223 〈呪霊灰山 8,9合目 灰影庭園〉9 灰影夜天法鬼シャヌルヤクシャ4
『空隙爆氷』の効果が切れ、空間を埋め尽くす氷が消えて往く。
だが夜天法鬼は直ぐに動かない。
恐らく、こちらが何らかの対策を取って来る事を警戒しているのだろう。
なかなか用心深いな。
『カァーカッカッカァ!! 如何ヤラ貴様ラ、今ノ拙僧二攻撃スル手段ヲ持チ合ワセテイル訳デハナイヨウナァッ!!』
『フォールンサンブレイク』を自爆覚悟でやればいけそうだが、まあ危険だし夜天法鬼の言う通りかな?
『影鬼灰獄分身』
分身!? さっきと違って直接攻撃して来ないのかよ!
こいつまだめっちゃ警戒してるじゃん!!
『『『『『『カァーカッカッカァ!! 『天狗灰影火炎礫』!!』』』』』』
出現した夜天法鬼の六体の分身が、燃え上がる影の礫を大量にBTフィールドに降らせる!
「むう。小賢しいのぅ」
「丁度良い。これは俺が処理しよう」
サレスの乗る
『深山幽歩 幻身金剛坤』
やっぱり、この必殺アーツの移動の仕方ってなんか瞬〇殺っぽいんだよね。
ちなみにサレスは、『深山幽歩 幻身金剛坤』の瞬間移動で元の位置に戻るのをキャンセルして、紅輪阿修羅宝剣六本を両手と両足の鉤爪に挟み込んで、疑似六刀流で『
ドゴゴゴゴゴォォ――――――ン!!!!
夜天法鬼の分身達に防御無視の多段HIT攻撃炸裂する!!
『『『『『『『グォガッハァアアアアアアアアアアアアア!!??!』』』』』』』
夜天法鬼の分身達が苦しむと同時に世界が一瞬波打つ。
ん? なんだ今のは? 目の錯覚か?
それに、なんだか夜天法鬼の分身が苦しむ声が多い気がする。
もしかして、『深山幽歩 幻身金剛坤』が夜天法鬼の本体にもダメージを与えてる!? あ、分身は流石に今の『深山幽歩 幻身金剛坤』で沈んでいるよ。
「なるほど。今ので分かりましたよ! 『
ジャラララララララァァァッ!! 出現した影鎖がBTフィールドを広く囲う様に展開し、付加された次元干渉力が見えない何かを締上げる!!
『馬鹿ナ!? アレダケデノ情報デ拙僧ヲ捕捉シタダトォッ!!?』
「今の揺らぎだけでも、高次元宇宙精霊の私には十分な情報ですよ!」
夜天法鬼のカラクリを看破した桜曰く。
夜天法鬼は『夜影侵蝕同化』と『灰世天狗影隠し』を併用する事で、自身を疑似的な異相空間そのものと化しており、その上『夜影侵蝕同化』の副次効果で次元的な隠形効果を発揮、その所為で桜の『次元感知』にも引っ掛からなかったと言う訳だ。
もしかしなくても、初見殺しかな?
「はあぁーっ!!」
ズズズズズゥゥゥッ!! BTフィールド全体に広がり夜天法鬼を捉えた影鎖が、本来の空間へと夜天法鬼の本体を引きずり出す!!
そしてまあ当然の事なんだが、BIフィールドに重なる様に広がった異相空間と化した夜天法鬼がこちらに出て来れば、辺りは全く視界の効かない完全な闇に包まれる。
当然『ナイトビジョン』も効果は無い。なんせ、実質夜天法鬼の体の中だからな!
「ふにゅ! これを準備しゅてたのは
¶水竜神ブエナの分霊チナがフィールド攻撃『氷天静河・氷獄竜牙』を発動しました。
BTフィールドの全てが氷の惑星を思わせる氷球に一気に飲み込まれる!!
全てを飲み込んだ氷球は、闇と同化した夜天法鬼をメキメキと凍て付かせ氷漬けにする! そして、その氷球の内部で複数の異相空間に跨る様に荒れ狂う氷牙が、異相空間そのものと化した夜天法鬼の全てを蹂躙する!!
