178 チナとチエの神域予定地の場所を大体決めてみた
「そちらのお嬢様の神域をお作りになりたいですか……」
「うん。そうそう」
少し考えてからスフィーさんが口を開く。
「御島主様、まずお聞きしたいのですが。そちらのお嬢様は、御島主様はどの様なご関係なのでしょうか?」
「どの様な関係? ほら、私達がエルアクシアに戻る前に龍神様が現れたでしょ? この子がそうなんだ。一応、私の眷属らしいよ?」
スフィーさんは胸の前でパチッと手を合わせ、「ああっ、あの時のっ!」と納得の表情を見せる。
「この島で生まれその上御島主様の眷属と言うのなら、龍神様がこの世界に神域を作るのに何の問題も有りませんね」
「ほんと!?」
「にゅ!? 良いのですか!?」
「はい、全く問題ございません。寧ろこちらからお願いしたい位ですよ」
おおっ! 神域作って良いのか! これでチエも、神域=収納持ちだな!
「ふにゅ!」
いきなり、エルナの青い緋袴風のスカートをチナが引っ張る。
「わわっ!? チナ、いきなり何なのっ!?」
「エルナ、わちも神域が欲ちいのじゃ!」
ええ!? チナも神域が欲しいの!?
チエがこの島に神域を作るから自分も欲しくなったとか?
でも、チナにはエナの神域である湖がよね?
別に必要ないのでわ?
「チエにはエナの神域が有るでしょ? 別に無くても平気なんじゃないの?」
「ふにゅ。わちはエルナの守護神なのじゃ。とうぜんエルナの島も守るのじゃ!」
それはそうか。チナはエルナの守護神だもんな。
エルナだけじゃなくてこの島も守るって訳か。
チナは良い子だなぁ。
「しょれに、ちょうどわちは別荘が欲ちかったのじゃ!」
「チナは良い子……っておい!」
「ふにゅ?」
別荘って……まあ良いか。
チナが言うにはここに神域を作ると、その神域を通してエナが何時でもアルケシオン島に来れる様に成るらしい。しかもここを経由すれば、 チナと入れ替わったりチナの居る場所に転移するのと違って、エナはノーコストでエルナ達のいる場所に来ることが出来る様に為るんだと。まあ、当然神域を作れば島に良い影響が出ると言うのも有る。
つまり、島にとってもチナとエナの利便性的にも、プラスしかないって事らしい。
「ええっと、あのスフィーさん。チナの神域も、ついでに作っちゃって大丈夫ですか?」
「御島主様。チナ様の神域なら問題ありませんよ。御島主様の守護神様なのですから、是非神域をお作りに為ってください」
「うにゅ! やったのじゃ!」
チナがぴょんと飛び上がって喜ぶ。
ほんとに神域が欲しかったみたいだな。
「ああっ、それとスフィーさん。私の事は、御島主様じゃなくてエルナって呼んでください。お願いできますか?」
御島主様呼びは流石に堅苦し過ぎる。
出来れば他の島民にも、そうお願いしたい所だね。
「御島主様が……いえ、エルナ様がお望みに為られるなら」
心成しか嬉しそうに、スフィーさんの銀色の髪が揺れる。
「それでは、チエ様,チナ様の神域に相応しい場所を選定しなければいけませんね」
おう、そっか。神域を作ると為れば当然場所選びをしないとな。
「取り合えず、エルナ様の守護神、チナ様の神域は島主屋敷の敷地内で決定ですね」
まあ、それはそうだよな。チナはエルナの守護神なんだから、チナの神域はエルナが滞在する屋敷の近くに有るべきだよな。
「屋敷の敷地内にこの島唯一の独立峰、レーベ山の雪解け水が湧き水と為って出来た小さな湖が有りますので、そちらにチナ様の神域を作る事をお勧めしたいと思います。
レーベ山って、最初に来た時は触れなかったけど。この屋敷の北側に見える雪山の事だよな?
アルケシオン島って基本南国の島みたいだけど、あの山はどう見ても雪山なんだよなぁ。この島は、ウィンタースポーツも楽しめるリゾートって事なのかねぇ?
