256 〈呪霊灰山 山頂 呪界儀式門〉3 五色鬼灰神 赤灰炎呪ウルザスマ
ズッ!! 上から圧し掛かる様なプレッシャーがエルナ達に生じる!
これは、やっぱり攻撃間に合って無かったかぁ。
「なるほどのぅ。あの灰色の太陽が呪界へ繋がる門じゃったか。何が出て来るやら……」
「これは、余計なモノを呼ばれてしまったみたいですね」
プレッシャーを感じ尚且つ、エナとチエが見る空に視線をやると。
空に座す灰色の太陽に、徐々に縦の切れ目が入って行く所だった。
切れ目が完全に入ると、灰色の太陽の光の中に赤い光が混じる。
灰色の太陽の切れ目の向こうから、物凄い熱量を感じる赤い光が漏れ出ているのだ。
「ふむ。この気配、少なくとも大神が出て来る事は無さそうじゃな」
「でも、何だか嫌な感じですね」
「うにゅ」
エナの言う通り流石に大神が呼び出される事は無さそうだが、桜とチナが感じる様にあまり良い感じはしない。
まあ、エピックボスの天牙地が呼んだモノなんだから当然か?
「む! 門が開くぞ!」
ゴウッ!! 灰色の世界を引き裂く様に、猛烈な熱を孕んだ赤い光の柱が大地に突き立つ!
赤い光からは禍々しさと畏怖を同時に感じる。
もしかしてこれは、神力なのか?
ゴゴウッ!!! 紅い光の柱の熱量が急上昇し、一気に炎が噴き上がり光の柱は真っ赤な火柱に変わる!
「良くないモノが来るのじゃ!」
シュン!ドドォ――ン!! 火柱の中を強烈な光が駆け下り、衝撃で真っ赤な炎が周囲にバラ撒かれエルナの肌をちりちりと焦がす!
火勢が少し収まり、炎の向こう側に人型の何か居るのが分かる。
『ほう……此処がかの有名なエルアクシア世界か。しかし、先陣を切るのが分霊とは言え、【呪鬼】様でも他の五色鬼灰神でも無く。このウルザスマとはな』
高さ3mは有る人形の炎が、大気を震わせ呪詛とも神気とも感じ取れる力を帯びた言葉を発する。それが言葉を紡ぐだけで、熱波が広がり空気が乾いて往くのだ。
もう少しそいつの見た目を詳しく言うなら、右手に槍の形をした炎を持ち背には三つの炎環、首には炎で出来た数珠らしき物。これも炎なのだが、腰には先端に錘が付いたロープを身に着けている。
そして、全身が燃え盛る炎その物と言った姿の所為で分かり難いが、二本の角らしき物と通常の右目の下にもう一つの目が有る三眼の異貌の炎鬼だ。
『魂灰蘇炎』
その炎鬼が、炎の吐息を吐きながら力ある言葉を放つと、灰色の炎が燃え上がり天牙地の魂と肉体が再構築され復活する! って贄にされた魂も復活出来るの!?
「おお! 偉大なる
復活した天牙地が、直ぐ様炎鬼に拝む様にして礼を取る。
『灰呪行僧 天牙地よ。分霊としての現界では有ったが大儀である。これからも、【呪鬼】様に誠心誠意仕えるが良い』
「ははっ!」
敵のやり取りの間にパーティチャットが開く。
エナ:あの炎鬼。自分の事を分霊だと言っておるが、恐らく上位分霊。
間違いなく、わしよりも格上の最高位の神格じゃ。
じゃが、本来の姿で戦うには奴は小さいし。
この山頂フィールドもあまり広く無さそうじゃ。
故にチナとチエよ。完全な竜化は無しじゃが、最初から全力で行くぞ!
チナ:りょなのじゃ!
チエ:大姉様了解です!
うぇ!? あの炎鬼エナよりも格上なの!?
もしかしてこれってヤバい?
『しかし、我らの戦力が碌に揃っていない状況で、もうこの世界の神に嗅ぎつけられるとはな。聞いていた以上にこの世界の神々は優秀らしい』
「はい。その様です。
『そうか。それで天牙地よ。確か転輪神の加護であったか? 此奴らは持って居ると思うか?』
「ええ、持って居るでしょうねぇ。ですが幸運な事に、我らの動きが他の神々に伝わっている訳ではなさそうですよ」
『ほう。ならば肉体を滅した後、魂を捕えねばならんな。少しでも、我らの策が露見するのを遅らせ、戦力を増強せねばならんからな』
「ええ、それが良いでしょう」
グっとプレッシャーが強くなる。やる気の様だ。
魂を捕えるとか何かヤバそうな事言ってるし、これはガチで負けられないぞ!
『此の地を我が神域とする。さあ、我が手に落ちるが良い!』
灰色の光に満たされた山頂の空間が、炎鬼の言霊で火の粉が舞う血の様に真っ赤な炎に染め上がる!
¶エピッククエストEXTRABOSS 五色鬼灰神 赤灰炎呪ウルザスマ(上位分霊)の炎呪神域が開かれました。
「【竜威 淵水氷絶】!!【神威顕現 冠絶天耀水環】!!」
「【竜威 水天聖装】!【神威顕現 天耀水環】なのじゃ!!」
「【龍威 天雷白装】【神威発露 天雷白光】!」
ウルザスマが神域を開くと同時に、エナ,チナ,チエの三人が一気に力を解放する!
竜の持つ世界に根差す強大なエネルギーと溢れ出る膨大な神力が、先程開かれたばかりのウルザスマの炎呪神域を大きく揺らす!
ちなみに、三人それぞれの『竜威』と『神威』を表現するとこんな感じだ。
エナが『竜威』を発揮すると。普段人の姿の時には隠している羽の様な鰭を広げ、身体には深く青い竜鱗が現れる。そして、竜気と冷気の籠った深淵の水を纏うのだ。
更に『神威顕現』は、ウルザスマの炎呪神域を押し返す様に、青く澄み渡る空と天に輝く水の環を広げて行く。
それでチナの『竜威』は、エナと同様に竜鱗と鰭が現れその身に聖水を纏い。『神威顕現』は、エナの『神威顕現』を後押しするかの様に作用している。
そして、チエの『龍威』は、やはり普段隠している角が露わになり、龍鱗が身体には現れ白い稲妻を纏う。そして、チエの『神威発露』は、神力を帯びた雷光をその身体から発する物だ。
『竜威』とは、人の姿のまま竜の要素を強く引き出してパワーUPする事の様だ。
それと『神威顕現』は、神域を超える事象法則の支配と言った感じだろうか?
「それと、わしの取って置きの大神級神器、深淵圧縮カナンアンキュロアじゃ!」
エナが自らの神域から、金色の龍が巻き付く意匠が施された深青色の巨大なハンマーを取り出し構える!
エナの取って置きのハンマーは、その巨大な見た目なだけで無く。ブラックホールを思わせる物凄い重圧と、引き込まれる様な底知れなさを感じさせる。
うん、これは強そうだ。
『ほう。最初から出し惜しみ無しの全力か。その意気や良し! ならばこのウルザスマも、最初から全力で相手をしてやろう!』
これが、このエピッククエストの本当のラストバトルか!
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