『グギギッ!?!ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?! 馬鹿ナァアアアア!??グギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
夜天法鬼は絶賛苦しんでいるが、『氷天静河・氷獄竜牙』は敵味方識別機能が有る為こちらは問題無く動けるのだ。
「行きます! 『生命の流転の果てに生じる幾多の魔と穢れよ! 聖浄なる光にてその全て祓い清め正しき円環の理に帰り給え!!『
チエが詠唱を以て聖域結界エリフィウェンティアの必殺スペルアーツを発動する!
¶天雷白龍神チエ・ヌイエ・ベルジープが、フィールド攻撃必殺スペルアーツ『
ドォォォオオオオオ!!!シュゥゥゥゥゥゥゥッッ!!!! ゴッバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!!
闇と氷の世界が白一色に染まり、天地を貫く光の柱もしくは壁とも言える物が灰影庭園に顕現する!
『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!』
子の絶叫とその詠唱からも分かるが、『
しかも、『氷天静河・氷獄竜牙』との相性が良かったのか、『
う~ん。それにしてもこれは、既にオーバーキルなのでは?
アナウンスは流れて無いんだけど、エルナの感覚というか直感? もしくは『星覚』かな? が夜天法鬼はもう既に終わって居ると感じさせるのだ。
スッと唐突に、こちらが発動していたアーツの効果が強制終了し、静寂と共にBTフィールドが闇に包まれ、夜天法鬼の姿だけがクッキリと浮かび上がる。
その夜天法鬼の姿を見て、ゾワッ!と悪寒が走り同時に確信する!
これは、ボスが死ぬ時に敵を道連れにするラストアクション!
所謂、強制自爆攻撃イベントだ!
『最早此処マデ……為レバコソ、貴様ラヲ道連レニシテクレル!! 『怨 灰灰式 虚空夜影 灰絶獄渦無道 恨』『灰獄虚空無影道』!!!!!』
ボコン!! 夜天法鬼の体が消え去りそのの形に空間がへこむ!!
その空間のへこみはどんどん深く沈み込み、やがて悍ましい怨嗟と呪詛が燃え盛る黒灰の地獄へと繋がる!!
はい! やっぱり自爆攻撃でした! 畜生め!
ドッッ!!!!! 灰獄へと繋がる道、その物と化した夜天法鬼の周囲の物全てが、穴としか思えないその道に向かって、空間事ぐにゃぐにゃと歪み引き伸ばされ、穴に落ちる様に吸い込まれて行く!!
「むぅ! これはいかんな。取り合えず、これでは時間稼ぎにしかならんが。ゆくのじゃ! 『透龍真水波』!!」
エナが発動待機していた、『透龍真水波』の透明な水の龍を解き放つ!
解き放たれた水龍は、『透龍真水波』の持つ空間に作用する力で夜天法鬼が開けた空間の穴を、少しでも塞ぐ様にとぐろを巻きその流れを塞き止める!
そして、これだけの時間があれば、霊伐魂葬アルシュマの力の使用を、アーツからアビリティへ切り替えて発動するには十分だ。
『死変幻想!』
夜天法鬼自身を道として作り出した灰獄へ落ちる穴が、ブラックホールの如く周囲の空間事全てを飲み込み痕には巨大なクレーターだけが残る。
そんな光景が幻の如く消え去り……。
¶特殊BOSS 灰呪の庭園の守り手 灰影夜天法鬼シャヌルヤクシャを討伐しました。
パーティリーダーのギフトボックスに討伐報酬が送られます。後でご確認ください。
ふぅ~、ボスの道連れラストアクションも、『死変幻想』で無事幻に出来た様だ。
流石は大神神器、全く本来の力が解放されて無いのにこれだもんな。
「ふぅ~、アレは危なかったですね。吸い込まれて居たら、例え復活できたとしてもどうなっていたか分かりませんね」
「だな。灰獄って場所で無限リスキルとかされそうだもんなぁ。恐ろしいな」
無限リスキルも有りそうだが、キャラロストとかも在り得そうなんだよなぁ。
「でも、主様の大神神器のお陰で、何とかなったのですよ」
「ふむ。そうじゃのぅ。死を幻想に変えるとは、流石は【死呪の御主】様の大神神器なのじゃ。やはり、大神様方の御力は飛んでもないのぅ」
「ほんと、お陰で助かったよ! 【死呪の御主】様には感謝だね!」
「うむ! 確かに【死呪の御主】様には感謝せねばなるまいな!」
いや~、カーベルカ―ロッタ様々だね。
これは霊伐魂葬アルシュマで、完成度の増したコスプレしたらマジでヤバそうだぞ。ガチの切り札に出来そうだな!
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