第17話 ファンタジーの発想 02
ファンタジーの発想その2です。
4番目のアイデアとして、類似/対照/比喩というキーワードを挙げましょう。
類似とは、似たものをあげるということです。赤だったらなにがあるか。郵便ポスト、消防車、広島カープ、リンゴなど。
町なかをごらんください。町の人々の服を見て考えましょう。共通する色はなんだろう? なぜ、その色なんだろう? 異世界だったら、どんな服を着るのが一般的なのか。
発音の類似、あるいは逆回しなどはどうでしょう?
NECO(ねこ)の類語は、PECO(ぺこ)。
毛だらけのペコちゃんが、日向ぼっこをしたり、同じ猫ペコちゃんとケンカしたりする。
昼寝ばかりしているペコちゃんが、甘えたしぐさでにゃんと鳴く……。
DOGの反対はGOD。LIVEの逆はEVIL。そんなふうに、単語を逆に考えてみたりする。
それだけでも、ファンタジー的な発想になりそうですよね。
あるいは、類語をもっと発展させる。
イカ(烏賊)の類似発展は、イルカ。
いっぱい触手の生えたイルカが、海を泳ぎまくる。飼育員にみちびかれて、輪投げなどの曲芸をする。
こういった類似による発想は、比喩ともつながるアイデア発想法です。比喩表現辞書というものがあるので、それを見つけたら購入してみるのもアリかもしれません。
あるいは、ネットにも表現辞書があります。
日本語表現辞典(プレミアム会員用サイトあり)
https://hyogen.info/
こういったサイトや辞書などで、似たものを人はどう表現しているのかを知るだけでも、じゅうぶんファンタジー的な感覚は磨けると思いますが、無意識にしているメタファーなどにも注意する方がいいかもしれない。太陽のようなヒマワリ、 というのは月並ですが、これを演繹すると、持っているだけで熱が発せられる魔法アイテムとか考えられたりします(これも月並だけど)。
あるライトノベルでは、チャッカマンをまんま、魔法の杖にしてしまっているアイデアがあったりします。日常にどれだけ不思議を見つけるか。そこから、ひと味違った個性的な作品が作れるかも。
つぎに5番目として、逸脱というキーワードがあります。
これは、「俺つえー」なんかによく見られるパターンですね。主人公は、現実世界ではどちらかというと負け組に属していてどうしようもないが、異世界に来たとたん、それまでの自分とはまったく違う人間になってしまう。
異世界でそんなに有能になれるんだったら、現実世界でだって、じゅうぶん才能が発揮できただろうに、そういう現実的な話は一切なし。
そういう「俺つえー」には、女の子になぜかモテモテになるというパターンが踏まれています。強い主人公に女の子がベタ惚れするっていう設定。これも、逸脱ですね。そんなに魅力があるのに、なんで現実ではモテなかったんだというツッコミは、ナシにしましょう。
わたしの読んだ本で、悪の秘密結社にバイトで入った主人公『六号』のストーリーがありましたが、これも逸脱だと思いました。『六号』は、ある惑星に降り立って、なにかというとすぐ悪いことをしようとするんですが、なぜかこれが味方のためになる行動になってしまう……。惑星の危機を救ってしまう『六号』の、明日はどっちだというコメディでした。
逸脱は、それじたいがタブーや常識を打ち破ることを意味します。子ども心に戻れば、逸脱をするのは楽しいことでした。わたしの場合は、ちょっと暗い道に入って、ドブにハマって泥だらけになったこともありますし、犬の糞をつついて喜んだりもしたし、セミを紐でしばってぶん回したことも(汗)
現代で逸脱するのは、昔ほど自由じゃなくなりました。子どもに冒険させることをイヤがる親御さんが多くなったんです。残念です。
子ども心に戻り、あの頃とても楽しかったことを中心に描けば、ファンタジーに限らず、フィクションの入口にたどりついたも同然です。そのキーワードで作られたと思われる作品としては、
『ドクタースランプアラレちゃん』
が挙げられるでしょう。アラレちゃんと「うんち」をめぐる騒動は、逸脱の見本の最たるもの。あのかわいらしいアラレちゃんの絵のおかげで、ふつうなら目くじら立てるPTAも、そんなにキーキー言わなかった記憶があります。 (以下次号)
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