244 〈呪霊灰山 8,9合目 灰影庭園〉30 宝物庫の守護者 銀砂宝環機HGNエングレイブドAR18

サレス視点


 ブオン!! カシュカシュッ!! ブシュ――ッ!!!

 動きを止めたエングレイブドの全機体装甲パーツの継ぎ目に沿って光が走り、蒸気を噴き上げながら光のラインに沿って装甲が可動し内部が解放される!!

 解放された機体内部は破壊された砂時計のギミックの代わりに、現状のコアグラスを思わせる光を放つ金属ケーブルとパーツが見えた。

 俺が少し前まで乗っていた巨骸機構甲冑の必殺アーツの状態に近いなぁ。

 ユ〇コー〇かな?


 ヴィ――ン!! ガシャガッシャン!!!!

 装甲の解放だけでは終わらず、内臓砲塔やウェポンラックの武装も全て展開する!


 それらを見て漸く思い至る。

 ああ、そうか! エングレイブドの次の行動はフルバーストだ!!


『『JIIBAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』


 防御! 俺は鬼装黒炎骨格ヘルカコルクス・浄の『鬼装黒炎纏い』、砂骸甲冑ギブシンサラマンダーの『自在砂骸』,『砂鉄鎧アイロンサンドアーマー』、フォリンクラルムの三つの専用アーツと立て続けに発動。更に、回避率向上と物理干渉無効の確率UPのため、黄金大鉞の『朧々霧香』,『大山幽玄』使用する!


 ズドドドドドゴゴゴズババババァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!! 破壊を齎す無数の赤の光線と光弾が、復活した灼熱する赤錆の嵐を伴いフィールドを赤く染める!!


「おおおおおおおおっ!!」


 赤く輝く弾丸,ミサイル,極太拡散レーザーを、大日金剛太郎マグナ・アウルムウルサスEXを駆り可能な限り回避!

 何発も被弾するが、防御を上げて有るお陰で機体ダメージは軽微。なので、岩塔鬼槍 破照魔の装備魔法、『ギガロックカノン』と『メガロックシャワーフォール』を盾&妨害攻撃として使用し、専用アーツの『ストーンクラウド』で更に防御を固める!


「流石にこれが続くのは鬱陶しいのじゃ! これで止まるが良い! 『雪降り積もる冬の静けさに真の冷氷が宿る! 『真静氷雪』』!!」


 ヒュオウッ!! エナを中心に冬の冷気と氷雪が溢れ出し、灼熱する赤錆の世界を逆侵蝕する!


『『GIGA!?』』


 ピキピキメキメキメキメキィッ!! 溢れ出した冷気と氷雪に侵蝕された空間は、まるで時間が止まったかの様に静かに何も動かなくなり白く染まって往く。

 それは、エングレイブドの赤錆の嵐はもちろん、フルバーストによって発射された物も例外ではない。


「ふふん♪ 時間停止くらいわしにも出来るのじゃよ?」


 めっちゃドヤ顔である。かわいい。


「流石は大姉様! 尊敬なのです!」


 チエがエナを讃える中、エングレイブドの機体表面に徐々に霜が降り、周囲の状況と同様に赤錆の領域を白く染めて往く。そして、その霜がコアグラスに及ぼうとした所で。


『『GA……GAGA……GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』


 コアグラスから真っ赤な光が立ち昇り、表面には幾何学模様が浮かび上がる。

 次の行動はパーフェクトシルバータイムだが、赤錆化の影響で如何やらこれも変化したようだ。元々の効果がクソ厄介だから、影響を受ける前に対処したいな。


 ギッ!ギギッ!ギギギィッ!! バチバチギギッ!!ギリギリギリィッ!!!!!

 幾何学模様の浮かぶ真っ赤な光の柱が、フィールドを逆侵蝕する『真静氷雪』の生み出した静謐なる冬の世界を押し返そうとする!


