266 安否確認の続きとギルドへの報告

 7合目の修練場を後にして、直ぐに三合目の修行者達の集落到着する。

 空を自由に行けるようになっただけじゃなく、空間の拡張も無くなったから本当に直ぐに着いた。なんせ滑空するだけで良いんだからな。楽ちんだ。


 集落に入ると色々と質問攻めにされる。

 御山の空気が元に戻ったが、迷宮化現象や侵略者達の事は如何なったんだとか。なんで急に御山が噴火したのか。その噴火の被害が殆ど無いのは何故なのかとか。あとは、まさか御本霊まで幼女とは幼女神マジしゅごいなどである。


「なるほど。霊脈を復活させたら噴火してしまったと……。エーランブラム山の星精様が望んだ訳ですし、問題はあるかもしれませんが巫女様達が罪に問われる事は無い筈ですよ。まあ、私もお山に篭もってそれなりの月日が経ちますからねぇ。外での常識が変わって居なければの但し付きですがね」


 そう答えたのは、最初にこの集落に来た時に話をした集落のリーダー、エベロイさんだ


「ええっと。山を噴火させちゃったのは一応セーフって事ですか?」

「ええ、そうですね。私の知ってる常識のままならば、星精様の望みが基本最優先ですからね」


 エベロイさん、なんかやけに長く山に篭もってる事をアピールして来るなぁ。


「あの、そんなに長くエーランブラム山に篭もっているんですか?」

「おや? 聞きたいですか? 聞きたいんですね!?」

「いえ、別に……」

「それじゃあ話しましょうって……。ええ!? 聞きたくないんですか!?」

「あの私達、麓の村にも安否確認しに行くので失礼します」

「ええっ!? 巫女様方話聞いてくれないんですか!? ってか脚早っ!?」


 いや~、圧が強くて思わず反射的に断っちゃたよ。

 エベロイさんの話ねぇ? うん。全く興味ないな!

 ささ、パープシャル村にも安否確認に行こうか。

 それに、アルケシオン島で保護している村人達も村に返さないとな。実はちょっと、アルケシオン島に村人を置いて来たの忘れかけてたんだよねぇ。


 山の麓にあるパープシャル村の上空にも直ぐに着く。

 上空から見た所噴火の被害は無さそうだ。

 まあここも、エルナがセーフティエリアにした場所だし、寧ろ問題があったらめっちゃ困るよなぁ。


 なんて考えていると、村人達が空を指差して騒ぎだす。

 そう、空に居るエルナ達に村人達が気が付いたのだ。

 これはまあ、村人が気が付くのはある意味当然だと言える。

 なんせ金色千手阿修羅と言う、非常に存在感のある金ピカのロボが空を飛んでいるんだからな!


「何だあの黄金の巨人は!?」

「もしや、御山が噴火したのはあの巨人の所為か!?」

「寧ろそれしか考えられんな!」


 Σはっ! このままでは火山噴火の犯人がサレスになってしまうぞ! って、これ別に間違ってないな。うん。

 まあそんな訳で、混乱を避ける意味でも村の入口の外に降り立つ。


 村人達が武器を手に持ち出て来るが、そこにチナの姿を見て次いでエルナを認識し、危険は無いと分かったのか安堵の息を吐く。しかし、この反応の仕方久々だな。

 多分村人達の反応からして、【紅月】の呪いの影響でエルナの事を忘れていたんだろうなぁ。


「驚きましたよ。少し前に修行者の方が山から降りて来られて、領主様二報告して騎士団を派遣して貰うと言っていましたし、おまけに御山が噴火して大騒ぎ、その上今度は黄金の巨人が現れたんですよ?」


 と言うのはクードさん。この村に来た時エルナ達を家に泊めてくれた人だ。

 修行者の人来てたんだ。これはもう領主に話が通っちゃったかな?

 もう騎士団の派遣は必要ないって連絡しないと不味いよね?


