第32話 コンピュータとドラマ(前編)

 70年代で印象に残っているSFドラマが2つあって、それが『謎の円盤UFO』と『地上最強の美女 バイオニック・ジェミー』でした。『謎の円盤UFO』は、あまり見せてもらえなかったのですが、女性たちのスタイリッシュなボディと銀色のレオタードがめっちゃイケてて、それだけでわたしはノックダウンされてしまったものです。そのドラマにおけるサイケな髪型、そしてコードレス電話などの小道具。未来って凄い! と感動しました。



 70年代と言えばSFが隆盛の時代でした。科学は未来と夢の象徴。そんな風潮がドラマにも反映されていて、『謎の円盤UFO』では、いかにも未来人なたちが登場していた記憶があります。



 なかでもわたしが一番面白いと思ったのは、


 コンピュータでした。『謎の円盤UFO』のコンピュータは、たしか紙テープが記憶媒体だったように思います。紙テープに穴を開けて、コンピュータに読ませて計算するんですね。紙の色は白くて、穴は丸く、やたらと長いテープだった記憶があります。



 その頃は、コンピュータについては、なんの知識もありませんでしたが、計算が速いということは、だいたい知っていました。あとで専門学校で、第二次大戦でコンピュータが、大砲の砲弾の軌道計算に使われていたことを知りました。


 当時、銀行や保険会社などにも使われるようになったコンピュータですが、最初は戦争と関係があったわけです。ドラマでも、なんだかシリアスでスリリングな展開だった気がする。



 ドラマのほかにも、コンピュータの出てくるジャンルはあります。

 そのころ登場したスペースオペラのコンピュータは、宇宙船の環境をコントロールするのが主眼でした。空気や水などの調整をしていたわけです。SF的に登場するロボットの頭脳にも、コンピュータが使われていましたっけ。『鉄腕アトム』では、電子頭脳がコンピュータで、しかも感情を持っていた。



 初期の頃の日本のSFにおけるコンピュータは、だいたいマンガかアニメです。SFドラマでは、コンピュータはほとんど見られなかったと思った。わたしの曖昧な記憶では、わたしの見たSFドラマと言えば『タイムトラベラー』や『ねらわれた学園』ぐらいなものだった。その中には、コンピュータは出てこなかったと思いました。


 まあ、その当時コンピュータは、IBM製で何億円もしたから、ちっとも身近なアイテムじゃなかったでしょう。大きさもバカデカかったし、すぐ故障したし(笑)



情報によると、ウルトラマンでアキコ隊員が、出力された紙テープをそのまま読んでいたという話もあります。アニメだったらバビル二世。バビルの塔がコンピュータに守られています。


 SF本では、アシモフだと陽電子頭脳。『我はロボット』に出てきましたね。スタートレックだって「ヘイ、コンピュータ」と呼び掛けてましたっけ。


 J.P.ホーガンの作品にも、しゃべるコンピュータが出てきたという話もあります。なぜかDECという話。映画『二〇〇一年宇宙の旅』ではHALというしゃべるコンピュータが出てきてましたが、HALはIBMを超えているという意味があるとかないとか。



 日本の一般的なテレビドラマの中でコンピュータが出てきたのは、90年代ぐらいになってからではないでしょうか。つまり、パソコンが普及し始めてからです。その意味ではちっとも日本はSF的ではありません。保守的とさえ言えるかもしれない。『ウルトラマン』は、なんだか『謎の円盤UFO』的な組織の存在を感じさせますが、これは特撮ものであってSFとはちょっと違うかも。



 今後、コンピュータがどうなるかはわかりません。『鉄腕アトム』などのように、感情を持ったAIロボットというのも、出てくるかもしれません。ロボットという形で人間というものに代替が出来るようになったら、人間の存在価値はどこにあるのかという問題もあります。


 生きているって、どういうことなのでしょうか。感情があり、計算力も優れ、意志もあるロボットがいるとしたら、それに及ばない赤ちゃんなどの弱者はどうなるのか。


 SFは、将来に夢を与えてきた面が多いですし、現実的に言ってSFですら想像もつかなかった、スマホという存在も世間にはあります。小難しい理屈をいうSFをつくっても意味はない、読んでくれないという面もある。

 ファンタジー的にSFを語り直すのは、アリかもしれません。上橋菜穂子などはすでにそれをやっている。


PS:気象予定師というアイデアについて、いろいろ設定を考えてくださってありがとうございます。もともとアイデアを出したのは、なろうでの秋月忍さんです(こちらでもアクセスしておられます)。プロになるだけの才能のある人は、やはりどこかが違います。

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