「ふふっ♪ これをここで使われたら嫌ですよね? さあ!光を喰らいなさいラーフ!! 『蝕光暗空』!!『蝕光黒陰』!!!『蝕光黒断』!!!!」


 ブン!!ギュオン!!! グオン!!ゴギュシュゥン!!! 真っ赤な光を放つエングレイブドのコアグラスに神速で接近したチエが、金蝕星剣ラーフの光を喰らう三つの専用アーツを立て続けに発動して、コアグラスに向かって叩き込む!!

 ちなみに、『空絶黒導明滅』はまだクールタイム中だ。


 バキャ!!グゥオン!!! ラーフの光を喰らう三連撃を発生源であるコアグラスに受けた所為で、幾何学模様が浮かぶ真っ赤な光の柱が根元から圧し折れる様にして闇に飲まれる!!


『『GAGAGA!!!??……G!?』』


 メキメキメキメキィッ!! 光を失ったコアグラス瞬く間に霜が降り、エングレイブドの動きが停止する!


 おお!? マジか! 完全に動きが止まったぞ!!

 次の行動から一段と強力な攻撃の様だし、エングレイブドの動きを止められたのはラッキーだ。おまけに、エルナのチャージ時間も稼げるだから一石二鳥だ。


 あと、これは俺の予想だが。エングレイブドはパーフェクトシルバータイム無しでは、例え動けたとしても直ぐにギミック行動は出来ないんじゃなかと思う。

 だってクールタイムを解消する為に、このタイミングでパーフェクトシルバータイムが入ってるとしか思えないからな。


「しかしまあ、流石にこれはもう勝っただろ!」

「ですね!」

「うむ。あやつは『真静氷雪』の力で再生出来んし、スリップダメージも入っておるのじゃ。このままわし等が削っても倒せそうじゃのぅ。まあ、スンナリ行くとは限らんのじゃがの」


 ジュウッ!! エナの懸念が直ぐに示される。

 今やフィールド全域を覆う『真静氷雪』の霜や氷雪の上に、灼熱を帯びた赤錆が姿を現したからだ。


「こいつは、動き出す前に一気に叩くしかないな!」

「なら、主様達にも攻撃して貰わないといけませんね!」

「うむ。それが良いじゃろうな」




エルナ視点


 ふむふむ。高次元化した影の空間内で休んでいる間に、如何やらサレス達がエングレイブドを追い詰めた様だ。


「どうやら外でサレス達が、エングレイブドを追い詰めた見たい。星極輝をMAXまでチャージ出来て無いけど。行けるよね?」

「にゅにゅ! きっと大丈夫なのじゃ! 星極輝はエルナが止めない限り、放った後もエネルギーが増えるのじゃ!」

「えっ!? そうなんですかチナさん!?」

「うみゅ! わちは見てたから分かるのじゃ!」

「エルナさん?」

「え~っと……、確かにそんな風に星極輝を作ったかも?」


 確か最初に試作した時に、星極輝が延々と自動無限増殖する感じになって、危ないから任意に制御出来る様にしたんだっけ?

 うん。星極輝は簡単に性質を変えられて、しかも一回しか使った事無いから普通に忘れてたわ。


「エルナさん! 流石にそれは覚えてないとダメじゃないですか! それにそれって、コアグラスに当てさえすればもう勝ちじゃないですか!」

「Σあう!? そっか……ごめんなさい桜……てへ♡」

「も、もう、しょうがないですねぇ~。あ! それとチナさんも、分かってたなら直ぐに言ってくださいね!」

「Σのじゃ!?」


 チナがとばっちりを受けちゃったけど。エルナの可愛さを駆使してちゃめっ気たっぷりに謝ったら、桜は直ぐに許してくれたよ。よかったよかった。


 何はともあれ。エルナ達が影の外に出たら、エングレイブドのコアグラスに一斉攻撃をして、一気に蹴りを付けるという方針に決まった。

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