192 突発強制クエスト『餓鬼の乱』

¶〈呪霊灰山 7合目〉全域がWFウォーフィールドに為りました。

防衛拠点の状態が%表示されます。

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修練場 旧火口霊穴  100%

三神堂 霊脈点    100%

万霊水窟 最奥湧水地 100%

霊木跡地 神霊域   100%

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 んん? ウォーフィールド? 戦争モードにでも為ったって言うのか? まあ、乱って言う位だしそうなのかな?

 んで、失敗条件に関わる防衛拠点の状態が分かる様に為ったって事か。

 普通に%表示が0に為ったらダメ何だろうなぁ。


 ふむふむ、修練場の有る所はやっぱり火口だったか。で、お堂は霊脈上にあるエネルギー噴出点だったからこうなる訳な。それで、万霊水窟はあの一番奥の空間で霊木跡地は神霊域ねぇ? 神域とは何か違うのかな?


「ねえねえチナ、神霊域って知ってる?」

「うにゅ。もちろんってるのじゃ」


 自信満々でチナが言うには、神霊域とは自然発生した神域の成り損ないの様な物らしい。神域は、神が意図を持って土地や力場に神力を染み込ませ作り出すが、神霊域は何らかの理由でその土地や力場に神力が存在し、それが自然に染み込み定着する事で形成されると云うものらしい。

 それじゃあ、天然の神域で良いんじゃないかと思うのだが、自然に染み込んだ神力はその土地や力場に宿る星精管理下に置かれる。そして、そこに神力を残した神の制御下から完全に外れており、神力はあれど神の力ではないと云う状態である為、神域とは呼ばれないのだ。

 寧ろ【理崩領域】にその在り様は近い。まあ、【理崩領域】は無茶な形で大神の力が染み込んだ様な物で、関わったであろう大神や星精の管理下にもなく、専門の大神が正常化するために頑張ってると云う、只迷惑なだけの領域なんだけどな。