 という訳で。クードさんに村長に会いたいと伝える。

 もちろん、行方不明に為った村人を保護した事や事件の元凶を退治した事も含め伝える為だ。それに、村長に依頼達成の報告をしたら、ギルドにも色々と報告してギルドを通して騎士団の派遣をやめて貰わないとな。 


「なっ!? 本当ですか!? 直ぐに村長を呼びに……」

「私達もギルドへの報告が有るんで一緒に行きます」

「Σっ、そうですか! では行きましょう!」


 山の噴火と言う緊急事態も有って村長は村役場に来ていた。

 直ぐに村人は全員保護した事や、敵の規模を考え騎士団の派遣を修行者の人に頼んだこと。でも、自分達で何とか出来てしまったので、直ぐにギルドに連絡したい事などを伝える。


「ほう、何と! それは急いで報告せねばなりませんな。所で保護したうちの村人達は何処におるので?」

「ああ、保護した人達なら、私の持つ小世界でバカンスを楽しんでますよ」

「小世界? バカンス?」


 あの人達なら、アルケシオン島で人生の洗濯をして楽しんでいるに違いないよ。

 でもまあ、村長には小世界やバカンスの意味が通じていない様子。

 うん。これは直ぐに呼び出しますか。


「直ぐに連れて来ましょうか?」

「おお、それは直ぐにお願いしますぞ!」


 直ぐに呼び出した方が良いだろうと思いアルケシオン島へのゲートを開く。

 ゲートから島の管理者であるエイルさんに思念を送り、この前保護した村人達をゲートに送来るようにお願いする。

 ちなみに、「今度島に訪れる時は、ゆっくりして行ってくださいね」との事。


 開いたゲートからTHE南国と云った服装で、アルケシオン島で保護していたパープシャル村の村人達がぞろぞろと出て来る。


「帰って来たぞ! 我が愛しの故郷! って寒むっ!!」

「いえ~!! 今帰ったぜぇ~っ!! 村長、元気だったかぁ~? 儂はもうめっちゃハッスルハッスルじゃー!!」

「私、今後もあの島で暮らしたいんだけど……」

「バカンスも、もう終わりかぁ~。お久しぶり、現実」

「向こうで結婚した事を、君のご両親に報告しないと」

「お願いしますよ♡ 旦那様♡」


 すっかり南国生活に染まった六人の村人達が姿を現す。

 一番真面そうだった髭のおじさん何て完全に別人だし、それになんか結婚してる人達がいるんですけど?


「お、お前達、それは一体……!? いや、取り合えず皆無事でよかった……」


 村長は行方不明者の思わぬ変化に動揺を隠しきれていないが、如何にかそれを抑えて行方不明になっていた村人達の無事を喜んだ。

 まあ、見るからに南国の服装だし、明らかに自分達楽しんでましたて雰囲気だ。

 よく突っ込まなかったよ。村長。

 

 さて、保護した村達の何人かはアルケシオン島で暮らしたいとの事、知り合いに別れの挨拶をして戻って来る事になった。ちなみに、俺的には他の島民が良いなら別に構わないとOKを出したよ。


「えっと……村長、通信機使わせて貰って良いですか?」

「う、うむ。もちろん、構いませんとも」


 村長はちょっと悩まし気な顔して考え込んでいたが、こちらは割と急いでいるのでそのまま通信機のある部屋に行き、ギルドへと連絡を取る。


「巫女様、無事でよかったですよ~。騎士団派遣の取り消しも、こちらからしっかり入れさせて貰いますねぇ~」

「助かります。それと、火山の噴火の件は如何なりますかね?」

「ああ~、それは大丈夫だと思いますよ~。だってエルナさんは、創天の巫女様ですよね~? 黙ってるなんて酷いじゃないですかぁ~。創天の巫女様が星精様に頼まれたと言うんですし、流石に誰もケチをつけられないですよ~」


 如何やらオピニアさんに、エルナが創天の巫女だと情報が流れたらしい。

 騎士団に派遣依頼をしに行った修行者からの情報かな?

 創天の巫女である事、、別に言っても良いって言った様な気がするしな。

 でも、創天の巫女じゃなかったら、ケチを付けられていたかも知れないのかぁ。

 これは創天の意思に感謝しておいた方が良いのかな?


¶エルナちゃんバンバン感謝しちゃって良いですよ♪


                           by創天の意思


 随分と気軽話し掛けて来るなぁ。この創造主。

 まあ、それが創天の巫女の力なんだろうけど。


「それでは報酬はお近くの冒険者ギルドか、聖ステルシェリア王国王都アステリズム東大門支部でお受け取りください。出来ればうちに来て欲しいですねぇ~」


 これで騎士団派遣の取り消しも、エーランブラム山噴火の問題も片付いた。

 これで漸く一息つける。まあ、まだクエスト報酬を確認してないけどな。




※一週間ぶりです。何とか書けました。

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