第4話 愛する人 ー 4 ー

雨上がりの部屋

5月に吹く風を待ちながら

今の時間を惜しむように過ごしてる

重ねられたアルバムの

過去の思いを紐解けば

あなたの笑顔だけが溢れてて

ああ、こんな風に笑うんだったねと

顔を見合わせ声をかけた


あなたの笑顔に似てきたと

誰かに言われたとき

そんなはずは無いからと

意固地に反発もしたよね

でも

それは

笑うと素敵な笑顔になるあなたが

羨ましかったのかもしれないね

そこまで素敵な笑顔なんかじゃない、と

わたしが素直に受け止められなかっただけなんだ


アルバムの中に

あなたと二人並んで笑う写真

ねえ、もう一度撮ろうよ

二人そっくりだと言われた笑顔で

五月の風が吹く色鮮やかな緑の下で

ねえ、もう一度

愛するひと





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