まあとにかく、綺麗な湧き水で出来た湖ならチナの神域にピッタリだろうな。
「チナはどう思う?」
チナに聞いて見ると。チナは腕を組んで何かを考える様に静かに目を閉じる。
「ふにゅ……この屋敷の北東にある湖なのじゃ?」
「っ! はい、そうです」
「うにゅ! 問題ないのじゃ!」
スフィーさんが驚きながら「流石は神の分霊、屋敷の中からでも分かるんですね」と呟く。うむ、俺もそう思う。さすチナだな。
「それでは、チナ様の神域予定地は決定ですね」
すんなりとチナの神域の予定地が決まったな。
しかし、北東って鬼門だよな。古来より鬼門から鬼が出入りするって事で、良くない方角って言われるけど。鬼門に神域を置くは丁度良いんだよな。現実でも神社やお寺を配置したりするしな。
となると、裏鬼門にも神域を配置した方が良かったり? いや、IFOに鬼門とか裏鬼門とか意味が有るのか分からんからなぁ、気にしなくて良いか。
「チエ様の神域候補地については、エイル様達に聞いた方が宜しいと思います。一番この世界の事を知っているのが、エイル様達ですからね」
「確かにそれはそうだよね。それじゃあ、直ぐにエイルさん達を呼んだ方が良いね」
と言う訳で。エイルさん達を呼ぼうとすると、スフィーさんが待ったを掛ける。
「お待ちを。エイル様達は、皆様がアルケシオンに来られている事は知って居られます。今の会話も聞いておられるでしょうから、エルナ様がお呼びに為らなくても、直ぐにこちらに来られると思いますよ」
ガチャッ、スフィーさんが言い終わるタイミングで玄関の扉が開く。
静に開け放たれた扉から、炎の様な一対の赤い翼を持つ天使が玄関の外から舞い降りる。
舞い降りた天使の姿は、エンジェルリングが浮かぶ艶やかなオレンジ色のショートヘアが目に留まる。白のシンプルで動き易く丈が短い服を着ていて、服の上からも容易に分かるスタイルの良い身体をしている。身長は156㎝位だ。
自身の毛髪の色に似たオレンジの右目と、左目の碧眼のオッドアイでこちら見た彼女は、その快活そうに見える見た目とは裏腹に優雅な礼をする。
「初めまして島主様方。ぼくの名前はファタム・シオン。アルケシオンの島の大地と熱エネルギーの管理を任されている、島主代行管理者シオン姉妹の五女だよ。よろしくね!」
ニコっと笑う笑顔が可愛い。
ほほぅ、ぼくっ子美少女天使か。うん、悪くない。寧ろ良いね!
「あ、エルナです。よろしくお願いします」
「チナなのじゃ!」
「チエなのです!」
「桜です。よろしくお願いしますね」
「サレスだ。よろしく頼む」
エルナに続いて、皆軽い自己紹介と挨拶をした後に、チエの神域候補地についてファタムに聞こうとすると。
「あっ皆さん。チエ様にピッタリな此処って場所の候補地は、ここに来るまでにもう既に決めて有るんだよね♪」
おっそうなんだ! 仕事が早いね!
「その場所は、アルケシオン島の水瓶言われる島内最大の湖ラパン湖だよ!」
ふむ。当然聞いた事なんてないが、ラパン湖は島の南側にあるでっかい湖の様だ。
何故ここが良いのかと言うと。元龍蛇のチエは当然水と相性が良い、そしてラパン湖の広い湖面には割と頻繁に雷が落ち、これもまた雷属性がメインのチエと相性が良いとしか言えないと、そう云う場所の様だ。
確かにそれが本当なら、チエにとってそれ以上の場所は無いだろうね。
「取り合えず、実際に行って見てから判断しようか」
「そうですね! わたしも自分のマイホームの場所は、きちんと見て確かめてから決めたいですからね!」
「ふむふむ。それじゃ皆良い見たいですね! では皆様をラパン湖にご案内しましょう!」
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