出会い

卯月:…………くっ…!(あ、足をやられて…逃げられない……!)


天使1:闇の眷属風情が…大人しく殺られれば楽なものを…。


天使2:まあ待てよ。なぶりながら根城迄暴いてやるのも一興じゃねーか。うひひ…!


卯月:(私も……これまでですか。申し訳ありません、一ノ瀬さん…!)


?:……随分偉くなったものだな。見境なく人間にまで手を出し始めたか?


天使2:誰に口を利いている、斑鳩よ。ただの人間が"戦神"にのしあがったからって……いい気になるな!


斑鳩:……………ふん。僻みたければ勝手に吠えていろ……。


(斑鳩はその場で振り返ると、倒れている人に手を差し伸べる)


あんた…大丈夫か?妙な連中に目をつけられてしまったな。


卯月:…………ひっ…!?(こ………殺される…!)


(目に見えて怯える卯月の様子を見ると、軽くため息を吐いた)


…………ったく、雑魚天使共が。これ以上こいつに手出すなら…俺が相手になってやる!


天使1:黙って聞いていれば…そいつの味方をすると言うことは、どういう意味か分かっているのか?


斑鳩:いい機会だ、はっきりさせておこうか。俺はお前らに隷属する気はさらさらない。


いつだってこの力、貴様らに向ける覚悟があると知れ!


(斑鳩は剣を抜き放つと、重盾と共に構える)


卯月:(ど……どうして?私を殺さないのでしょう……。味方と争うなんて…)


天使1:…………良かろう。弟を喪って尚、逆らおうとはつくづく阿呆よ。


天使2:その盾が飾りだって、もう一度教え込んでやるよ!


(全ての剣を盾で防ぎきると、天使2を頭から一刀両断した)


斑鳩:(もう二度と、目の前で天使共の好きにさせてたまるか…!愁の為にも俺は…)


天使1:斑鳩貴様……よくも相棒を!やはりあの時消し去っておけば……


(言葉を遮るように天使1の首をはねた斑鳩。一筋の涙が頬を伝った)


斑鳩:………黙れ。俺はお前らの道具じゃない。自分の意思で生きる一人の"人間"だ。


卯月:………………あ、あの……大丈夫、ですか?


斑鳩:ああ…見苦しい所を見せてしまったな。立てそうか?


卯月:その、右足を斬られてしまいまして……一人では動けないんです。


(斑鳩は武装を解くと彼を背負った)


斑鳩:そうか。なら俺が送ってやるよ。手近な病院でいいか?


卯月:…………なら、厚かましいのですけど…連れていってほしい場所があるんです。


斑鳩:分かった、案内してくれ。


(十分ほど歩いて、彼の目的地へとたどり着いた。古びた戸に手を掛けるが開く気配がない)


う、重いな……!


卯月:そのままお待ちください、私が開けます、から……


(彼は舌を伸ばすと、戸に触れた斑鳩の手に巻き付けていく。注がれた闇の魔力で戸が開いた)


斑鳩:(ん………?この力って…まさか……!)


(そっと後ろの様子を窺うと、彼は気絶しているのか…ぐったりしている)


…………おーい、誰か居ないのか?


?:どちら様、かな。此処は君の来る所じゃないよ?

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