171 模造神像 千手阿修羅リザルト

 報酬をチェックしようと思ったのだが、ちょっと周りを見るとお堂の様子が変わって居る事に気付く。

 お堂の内部の広さが外見と違和感ない物となり、聖火神ユアクス,水雪神レースレーア,鉱脈神ウルザンカナートの、三神を祀る祭壇とそれぞれの神像が出現していたのだ。


 祭壇に祀られている三つの神像をマジマジと見つめる。

 真ん中の太眉で好青年を思わせる細マッチョの神像がユアクスで、左の緩やかに広がるロングヘアの綺麗系美人の神像がレースレーア、右の揉み上げから繋がる髭が特徴の筋骨隆々の大男の神像がウルザンカナートだ。

 この三柱は、自然十二神と呼ばれるこの世界で信仰されるメジャーな神だ。

 まあ、この神像が似ているのかは、分からないんだけどな。


 ちなみに、エルアクシアで信仰されるメジャーな神は、エルナのママである星霊神エルアクシア、エルナのパパである閃星神シュライン。

 始注六神の、光輝神ライエノルト,闇眠神ミクシェ,転輪神ルージュネア,惑星神エスティリア,時運神ディウラス,万器神アロエレレウス。

 この星の文明を司る知継神ザクシード。そして、このお堂に祀られる三神含む自然十二神と、四大英雄神がメジャーな神々だ。

 まあ、四大英雄神の内二柱は被ってるけどな。


 エルナと無関係とは言えないし、ちょっとお祈りして置こうかな。

祭壇に祀られている三柱の神像に手を合わせ、今回のエピッククエストの達成を祈って見る。


 パァっと三つの神像が輝きエルナ達に光が降り注ぐ。

 おっ、なんか効果が有ったのか!?

 直ぐに確認するとCONDに『試練超克の祝福』と云うものが付いていた。

 効果はこんな感じだ。

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試練超克の祝福

高難度の試練やクエストを達成するための神々の手助け。特定の試練やクエストを達成するまで全ステータスに+20%。


       ※エピッククエスト【灰呪教第九布石】の達成or破棄するまで有効。

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 ふんふん。どうやらこのエピッククエストを達成するまで、かなり強いバフが付く見たいだ。ラッキー! 今のボス戦もキツかったし、このバフが有るのは助かるよ。


 では、改めて討伐報酬の確認をして行こう。

 まずは、チエが受け取った討伐報酬から確認だ。

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金蝕星剣ラーフ

フレーバー:太陽と月を喰らう蝕の星剣よ! 天に輝く星々の力を我に!

星々の輝きを喰らい力を増す悪星の剣。

金色の筋が刻まれた黒の剣身を持ち、星々の輝きを喰らい溜め込む事で剣身の全てが黄金の輝く剣となる。

パッシブ 金蝕󠄀星光

専用アーツ 蝕光暗空 蝕光黒断 蝕光黒陰 天陽金閃 金環月輪 空絶黒導明滅

      天爛金色星空

STR+6700,MAG+7800,AUR+12160


自在空手サハスラブジャ

フレーバー:ほぉ~、俺がちょっと考えただけで、この腕動くぞ。

      これはなかなか、便利そうじゃないか。

装備者の思念を受け自在に動き回る、黄金に輝く二本の怪腕。

当然、その二本の腕に装備を持たせる事が可能である。また、一時的に自身の周囲を思うままに見る力と、自在空手サハスラブジャの怪腕を一時的に複製する力を持つ。

パッシブ 自在念動操手 自動追従 追加武具装備 怪力無双

専用アーツ 己空観自在 虚空千手 空闘拳舞 夢想千手曼荼羅

STR+4650,DEF+4000,DEX+3820,AGI+5610,IMA+3620

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 おお、これは強そうだ。金蝕星剣ラーフは、星々の輝きを喰らうと説明に書いて有るので、試しに星輝を込めて見たら剣身が見事に黄金に染まる。

 なるほど。この状態だと、ラーフの攻撃力はかなり上昇する見たいだ。

 ラーフは星輝での強化に対応した、星輝許容量の高い武器って感じだな。

 もちろん、星輝還元で消滅させる事は可能だと思うよ。しないけど。


 で、誰が装備するのかなんだけど、エルナと割と相性が良さそうな武器なんだが。

 装備による手数の関係と、一番早く敵に接近して攻撃する事からチエが装備する事に為った。まあ、妥当な所だと思う。

 チエにラーフを渡すと、すんごい大仰な反応をする。


「主様! 有難く使わせていただきます!」


 チエは、卒業式で賞状を受け取る見たいにラーフを受け取る。


「いや、これは元々チエの討伐報酬なんだからね?」

「にゅ? これは主様から下賜させて貰う事に意味が有るのですよ!」

「そうなの?」

「そうなのです!」


 自在空手サハスラブジャは、文字通りPTの誰が使っても有効活用できる装備だ。

 しかも、この装備自体が追加の腕をノーリスク二つ増やす様な物で、所謂装備枠を圧迫せずサハスラブジャ自体に追加で武具を装備出来るのだ。間違いなく強装備だ。

 それでこの装備も、同じ様な理由で結局チエが装備する事に為った。

 自分の貰った討伐報酬を、結局自分で使う事に為ったって事だな。


 早速チエが、自在空手サハスラブジャを装備して動きを確認している。

 自身の腕の倍以上の大きさは有る黄金の腕が、チエが操作しない場合はチエが設定した位置をキープして自動追従する。何か非常に既視感を覚える光景だよね。

 アニメやゲームで、こう云うの感じの腕を操作する能力って割とあるからねぇ。


「そう言えばチエは、チナ見たいに神域に繋いで、物の出し入れをしてない見たいだけど。どうなの?」


 チエが神妙な面持ちで言う。


「主様、わたしは神に成ったばかりの新参者……。残念ながらわたしは、神域を持ってないのです!」

「あっ、そ、そっかぁ~、じゃあまずは何処かに、神域を作らないと行けないのかな?」

「はい! そうなのですよ主様! わたしも神域が欲しいのです! 今は他の眷属の方々と一緒に、主様の御力で満たされた不思議な場所で待機してますけど。本当は、自身の神域で待つのが一番ですから、それに……」

「あ、うん。わ、分かったよ」


 なるほど~。神に成ったばかりで、そりゃ神域なんて持ってないよな。

 しかも、チエは神域が欲しいらしい。神域は自分の家みたいな物に成るらしく、尚の事欲しい様だ。


 チエ曰く今いる場所は、エルナの力に満ちた謎空間に間借りしている状態で、本来は自分も含め眷属が居る様な場所では無いらしく、居心地は非常に良いのだが何かダメになりそうとの事。

 と云う訳で。チエ以外の他の眷属、ウサギ達やオオカミ達のためにも、如何やらチエの神域は確保した方が良いらしい。

 それに、収納系の能力を持ってないのはこのPTではチエだけって事に為るし、装備の切り替えや色んな利便性の事を考えると、チエの神域の確保は必須って事に為るかな。

 ふむ。アルケシオン島の一部を、チエの神域にするとかで何とかならんかねぇ?


 ま、とにかく。今度はエルナが貰った討伐報酬を確認するかな。

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