216 〈呪霊灰山 8,9合目 灰影庭園〉2 庭園の景観を作るもの
灰混じりの砂が幾つもの綺麗な筋を作り、その中に大小の石や岩が点在する灰影庭園を歩いて進んで行く。
ちなみに、サレスは金色千手阿修羅に搭乗している。DX機動鬼熊
そんな訳で変わり映えのしない灰影庭園を、時折襲って来る影鬼達を撃退しながら移動して行くと。灰混じりの砂の上に作られた幾筋もの畝の中に、唐突にサメやイルカなどの背鰭を思わせる様な物が現れる。
それは、一つだけでは無く。幾つもの背鰭らしきものが、灰混じりの砂の上を滑る様に動き回っていた。
「もしかしてアレが、この砂地に箒目模様を作り出してる?」
俺の声に反応したのか分からないが、背鰭らしきものが一斉にこちらに向かって移動して来る。砂上を進む背鰭は、相当なスピードでこちらに移動して来ており、直ぐにその様子がエルナの視界に映る。
サァァァァッ!! と幾つもの背鰭が灰混じりの砂を掻き分け、砂地に幾つもの畝を作り枯山水の箒目を思わせる模様を作り出して行く。
うん。あの背鰭の主が、この砂地の景観を作り出している元凶で間違いない。
取り合えず迎撃しよう。
『砂槍刺殺陣!』
こんな砂地のフィールドなら間違いなく絶大な威力を発揮する、無尽砂槍イニハレムメスタの専用アーツを発動する!
ドドドッ!!! 砂中に生成された無数の砂槍が高速移動する背鰭の主達を砂底から次々と突き上げる!
ザッパァ――ン!! ゴガァアアッ!? 砂底から突き上げる砂槍が、丁度良い感じに直撃した三体の背鰭の主が宙を舞う!
宙に舞った姿は、サメのそれで間違いない。
サメの種類を詳しくは知らないけど、多分ホオジロザメなんじゃないかな?
体長は8m位で、ホオジロザメの最大サイズよりも1mほど大きい。
アレだね。サメ映画なんかでよく見る奴だよ。
砂槍を受け宙を舞った奴も、そうでない奴もダメージを与えはしたが死んではいない。砂槍が直撃せずに宙を舞わなかった個体は、移動速度を加速させ一気に砂中から飛び出して来る!
「『カバームーブ』『オーラシールド』『静止鏡面』!!」
金色千手阿修羅が、自身を『カバームーブ』で移動させるのではなく。
『カバームーブ』で宝鏡と三つの金輪を瞬時に移動させ、隙間は『オーラシールド』で埋め丁度壁を作る様に展開。砂中から飛び出して来たサメ達のシャークアタックを、『静止鏡面』で完全に勢いを殺し受け切る!
『オーラバーストシールドバッシュ!!』
ドゴォ――ン!!! ガガァアアッ!?? 『静止鏡面』で完全に死に体と為ったサメ達を、『オーラバーストシールドバッシュ』が吹き飛ばす!!
ザパァ――ン!! 吹き飛ばされ砂地に叩き付けられたサメ達が、まるで水飛沫を上げる様に砂を巻き上げそのまま砂中に潜り視界から消える。と言っても、エルナの『星覚』や桜の『次元感知』と『ディメンションセンシズ』から逃れられる訳では無いし、最初に宙に舞い上げられた三匹のサメも当然捕捉している。
『
ジャララララララァッ!! ザク!ザク!ザク!! と砂中問わず至る所から現れた影鎖が、砂地の下に潜ったサメ達を捕らえ縛り上げる!
ギシィッ! 影鎖は捕らえたサメを引き裂かんとピンっと張り詰め、ギリギリとサメ達を宙に吊り上げ博物館の展示物の様に固定する。
文字通りサメを釣り上げたって訳だ。
こうなれば影鎖に引き裂かれるのも時間の問題だし、こちらが一方的に攻撃を加えて直ぐに戦闘終わらせる事も出来る。これでサメ達は詰みだ。
ガガァアアアアアアッ!!! 吊り上げられギリギリと引き裂かれ様とするサメが、悲鳴や苦悶とは違う声を上げる!
ザワザワっと、何かが頬を撫でる様な感覚を覚えると。
ズズッと風景の一部と化していた岩々が、ザァ――っと砂の滝を作りながら迫上がって来る!
グォガゴォォオオオオオオオオオオッ!!! 砂中から浮上して来たそれは見上げる様に巨大なカメだった。砂地の上に出ていた岩は巨大ガメの甲羅の一部で、まさに氷山の一角と云う訳だったのだ。
「うわっ、これは予想外だよ!」
しかも目算で20m前後、更には足元から甲羅の先端まで28mもある巨大カメが、一気に三匹も現れたのだから驚きもする。おまけに、遠くに居たサメ達のお仲間も、物凄い勢いで集まって来ているようだし尚更ね。
「うむ。この亀完璧な隠形じゃったな。わしも驚いたのじゃ」
そっかこのカメ、サメが仲間を呼ばなければエナでも気付けなかったんだよな。
もしかしてこのカメ、『自然一体』スキル持ちなんだろうか?
どちらにせよ。これは不意打ちされなくて良かったな。
「これは驚いている場合じゃないな! 早速、DX機動鬼熊
「むぅ! このままでは出番が無いのです! わたしも龍化するのです!」
「にゅ? にゃらわちも竜化しゅるのじゃ!」
サレスが、
グォオオオン!! クマをモチーフにした35m級人型外力甲冑の格闘機体、DX機動鬼熊
それに続く様に、神々しい光を纏った白銀龍と、宝石を思わせる様な美しさと神々しさを持った水色の竜が顕現する!
ああ、うん。20m級のカメが三匹も出現してしまったのだ。
まあ、こちらも三人。数的にも丁度良い。
カメの相手は、サレスとチエ,チナに任せよう。
「それじゃあ、私とエナ,桜は追加を含めサメ達を片付けようか!」
「うむ。任せよ!」
「はい! 分かりました!」
最初にこちらに攻撃を仕掛け宙に固定されたサメ六匹加え、追加のサメ二十一匹がこちらを窺う様に灰混じりの砂地を海の様に泳ぎ回っている。
同族の危急に急いで来たが、その同族の状態を見て流石に警戒しているようだ。
これ以上仲間を呼ばれない様、サメはサクッと倒しましょうかね!
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