173 金色千手阿修羅の兵装を確認してたら〈呪霊灰山 7合目〉に到着していた

 IFO内時間で午後8時過ぎ、現実でも午後11時20分を過ぎているが。夜も浅いし夜更かし上等、大学生の長い夏休みはまだまだ始まったばかりだ。

 それに、『ナイトビジョン』の魔術のお陰で夜の暗さを木にしなくて良いからな。

 金色千手阿修羅の固有兵装を確認しながら、このまま7合目に向かうぞ。


 まず最初に使ったのは、紅輪阿修羅宝剣だ。

 見た目は三鈷杵で、金色の光の刃が伸びる三鈷剣だ。太陽のコロナの様に紅いオーラを纏い、柄の上下両方に刃を自由に伸ばす事が出来る。〇ーム〇ーベル……、いや、〇ル〇グの〇ーム〇ギナ〇って感じだな。

 しかも、本体の『アスラアーム』を含めた腕の数分有るんだけど。

 これ、本格的に六刀流のスキルとか必要なのでわ?


「ふにゅ! 金ぴかでカッコいいのじゃ!」


 金色千手阿修羅の黄金ボディと、その戦いぶりをチナは甚く気に入った様だ。

 まあ、分からんでも無いよな。〇式に例えたけど、戦いっぷりは勇〇ロボットを思わせ、中々にカッコイイものなのだ。

 確かあのシリーズのロボにも、金ぴかの奴いたよなぁ。


 で、次に使った双頭金剛宝戟は、方天戟見たいな穂が柄の上下に付いた三又の槍だ。しかも、二つに分かれるし、これも三本有るので六刀流が出来るのだが。

 やっぱりこれ、六刀流のスキルが必要なんじゃね?

 それに、長さのある槍を複数同時に使うのすんごい難しいんだけど。


 三番目に使ったのが、金仗蓮華鉞斧だ。白,赤,青,紫の四つ蓮華が描かれた片刃の斧で、刃と反対の方に錫杖の音を鳴らすための輪形と遊環が付いている。

 斧としては柄が長く。叩き切りたい存在ものだけを切る力を持っている様で、これは二本装備されているな。


 四つ目に使ったのは、宝印金環羂索だ。腰の左右それぞれに三つ、計六つの金環が装備されてる。この金環はターゲットを取った相手に発射(自分で投げても良い)、ターゲットのサイズまで巨大化し拘束する。

 金環と金色千手阿修羅本体は、光の紐で繋がっていて金環を操作できる見たいで、拘束した相手を絞め殺す事も可能だ。あと、多分だけど必中な気がするな。


 五番目に使ったのが、金色如意宝弓箭と言う名のデッカい長銃だ。〇式のメガなあれ程デカくてゴツイ訳では無く。どちらかと言うと、〇ル〇イムや〇ァイ〇ス〇ーに出て来るバスターなヤツに近い見た目だ。

 威力? 凄く絞った一撃でも、かなりヤバい感じだったから、直ぐに使うのをやめたよ。


 六つ目は、金剛傍牌宝鏡だ。これの見た目は、鏡と一体化した盾なんだけど。

 こいつの実態は、仏尊の有り難い光を照射して、敵対する存在を昇天させる事が出来る武器だ。もちろん、普通に盾としても使えるんだけど。ほぼ確実にカウンター攻撃が入る、めっちゃ攻撃的な盾なんだよな。


 ちなみに、兵装はやっぱり皆金色だ。それに、頭部の側面には阿修羅の他の二つの顔の心算なのか、ペイントで顔の表情らしきモノが描かれており、時間経過で表情が変化すると云う謎仕様だ。

 あと兵装を試すのに、夜中にピカピカ光って目立つ機動仏尊に、サルやライチョウ達がどんどん集まって来たので、特に兵装を使うのに困る事は無かったよ。


 いや~、やっぱりロボは良いね!

