)


(また?上手に弾けないよー)


中良さそうに二人でピアノの椅子に座っている。


「もう忘れちゃったよ…」


ピアノの鍵盤を指で押してみるけどもうあの頃のようには奏でることができない。


(なー知ってる?このおじさんの目って夜中に動くんだって)


(ベートーヴェンね!絶対都市伝説だよ!)


「ベートーヴェンだ」


音楽室で自信満々にあきおが何回も話してたこの話。


そっと手を伸ばしてベートーヴェンの印刷された紙をめくってみる。


「あった!!」


「8S…」


文集をめくり8番目の出席番号をさがす。


「のんちゃんだ…」


友達のひとりののんちゃん。

のんちゃんのページには《体育館》。



体育館に向かって走り出す。

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