第15話 わたしのシリーズにおけるファンタジーの定義

わたしのシリーズでは、ファンタジーとはありえざるものを描くジャンルだという定義にのっとって書いています。

つまり、ファンタジーとは現実世界に存在しない生き物や、地球とは違った別世界など、『ありえざるもの』を描くジャンルだということにしています。


もちろん、べつの意見もあります。


Wikiによると、

(引用開始)

超自然的、幻想的、空想的な事象を、プロットの主要な要素、あるいは主題や設定に用いるフィクション作品のジャンルである。

(引用終わり)


ということになっています。

つまり、超能力とかSFとかも、この分野に入るのかもしれません。


あるいは「ファンタジー」とは以下のものを指す、とする意見もあります。


1.わたしが「これはファンタジーだ」と判断した著作物

2.あなたが「これはファンタジーだ」と判断した著作物

3.だれかが「これファンタジーだ」と判断した著作物


 ここで言う著作物とは、映画・漫画・アニメ・TV・動画などの映像媒体も含みます。


 元ネタはコチラ

 http://dabensya.sakura.ne.jp/meimonku/


 いずれにせよ、リアリズムとは縁がない分野です。日本でも昔話に、

「隠れ里」や「河童」の伝説がありますし、古くは中国にその源流のある

「桃源郷」に関する話も、かなりありました。

なので、日常とはまったく切り離されているのが

ファンタジーだと思う人もいるでしょうが、


日本では古くから、狐や狸に化かされて、肥やしの中で風呂を浴びたとか

弁当を取られたとかいった、のどかな話が伝わっています。

狐という現実の生き物を通して、「ありえざるもの」を感じていた。


その点、西洋になると話がちょっと違ってきます。

わたしの調べ方が悪いのかもしれないので、教えていただきたい面も

あるんですが、


たとえば魔女とか吸血鬼というのは、現実の人間を通して

「ありえざるもの」を感じつつも

恐怖もまた、感じていたのです。

魔女は、自分たちに害をもたらす存在であり、悪魔と契約した悪いヤツ。

吸血鬼は、永遠に生きながらも血をすすり、人間を襲う悪いヤツ。


日本がどちらかというと、自然界と仲良くしていた時代があったように、

西洋は、自己主張が強く、他人を踏みつけにしかねないといった

文化背景があったりするらしいです(汗)


それは、日本のファンタジーと西洋のファンタジーの違いにも現れているような

気がします。


例えば、わたしの知る限りで

いちばん古い転生モノの西洋ファンタジーといえば

『火星シリーズ」ですが、このシリーズで主人公たちは、

火星へ行って 俺つえーして トップに上り詰める。

黄金のパターンを踏まえています。


ところが、それと同じ頃(1920年代)の日本のファンタジーを見ると、

あの鈴木三重吉の編集で有名になった雑誌

『赤い鳥』が出版されています。

この『赤い鳥』には、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』も寄稿されていました。

(ちなみにこの『蜘蛛の糸』は、『因果の小車』と呼ばれる宗教小説のパクリだと

言われています)。


念のため、『蜘蛛の糸』のストーリーをちょっと紹介しますと、

地獄に落ちた大悪党のカンダタが、一本の蜘蛛の糸を占有しようとしたため

また地獄へ落ちていく話です。


俺つえーの外国とは、まったく違う思考と文化があったことは、

これだけ見てもご推察できるものと思います。

俺つえーの文化背景には、アメリカのエゴが見え隠れしますが

蜘蛛の糸の文化背景には、仏教的な思想の影響が見え隠れします。

どちらがいいとかはともかく、

ファンタジーも文化的な背景をまぬかれない、ということは

お察しいただけると考えます。


 だから、ナーロッパもまた、日本の文化的な背景をまぬかれないのかもしれないと。

 中世ヨーロッパ風で、異国的なテイストがあるものの、基本的には中世ヨーロッパでは『ない』のです。

 だってモフモフとかねこ耳とか、チートとか、中世ヨーロッパではあり得ないでしょう。


わたしは、ファンタジーというジャンルにおける

ありえざるものを通して、「なにを伝えるのか」という点を考えなくては

残っていく作家にはならないよ、

と思います。


説教臭いのはごめんだよ。まあ、それもアリでしょう。

だけど頭の隅に置いて欲しい。

自分は、なんのために作品を書いているのかと言うことを。


ファンタジーは、やりようによってはアニメ化されて外国人も見るジャンルです。

そのとき、恥ずかしくないだけの芯を、持って欲しいと思うわけ。


 



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