 ちなみに、何でエルナでロボ操縦しないのかって思うかもしれないが。

 やっぱりロボは、外から見るのがカッコイインであって、乗って居たらそのカッコイイ姿が見れないじゃん? まあ、ロボの操縦も良いとは思うんだけど、でもやっぱりロボは外から見たいんだよねぇ。それに、もう一人の自分で有るサレスがロボを操縦してるんだし、エルナは搭乗しないで見る専で良いと思うんだよ。うん。



¶〈呪霊灰山 6合目〉から〈呪霊灰山 7合目〉に侵入しました。


 おっと、何時の間にか7合目に到着した見たいだぞ。

 流石に、ボス三体を倒さないと通行出来ない仕掛けだったから、他に何もないか。


 『ナイトビジョン』で昼間と変わらない様に見えるので、7合目の様子をザッと見渡してみる。


 エルナの腰よりも低い低木が疎らに生え、ゴツゴツとした岩肌が景色の大半を埋める。なにか賽の河原見たいに所々石が積まれて居たりするけど、標高の高い夏山の山頂付近と言った光景だ。ただ違和感が有るとすれば、7合目に入るまでは影も形も見えなかった巨大な岩壁だ。

 まるでエーランブラム山の登頂を阻む様に、巨大な岩壁が山頂へ行くのを遮る様に横たわっている。別の斜面から山頂を見ても、同じ様に巨大な岩壁が横たわっていそうだ。多分、あの壁は8合目以降を囲っているんじゃないかと思うね。


 積み上げられた石や岩陰から、小さな人影が出て来る。出て来たそいつは、手足がやけに細くガリガリでお腹だけが妙に膨れている。そう、所謂餓鬼と呼ばれる存在モノにソックリなのだ。


 まあ、そんな彼らは、金色千手阿修羅の金輪に搭載された念力機動操手の掃射により、無残に虐殺されているのだけど。

 うん。こいつには仏の慈悲何てありゃしない。間違いなく殺戮兵器だよこれ。

 ま、阿修羅だから仕方ないよね。


 この念動機動操手、ボスがやっていた様に自由に飛び回り、マシンガンの如く黄金の弾丸をばら撒く事が出来るのだ。もちろん、光の刃を指先から生成する手刀も使える凶悪仕様なのだ。


 で、この念動機動操手を搭載していた金輪その物の性能なのだが。

 うん、F〇1で見た。そう言いたくなる光景を作り出したのだ。


 三つの金輪は、念力機動操手と同様に空を飛び回り、餓鬼どもを轢き殺したり高速回転で切断したりと、やりたい放題だ。

 全く、『八つ裂き三宝輪トリニティエイトティアーズ』の必殺アーツも納得だね!


 それと、唯一必殺アーツでは無い『面相化身アヴァターラ』も使って見た。

 使えたのは、➤タブに表示された『面相化身アヴァターラ 群狼転変レギオングレイ』だ。このアーツを発動すると、金色千手阿修羅が戦隊モノのマシン思わせるオオカミ型のマシンに変形し、金輪に搭載された念動機動操手も小型のオオカミ型のマシンに変形したのだ。

 機動仏尊 金色千手阿修羅は、サイズはリアルロボット系より見たいだけど、性能はスーパーロボットよりだったりするのかね?


 あと、金色千手阿修羅は必殺アーツは使っていないけど。

 一部の必殺アーツに、デメリットがある見たいでそれが分かるのだ。

 そして、それがこの二つの必殺アーツだ。

 『限界突破 阿修羅曼荼羅リミットブレイク アスラバーサーク』。必殺アーツ『限界突破 阿修羅曼荼羅リミットブレイク アスラバーサーク』は使用後、IFO内時間で24時間の間機体性能が半減する。

 『超必殺 金色如意宝珠曼荼羅ゴールデンウィル・マニバスター』。超必殺アーツ『超必殺 金色如意宝珠曼荼羅ゴールデンウィル・マニバスター』は使用後、IFO内時間で24時間の間、機体への搭乗及び操作が一切出来なくなる。

 まさに、切り札と最後の切り札だな。


 そうやって、壁の方に向かって登頂を続けると、登山ルートが描かれた道案内の標識が出現する。標識には8合目へのルートと、上級修行者のための修練場へ向かうルートが載っていた。


「ふ~む。上級修行者達の修練場何て場所が有るんだ。もしかしたら、行方不明のパープシャル村の人達の事が分かるかも? 行った方が良いよね?」


「ふにゅ。しょの可能性は高いと思うのじゃ。わちは行くのに賛成なのじゃ!」

「此処は行くしかないですね。主様!」

「私も行くのは賛成です!」

「依頼達成のためにも行くべきだし、アイテムの取りこぼしの事とかを考えたら、尚の事当然行くしかないよな」


 はい、と言う訳で。全会一致で上級修行者達の修練場に行く事に為ったのだ。

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