265 エーランブラム山大噴火諸々の処理

 エーランブラム山が火山雷を伴う噴煙を上げ、溶岩流と新しく作り直され活性化した霊脈龍脈が光輝き山体をカラフルに彩る。エーランブラム山を覆う『夜想聖域結界ノクターン・サンクチュアリ』の夜の帳の所為で、山がまるでゲーミングPC彷彿とさせどうしても可笑しな気持ちになってしまう。

 いやいや、もちろん火山の噴火なんだし、非常に危険でそんな気分になるのは不謹慎だって分かってるんだけど……ほんと凄い見た目になってるんだよ。だってこれ、どう見てもゲーミングマウンテンだよ?


 さて、今もエーランブラム山の噴火は続いるのだが、噴火口が作られたのは人のいない場所にしたし、火山弾は『夜想聖域結界ノクターン・サンクチュアリ』が防いでいる。溶岩流も修行者達の集落やパープシャル村を避ける様に操作している。後は、エーランブラム山のマグマ溜まりから溶岩を全て吐き出させるか、噴火のエネルギーを霊脈龍脈の命脈の安定化と定着に合わせて一緒に抑え込むかの二択と行った所か。


「う~む。恐らく、噴火が新たな龍脈を作り出すために必要だったのじゃろうが、噴火が長引いてもあまり良い事は無いじゃろう」

「そうだね。村の人達や修行者の皆さんの安否確認もしたいから、手早く噴火を鎮めようかな」

「うむ。もちろんわしも手伝うぞ」

「にゅにゅ! わちもやるのじゃ!」


 という訳で、エナとチナの三人で所謂地鎮祭を執り行う事にした。

 桜とチエは『夜想聖域結界ノクターン・サンクチュアリ』の維持に集中してるし、早くやってしまおう。

 ちなみにサレスは、現現状何も出来ない無いので、金色千手阿修羅共々置物状態だ。


『畏み畏み申す』


 神道における祝詞の口上から始まり、マグマ溜まりの溶岩や噴火自体に干渉するのではなく。この地の星精に直接働きかける。まあ、散々向こうのから干渉して来ていたのだから、こちらからの働きかけに応えない訳が無いよな。

 ちなみに、この祝詞の口上は『龍脈星髄』の使用法に付随した物だ。


 祝詞を唱え儀式を続けて暫くすると、火山性の地震とその噴火が徐々に治まって行く。地表に流れ出た溶岩も、熱を奪い素早く冷やし固める。

 水神であるエナとチナの二人が手伝ってくれたお陰か、割と早く噴火の火勢が治まった気がする。完全に噴火が治まったら、流石に修練場や集落,パープシャル村に安否確認に行かないとダメだよな。


 暫く儀式を続けると。星精への働きかけが上手く行き、星精側からの協力も有ってか新しい霊脈龍脈が速やかにこの地に馴染み定着安定する。そう、エーランブラム山が静けさを取り戻したのだ。


「ふむ。もう大丈夫じゃな」

「ふみゅ、鎮まったのじゃ」


 エナとチナもそれを肯定する発言をしているので間違いないだろう。


「それじゃあ、もう『夜想聖域結界ノクターン・サンクチュアリ』は解除しても大丈夫なんですか?」

「うむ。解除しても問題無かろう。それに、溶岩も冷えて完全に固まっておるしのぅ。バッチリじゃ」


 エナのGOサインで桜とチエが『夜想聖域結界ノクターン・サンクチュアリ』を解除する。夜の帳が消え去りエーランブラム山に太陽の光が射し込む。

 まさか二人も、ボス戦の後に長時間領域結界を張るとは思ってなかっただろう。明らかに疲労の色が見える。まあ、俺だってまさか噴火するとは思って無かったしなぁ。


「村の人達と修行者の皆さんが無事なのか気になるけど。安否確認は、少し休憩してからにしようと思うんだけど良いかな?」

「ふむ、そうじゃのぅ。予想外の事で皆疲れておるし、わしは休憩するのに賛成じゃ」

「みゅ! わちはもふもふを要求しゅるのじゃ!」


 休息を取ってから安否確認に行くと決めると。

 チナが癒しと魅惑のもふもふウサギとオオカミを要求して来る。


「主様! わたしもそれを要求するのです!」


 目をキラキラさせながらチナと同じ物を要求するチエ。

 やっぱり転生の時に必要だったとは云え、チナの要素を取り入れた所為か所々似た部分が出て来るよねぇ。


「はいはい、ウサギさんとオオカミさんですね~」

「にゅ! やったのじゃ!」

「えへへ、楽しみです!」

「む? ウサギさんとオオカミさんじゃと?」


 エナが頭に?マークを浮かべているが、『ラビットボムズ』と『メテオウルブズ』を使い、眷属のウサギとオオカミを召喚する。


「きゅきゅ~♪」

「わふっ!」

「もふもふGETなのじゃ!」

「ふっふっふ、お前のもふ力堪能させて貰おうか!」


 目の色をを変えたチナが真っ先にもふもふの中に突っ込み、何故かチエはもふもふ相手に新キャラクター性を見せる。いや、何のキャラだよ。


「ふにゅ、癒しと言えばこれなのじゃ♪」

「えへへ、もふもふぅ~♪」

「な……なんじゃ、このもふもふわ!?」


 二人がもふもふと戯れているのを見て、エナがわなわなと震えながら驚愕の声を上げ近くに居たウサギをもふる。


「何と言う事じゃ……! この様なもふもふ、わしも初体験じゃ! すばらしいのじゃぁ~!」


 慣れた手付きでウサギをもふると、エナのもふもふに対する感想が口から零れ、「堪らんのぅ」とエナが御満悦の表情を見せる。

 なるほど~。チナの大元であるエナがもふもふを嫌いな訳無いかぁ~。寧ろめっちゃ好きみたいだな。




 小一時間ほど美幼女と美少女のもっふもふな獣達との戯れを見て休憩した後。

 空を飛んで7合目にある修練場へ向かう。異界化領域だった時は飛行高度や移動に制限が有ったけど、今はそんな物は無いので直ぐに修練場に到着する。


 修練場に到着すると。直ぐにフロイドさん達が出迎えてくれた。


「感じていたましたよぉ。この山が解放された事を。まあ、噴火が起こった事は意外でしたけど、霊脈の状態を考えると仕方ない事ですよねぇ」


 フロイドさんは大体の事は把握しており、エルナ達が『龍脈星髄』を使って霊脈を新たに作り復活させた事もだ。

 ちなみに、話を聞く限りここには大噴火の被害を受けた人はいなかったらしいし、騎士団の派遣要請のために山を下りた修行者達も勿論無事との事だ。

 もしホーンリアの騎士団が、派遣に応じてエーランブラム山に来ていたのなら騎士達は無駄骨だ。すまんな。でも、今回は状況的に派遣して貰うのが妥当だったからしょうがないよね!


 フロイドさん的には、噴火の被害を受けた人は居ないそうだが。

 取り合えずの安否確認なので、3合目にある修行者達の集落にも行くことにした。

 こう云う確認は大事だからね。




※三日に一回更新する心算なんですけど、ちょっと時間が無くて間に合ってないです。すみません。あと、そろそろ二章が終わる予定です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る