第6話

《ゲームスタート》






 今度のフィールドは、ファンタジーぽさが垣間見える草原のよう。

 木々に見たことのない木の実が実っていたり、金色の草があったりと、見ていて中々面白い。

 銃とファンタジー……ありかもしれない。

 それにこの草、めっちゃむしれる。

 毟っても普通は消えるだけだけど、この時々生えている金色の草だけは違う。


 試しに毟ってみる。すると――


〈Item Bonus「+0.1sp」〉


 なるほど。

 spが0.1pだけ貰えて、十回毟れば1spになると。

 こういう要素もあり、なかなか楽しい。


 私は近くに生えていた金の草を、地面を這いながら回収していく。

 とは言え、今はあくまでも戦闘中。当然、気を抜くことなく、高く伸びた雑草に隠れるようにして這い、銃を構える。

 後はここで、敵が来るまでジッと待つ。




          * * *




「な、ん、で! なんでまた参加してるわけ!?」


 桐花、悩みとかもうとっくに消えちゃってるでしょ!

 切り替え早いなぁ、おい!


「まぁまぁ、落ち着きなよ」

「……あ、すみません、オカさん」


 このゲームの中心にあるギルドという建物で、私はオカさんと共に、再び桐花がこの場所に戻ってくるタイミングを待っている。

 戦闘終了後、戦闘に参加したプレイヤーはそれぞれの色によって仕分けられた、ギルド内の観戦ルームへと転送される。だから、戦闘が終わるのをここで待機しているわけだけど。

 ちょっと気になったので訊いてみる。


「オカさん。とう……トアのこと、知ってるんですか?」

「んぇ? あー……知ってるも何も、一瞬で有名になってるでしょ」

「えっと、そういうことじゃなくて。有名になる前からの知り合い、みたいな言い方、さっきしてませんでした?」

「そうだっけ? まあ、知り合いってほどでもないけど……」

「ないけど?」

「私がバーで飲んでたらさ、あの子が声を掛けてきてさ」

「あの子って、トアのことですか?」

「そ。どうすれば戦えますか?ってね。そんで、バスに行けば良いよって教えてあげたわけ。――――どうせ暇だったし、あの子の戦いぶりを見ておこうと思ってここに来てみたら……」

「生き残っていたと」

「ビックリしたよー。しかも、辺りは見晴らしが良くて、完全に不利な状況だったんだもん」

「……ですね」


 本人の方は不利だと思っていたのかはわからないけど……。

 桐花、ああいう場面でも、なんでも有利にしちゃうからなー。

 ポジティ過ぎるんだよ。


「し、か、も……!」

「相手は白狩りだったと」

「それな~! そしてそして……」

「私のリア友でもあったと」

「お~。何でもお見通しだ~」


 それはそう。

 私がオカさんの立場でも、間違いなくオカさんと同じ気持ちになるわ。




 そしてオカさんと話し込むこと20分。

 ゲームは終了した。


 桐花改めトアの成果は――

 7キル。その内、まさかの白狩りが二人。

 そして当然のように勝ち取った優勝。

 加えて、ノーダメージかつ、一回も立ち上がらずに終了した。という称賛の声があちこちから上がる。

 最後のに関しては謎過ぎるけど。


 そして私は絶句し、オカさんは手を叩いて爆笑していた。

 



          * * *




〈Rank in Bonus「+30p」「+100c」〉

〈Kill Bonus「+14p」「+7sp」「+70c」〉

〈Item Bonus「+1sp」〉

《toa「82p」「12sp」「1310c」》

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