 とりま、良い感じで知識欲を満たせた感じだな。


 それにしても、拠点防衛をしないといけないのか。修練場はフロイドさん始め修行者の人達が居るから良いけど、他は場所は守る人とか誰もいないよなぁ。

 まあ、だからと言って守りに行くのは無しだよな。ここの守りをフロイドさん達に期待して、速攻で餓鬼王の討伐と高速餓鬼生成陣の破壊するのがベストだろう。


「フロイドさん、如何やら餓鬼達の王がここを狙ってる見たいです」

「ん? その反応何か神託が降りましたか?」

「ええ、そんな感じです。それで、餓鬼達がここを含めた四ヶ所のパワースポットのエネルギーを狙ってる見たいなんですよね」

「此処以外の三ヶ所と言うと、三神堂と万霊水窟,それに霊木跡地でしょうか?」

「はい。他の場所は、ぶっちゃけ守り様が無いので、元凶の排除を優先したいんですけど……」

「なるほど。最悪此処さえ守り抜けば、あと問題ないとそう言う事なんですね?」


 お、フロイドさん察しが良いね。


「そうです。人手もないですし、一ヶ所でも守り抜ければ良い見たいなので」


 餓鬼王の討伐と高速餓鬼生成陣の破壊が、こちらの勝利条件だとフロイドさんに伝えると。


「ほう。つまり、エルナさん達がその二つの元凶を排除するまで此処を守り抜けば、今回の危機は乗り越えられると言う事ですよね?」

「そうなりますね」

「人手が足りないのはしょうがないですからねぇ。それに、此処を守る事位皆も喜んで手伝ってくれるでしょう。此処は修行者達にとって大切な場所ですからね」


 フロイドさんの言葉に、修練場に居る修行者達皆が頷く。


「それにですよ? 此処をあんな餓鬼共に奪われる何て絶対に嫌ですよ。皆もそうでしょう?」


 餓鬼共にここが占拠された事を考えたのか、心底嫌そうに言うフロイドさん。


「ああ、全くだ!」

「その通り! 此処はあんな穢れた奴らが居て良い場所ではないぞ!」

「そうだ! 此処は修練により自らを場所だ! あんな奪う事しか考えていない者達など相応しくない!」


 と、他の修行者達もフロイドさん同様心底嫌そうに言う。

 いやぁ、修行者の人達、皆餓鬼共大っ嫌いじゃん。


「だから、此処の守りは任せて貰って大丈夫ですよ」

「ふふ、それは心強いですね」


 「なあに、何時もより少しやる事が増えるだけですから」と、皆余裕が有りそう。

 これなら修練場の守りは、フロイドさん達に任せて大丈夫そうだな。


「なら私達は念のため、今修練場に向かっている餓鬼の一団を倒してから、元凶の排除に行きますね」

「ああ、それは助かりますね。奴ら数だけは多いですし、それに今向かっている餓鬼共は強化された個体の様ですからねぇ」


 フロイドさん達と挨拶を交わした後、クエスト達成の為修練場の結界の外に出る。

 修練場の周りには、既に夥しい数の餓鬼共が集まっていおり、なかなか気持ちの悪い光景だ。その上これに、武装した餓鬼共の集団が追加やって来ると言うのだからウンザリしてしまう。

 でもまあ、何はともあれ。まずは気合を入れて、ここの餓鬼共を片付けますかね。

 それじゃあ、餓鬼共の殲滅開始だ!


『蛇視・火葬縛炎蛇!!』


 最初に、金色千手阿修羅に乗るサレスの高い視点から蛇視の必殺アーツが放たれ、修練場周辺に屯していた餓鬼共を纏めて火葬にする。


「ギャギッ!?」

「ギャヒッ!?」

「ギャギャギャァッ!?!」


 生きたまま火葬に処され、悲鳴を上げる餓鬼共の中。『星覚』の情報を頼りに、隊列を組んで進行して来る餓鬼の集団にアーツを撃ち込む。


『ウラヌスコールドレイン!!』


 極寒の冷気を纏う矢が無数に分かれ、奇襲など受けるなど想像すらしていない餓鬼共の集団に、文字通り雨の如く降り注ぐ。

 何かが凍り付く音が響き、時間を置いて冷気が漂って来る。


「むむ? あの武装した餓鬼達の集団、まだ統率が取れてる見たいだね?」


 『ウラヌスコールドレイン』の矢の雨が、幾つもの餓鬼共の氷像を作り出したが、氷像となったのは餓鬼共の集団の約半数、如何やらリーダー格はそこに含まれなかった様だな。


「主様。あの餓鬼の集団は、わたしが先に行って仕留めて来ましょうか?」

「ん? それじゃ、チエにお願いし様かな?」

「! 任せてください!」


 『天神雷速』で一条の雷光となったチエは、あっと言う間に餓鬼共の集団に突入殲滅して行く。ふむ。『星覚』から感じ取れる殲滅スピードからして、餓鬼共は武装しててもそんなに強くなさそうだな。


 疎らに出現し続ける餓鬼共を倒しながら、先に行ったチエを追いかけると。


 パァァ――ン!!


「グギャァッ!!?」


 丁度3~4mは有りそうな、鎧姿の大きな餓鬼をチエが仕留めていた。

 如何やら、今のが武装した餓鬼の集団の最後の一匹だった様だ。


「主様! 丁度倒し終わったのです!」


 ニコニコ笑顔でチエがエルナに報告しに来る。


「チエ、グッジョブだよ」


 褒めて褒めてオーラが出てるチエの頭を優しく撫でる。

 きゅ~ん♡ て擬音が聞こえて来そうな位嬉しそうだ。うむ。かわいい。


「そうだチエ、餓鬼達の強さは如何だった?」

「Σにゅ! 皆一撃だったので多分強くないのです!」


 チエの攻撃は強いからなぁ、それだけでは何とも言えないが。

 でも、チエが苦戦した様子は無いし、強くないって言うのは確かかな?

 これなら討伐対象の餓鬼王も、大して強くなさそうだな。

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