193 突発強制クエスト『餓鬼の乱』2 五大餓鬼将

¶五大餓鬼将 卦餓断地が〈呪霊灰山 6合目〉への侵攻を開始しました。

餓鬼軍と6合目エネミーの戦闘が開始されます。


 おお、ガチで餓鬼の反乱なのか。

 しかも、リアルタイム進行のアナウンス付きな訳ね。

 にしても、五大餓鬼将ねぇ。

 さっきチエが倒した餓鬼の集団には居なかったのかね?


「ねえチエ。さっき倒した餓鬼達の集団に、餓鬼将って言うネームド居た?」

「うゅ? 主様それは、先程創天様のお告げにあったエネミーの別個体の事ですよね?」


 お。チエはアナウンスの事を、創天様のお告げって呼んでる見たいだな。


「うん。そうだよ。五大って言う位だから、あと四体は居るはずだしね」

「そうですか。わたしが接敵しても特に何もありませんでしたから、先程の餓鬼の集団に将は居なかったんだと思いますよ?」

「ふ~む。将が居ないって事は、チエが倒したのは先遣隊だったのかな?」

「多分、そうだと思います」


 つまり、今のが先遣隊だとすると別に本隊が居るって事に為るな。

 となると。さっきの集団が来た方に餓鬼軍の本隊が居るはずだ。

 サクッと『星覚』の範囲を伸ばして行くと、先程の集団の5倍は有りそうな餓鬼の集団が引っ掛かる。これだけの集団だ。流石に餓鬼将くらいは居るだろう。

 あと今気づいたんだが、チエはテンションが上がると「なのです」口調が出るようだな。


「うん。それじゃ、さっきの5倍くらいは有りそうな集団を見つけたから行くよ」

「うにゅ。行くのじゃ」

「はいなのです!」

「了解だ」

「わかりました!」


 大小の岩石が転がる山肌を移動して行くと餓鬼の大群が姿を現す。

 まだアナウンスは流れないがきっと餓鬼将が居る集団に違いない。


「皆先制攻撃するよ!」


 皆大きく頷いてアーツの発動の準備をする。


滅却照魔宝鏡イビルアニヒレーション!!』


 最初に先制攻撃を仕掛けたのはサレスの『滅却照魔宝鏡イビルアニヒレーション』だ。

 パァアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッッッ!!!!

 宝鏡から強烈な光が放たれ、前方に確認出来た餓鬼の大群を照らし付ける!!

 この光が餓鬼共に有効なのは確認済みだ。餓鬼共が消し飛んで行くのが分かる。


『ディメンションエクスターミネイト!!』


 宝鏡から発せられる光が弱まった所で、混乱する餓鬼共の上空に真っ黒な次元の大穴が口を開ける!

 ゴウッッッ!!!!! 空に開いた大穴に引きずり込む様な突風が吹き、大穴の真下に居た餓鬼共が軒並み巻き上げられドンドン吸い込まれて行く。


¶五大餓鬼将 焦餓火漠が討伐されました。


 おっ! 接敵する前に餓鬼将を倒せたぞ!

 あれ? でも討伐報酬は無いのか残念。

 にしても、やっぱ次元放逐は強いなぁ。


「いくのじゃ!! 『竜撃砲・水刃閃波』!!」


 シュシュシュゥゥゥ――――――――ン!!!

 チナが広範囲を幾度も切り裂く、光波打つ水の刃のブレスを放つ!


『龍撃砲・光芒雷破』


 バリバチィッ!! バシュゥゥゥ――――――――――ッッ!!!!

 チナのブレスに合わせる様に、チエも雷撃を周囲に撒き散らす極太レーザーブレスを吐く!

 うん。良く考えたらチエのブレス攻撃始めて見たわ。


 先に餓鬼共に到達したのは、チエの極太レーザーブレスだ。

 主線となるレーザー上の餓鬼共は蒸発し、例え直撃しなくともレーザーの通る周辺に撒き散らされる雷が餓鬼共を蹂躙する。

 そしてそこに、恐ろしい切れ味を持った光輝く水刃の波が到達する!


 光る水刃の波が餓鬼共を平らげる様に飲み込み、そこかしこに餓鬼の輪切り死体を作り出して行く。


¶五大餓鬼将 錆餓瘴塵が討伐されました。


 おおっと! もう一体餓鬼将が居たのか!

 まあ、直接戦う事無く終了だがな。


『果て無く続く砂の大名原よ! 囚われる事無く吹き荒ぶ砂塵の嵐すら飲み込み、その一切合切を砂の海へ沈めよ!! 『流砂大海嘯トライプサンドタイダルウェイブ』!!!!』


 はい。エルナが使ったのは、アーツはアーツでもスペルアーツ、魔法でした。


¶コスモプレイヤーエルナが、広域災害スペルアーツ『流砂大海嘯トライプサンドタイダルウェイブ』発動しました。


 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴォォォッ!!!!!!

 物凄い地響きが起こり地面が大きく揺れる!


 ドッ!!!!! バァァァ――――――――――――ン!!!!!!!

 大小の岩石が転がる山肌を、砂が飲み込む様に溢れ出し、もう耐えきれない! そう言わんばかりに大量の砂が一気に噴き出す!!


 ドドドドドドドドドドドドドゴォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!

 地響きを立て砂の大津波が、生きていようが死んで居ようが関係なく、餓鬼共と呪霊灰山7合目の全てを飲み込み砂に沈めて行く!!


 あっこれやり過ぎたかも! 修練場は大丈夫かな?

 あと『流砂大海嘯トライプサンドタイダルウェイブ』は領域を超えて6合目までは行かなかったのかな?


¶五大餓鬼将 卦餓断地,五大餓鬼将 渇餓吸淵,五大餓鬼将 枯餓腐林の三体が討伐されました。


 あ! 『流砂大海嘯トライプサンドタイダルウェイブ』こえ6合目の方にも行ってますね~。6合目に居る筈の餓鬼将倒してるし、と言うか餓鬼将全部討伐完了してるじゃん!

 結局、餓鬼将とは真面に戦う事は無かったか。

 それから暫くして、漸く地鳴りが治まり『流砂大海嘯トライプサンドタイダルウェイブ』の効果が終了した。砂は消えて無いけど。


「ふにゅぅ、辺り一面しゅなだらけなのじゃ!」

「はわ~、エルナさん。流石にこれはやり過ぎだと思いますよ?」

「まさに災害だな!」

「にゅぅ、なんか凄いのです!」


 うん。これは本当にやり過ぎてるな。

 だって今ぱっと見、此処が何処か分からんもん。

 『星覚』スキルが無かったら遭難してるかも。

 っと、そんな『星覚』スキルに反応が。


 ドォ――ン!! 餓鬼の大群が居た辺りで砂柱が上がる!

 砂柱の中から、一際立派な体とそこそこ立派な装備をした餓鬼が姿を現す。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!」


 あ! 多分こいつが餓鬼王だわ。




※五大餓鬼将に討伐報酬は有りませんが、ドロップは有ります。

と言っても、全て砂の底に埋もれてますが。

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