255 〈呪霊灰山 山頂 呪界儀式門〉2 灰呪行僧 天牙地2
「む? 今のは身代わりと転移、両方の効果が有る術かのぅ?」
「はっはぁーっ! 流石は神! 鋭いですねぇ! その通りですよ!」
天牙地が余裕たっぷりに手を叩く。
そんな天牙地の様子を見たチエから、ビリッ! 静電気の様な物が発せられる。
「不愉快ですね! なら、身代わりも転移も潰してあげますよ! 『神鳴雷舞 瞬転雷火』!!」
カッ!! ドゴゴゴォ――――――ン!!
チエのアーツが発動した瞬間、エルナの視界が無数の落雷で埋め尽くされると同時にチエが瞬間移動する!
「これはっ!? 『怨 散灰紙渡瞬転 蘇灰禍』!!」
ゴロゴロゴロォッ!! 雷撃とチエの直接攻撃を、形代に肩代わりさせ天牙地が別の場所に出現。しかし、天牙地が現れた瞬間に雷が落ち、同時にチエが現れ斬撃を入れる! そんなやり取りが、数舜の間に何度も繰り返される。
「ふぅーっ! 危ないですねぇ! 今のは焦りましたよ」
「チッ!」
渾身のアーツが全ていなされ、チエが思わず舌打ちする。
うん。チエめっちゃキレてますね。
「ふにゅ! ならば、これならどうじゃ!」
チナの声で、何時の間にかフィールドが霧に覆われている事に気が付く。
「『幻水蒸霧氷散刃』なのじゃ!!」
「これでは反撃する暇が無いですねぇ! 『怨魔禍 灰灰呪柱紙片群 蘇灰禍』!!」
ヒュオウッ!! チナのアーツの宣言と共に、フィールドを覆う霧が鋭利な氷の刃となり天牙地を襲う!
だが同時に、天牙地の全身に巻き付く包帯がザワリと波打ち、夥しい数の形代が物凄い勢いで包帯から飛び出し、その形代だけで3mは有ろうかという柱を作り出す。
シュバ!!ズドドドドドォォォッッ!!!!!! 無数の氷刃が天牙地の身体を容易く切り裂き、ビキバキと天牙地の身体を凍結した上追加の氷刃が更に切り砕く!!
しかし、直ぐに何事も無かったかの様に天牙地の身体が元に戻る。
しかも、幾ら攻撃を受けても元に戻り平然としているのだ。
だがそれを見て、直ぐにピンと来る。
これは、さっき天牙地が作った形代の柱の所為だとね。
「くはっ! 痛いですねぇ! ですが漸く反撃出来そうですよぉぉっ!!」
「むみゅぅ! わちの攻撃が効いて無い訳では無いのじゃ! だから攻撃はやめないのじゃ!!」
そう、攻撃は効いてる。
天牙地が一定のダメージを受けると、柱の形代が一つ灰となって燃え散るのだ。
でもこれは、どう考えても先に形代の柱を処理しないとダメだよな。だってあの柱全部形代で出来てるし、どんだけ身代わりするんだよって感じだからな。
「くはっ! これでは、直ぐに身代わりを消耗してしまいますねぇ! 対処させて貰いますよぉ! 『怨魔禍 灰紙炎鳥 火葬鳥葬 呪哭叢煙 蘇灰禍』!!」
再び天牙地の包帯が波打ち、包帯の隙間から夥しい数の鳥型の形代が飛び出し、炎と煙を吹き上げながら飛び回りエルナ達を攻撃して来る!
おまけに、その炎と煙がチナの作り出した霧に干渉して氷刃の生成を阻害する!
こちらへの攻撃と妨害の両方を、一度に為す実に的確な反撃だ。
『コスモシェイヴスナッチ!!』
ゴウッ!! 空気が大きく揺らぎ金色千手阿修羅の手が形代の柱を一気に抉る!
天牙地が普通の人間サイズで、おまけに瞬間移動と身代わりが得意という事で、どう攻めるか悩んでいたサレスが動いたのだ。
ギュオン!! サレスはそのまま、『コスモシェイヴスナッチ』でゴリゴリと形代の柱を削り取って往く。
「なんとぉ!? 幾ら外力甲冑とは言え、そんな簡単に私の身代わり呪柱を破壊出来るのですか!?」
ま、『コスモシェイヴスナッチ』は普通に考えてもヤバいから、天牙地の反応も分からなくはない。でもまあこちらとしては、天牙地が動揺している今が丁度ねらい目だけどね!
なので。サッとアステルエルアクシアに矢を番え、『時読視ノ矢』を発動する。
俺の脳裏に、約3分先の未来の可能性が垣間見える。
「『アステルイリスシャワーダンス』『時空翔箭』!!」
ヒュオン!! シュバババババァッ!! 俺は、無数に分裂し追尾する虹の矢をアステルエルアクシアから放ち、直ぐに二射目を番え時を渡る矢を次いで放つ!
「くっ!? 『怨 灰紙瞬転 蘇灰禍』!」
殺到する虹矢の群れを天牙地は身代わりで回避するが、天牙地が瞬間移動した先へと虹矢が追いかける!
「むお! ならば『怨 散灰紙渡瞬転 蘇灰禍』!!」
パッと形代を撒き、天牙地はチエの『神鳴雷舞 瞬転雷火』を凌いだ術を発動する。まあ、『時読視ノ矢』で見た通りだ。
『
身代わりを残して転移する天牙地を、桜の影鎖が本体と恐らく次の転移先となる形代共々拘束する!
「『天神雷速』『無間光刃』!!」
直ぐ様。超加速したチエが、光刃をバラ撒きながら天牙地に接近する!
『怨 爆灰石火 灰天霊身!!』
「む! 『空隙爆氷』じゃ!!」
チエの接近を嫌った天牙地が術を発動する!
すると天牙地の身体が瞬時に爆散。しかし、それにエナが超反応して辺り一面を瞬時に氷で閉ざす!
「ぐっ……はぁっ……!?」
トスッ! 氷の中で霊体となった天牙地に、この確実に命中するタイミングで『時空翔箭』の矢が時間と空間を超え突き刺さる!
「くぅっ!? これは流石に参りましたねぇ……!」
これでもう天牙地は、アステルエルアクシアの攻撃から逃れる事は出来ない。
『再度必中』の餌食だ。
「はぁ~、本当にこれはいけませんね」
あ、これ。天牙地がまだ何か仕掛けてきそうだぞ!
「出来る限りの事をして置きましょうかねぇ!」
これ絶対厄介な事に為るヤツだ。
良し! 余計な事をされる前に仕留めよう!
『我が魂を頸木に、霊峰の力と贄を灰灰の呪界に御座す
って、こちらが仕掛ける前に天牙地がもう何か詠唱を始めているぞ!?
直ぐに、強化された事で使える様になったアステルエルアクシアの必殺アーツを、天牙地に向かって解き放つ!
『アステルシャインブラスター!!!!』
『天呪の門開き、我らの
シュゥ――ッ!! ギィィィジュバァァァッッッ!!!!!!
凝縮された星輝の輝きが一条の光となって天牙地を飲み込む!!
詠唱が終わってた様に見えたが……こっちの攻撃間に合わなかったか?
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