224 〈呪霊灰山 8,9合目 灰影庭園〉10 灰影夜天法鬼シャヌルヤクシャ リザルト

 それにしても、ただの強MOBが、ボスに変異するとは思わなかったなぁ。

 まあこいつ、元々ボスなんじゃないかって疑う様な能力を持ってたんだけどさ。

 でも、影法鬼だっけ? 元はこいつただの強MOBだし、まだこいつお仲間が灰影庭園を徘徊してるんだよな。また変異するって事は無いと思いたいんだけど……。 

 まあ、なるべく遭遇しない様にするしかないかな~。


「それじゃ、討伐報酬が出たから見てみようか?」

「ふむ。お宝じゃな? エルナの分は貰えた様じゃが、わしの分は掠め取られてしまった様じゃのぅ。創天様からお告げが有ったのじゃよ」

「大姉さま、わたしのお宝も同じ見たいなのです」

「え? もしかして、エナとチエにもほんとは討伐報酬が貰えたはずなの?」

「うむ。わしもお宝が欲しかったのぅ」

「はい……。くぅ~、主様にお宝を献上したかったのです!」


 エナもチエも残念そうで、チエは特にエルナに討伐報酬を渡せないのが、非常に悔しい見たいで地団太を踏んで悔しがっている。うん。なんか可愛い。

 ま、お宝大好きなチナの本体であるエナと、チナの影響を受けて生まれ変わったチエは、当然の如くお宝大好きだからこの反応は仕方ないね。


 で。どうやら、エナとチエの討伐報酬を生み出すためのリソースが、ラストアクションの為に夜天法鬼が無理矢理延命されている間に、全て持って行かれてしまったらしい。もちろん、ドロップも全部消えているし、流石は侵略者の仕掛け紛うことなきクソ仕様ですわ。


 さあ。とにかく気を取り直して、パーティリーダーのエルナに送られて来た討伐報酬のチェックだ。

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夜影天狗鬼面シャヌルヤクシャ・喜悦

フレーバー:カァーカッカッカァ!! 凡愚共には我が秘儀を見破れまい!!

灰影夜天法鬼シャヌルヤクシャの影の顔と力を模した面。真っ黒な面だが立体的に作られており、ちゃんと喜悦の表情している。鬼らしく二本の角も付いているが、面の鼻の高さはアース人の良く知る有名な天狗像の元と違い、一般の鼻の高さを少々逸脱する程度。

※この天狗鬼面を装備するには、BALV3000以上必要である。

パッシブ 潜影幻身・劣 高速影移動 捷疾鬼 天狗道

専用アーツ 影空蝉 影鬼分身 天狗影倒し 天狗影礫 天狗影火 夜天霞影縛り

      天狗影隠し 夜影侵蝕同化

STR+10980,RES+6290,DEX+4470,AGI+27600,IMA+40760

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「ほう! これはかなり良い物じゃな! わしらの掠め取られたお宝のリソースの残りが、このお面に全て流れ込んだようじゃ!」

「なんと! ただリソースを掠め取られただけじゃなかったんですね! 良かったぁ!」


 チエは一部とは言えエルナが手に入れた討伐報酬に、自分のお宝のリソースが使われて強化された事が嬉しいようだ。


 ちなみに、エナ曰くこのお面はステ補正的には大神神器級なのだが、総合的には高位クラスの神器と云った所の様で、『潜影幻身・劣』に劣が無ければ最高位クラスの神器と為っていたとの事。何方にせよ、大神神器級の神器には及ばないようだな。


「なるほどね。所でこのお面、阿修羅面相に取り込めるのかな?」

「む。LV制限が有るからなぁ。一応やって見るか」


 試し見た所、サレスの阿修羅面相トリニティエフィスに取り込む事は出来たのだが。このお面の装備にそもそもBALV3000以上必要な所為か、現状取り込んでも装備効果の恩恵を受ける事は出来ない見たいだ。残念。

 という訳で、BALVが3000に為ったら阿修羅面相に取り込むとして、それまでの間は誰に使って貰うのが良いかな?


 現在、BALV3000を確実に超えているのはエナだけだ。

 でも、分霊のチナも能力が1/2と言うだけで多分LVは同じはずだ。

 なので、装備が出来るのならチナに装備して貰うのが良いだろう。


 ちなみに、エナは良いのかと云うと。エナはそもそもめっちゃ強いし、いざと為ったら自身が所有する秘蔵の神器を使うので必要ないとの事。


「チナはこのお面、装備出来るかな?」

「ふにゅ? 着けて見るのじゃ!」


 チナがお面を被るとちゃんと装備できた様だ。

 お面を被ると、チナの顔が見えないのが残念だなぁ、と思っていたのだが。

 頭に着けて居れば、顔に直接着けなくても問題無いと分かったので、先頭の邪魔に為らない様に後頭部に装着した。


 ちなみに、このお面には紐等無く、吸い付く様に貼り付くタイプの装着方法のお面だった。


「わち、パワーUPなのじゃ!」

「うむうむ。よかったのぅ」


 お面を顔の方に持って来てヒーロー参上っ!とポーズを決めチナはご満悦の様だ。

 エナもチナの気持が移ったのか嬉しそうだ。

 二人の尻尾が、楽しそうに左右に揺れているのが可愛い。


 あ、そうそう。これで影を扱う装備三つ目だけど。どうやら、影を扱うにはIMAのステが必要不可欠の様だ。多分影の攻撃の威力とかも、IMAのステ依存なんだろうな。




 夜天法鬼を倒し、チナが新たな装備を手にした後。

 再び山頂を目指し灰影庭園を進んで行く。

 進んで行く道中。サメやカメとの戦闘はもちろんの事、影鬼の奇襲も何度も受けたのだが、影法鬼との戦闘は上手く避けて進む事が出来た。


「むむ! これはっ!」

「にゅ!? もしかしてお宝なのじゃ!?」


 エナが何かに気付いた様に反応し、そのエナの反応がお宝の事だとチナが敏感に察知する。


「うむ! そうじゃお宝じゃ! この特大の反応、恐らく宝物庫なのじゃ!」


 エナが確信を持って宝物庫の有る方角を指す。


「ふにゅ! エルナ、直ぐに行くのじゃ!」


 それを聞いたチナが、エルナの手を引っ張り駆け出して行く!


「ちょぉっ!? チナ!いきなり引っ張って走らないでぇ~っ!!」


 エルナが物凄い勢いでチナに引き摺られ、それを見た皆も慌ててついて来る。


「にゅ! 直ぐに追いつくのです!」

「わわ!? チナさん待ってくださーい!」

「チナは相変わらずだなぁ。でも、前に暴走した時と違ってエルナも連れて行ってるからマシか?」

「ふむ。チナ奴はせっかちじゃのぅ」

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