163 万霊水窟10 熱砂半裂ギブシンサラマンダー5
ギブシンサラマンダーが必殺アーツを発動すると。真っ赤に灼熱した赤く光る砂が、赤は赤でも血を思わる様な真紅の輝きを帯びて行く。
エルナ達と砂嵐を分かつ氷壁の下で、真紅に輝く砂が吹き荒れ大きく渦を巻く。
ギュォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!! キィィィィィィィィィィィィィィィッッッ!!!!! 高熱と赤電を纏う真紅の竜巻へと姿を変えた砂嵐が、氷壁を突き破らんとドリルの刃の様に高速旋回し、猛烈な勢いで氷壁の透明な氷を削って行く。
チナが、『氷天零下水域』の氷雨が生み出す氷を使い、真紅の竜巻に急激に溶かし削られる氷壁を、押し返す様に修復する。
おおぅ、流石チナ!
『氷天零下水域』を切らなくて良かった!
ナイス判断だぜ、俺!
チナが『
さあ、今度は確実に魂を引っこ抜いてやる!!
『脱魂!!!』
星輝に満ちたピンクの花びらが、ギブシンサラマンダーの魂をガッチリと掴む。そのまま、砂となったギブシンサラマンダーの身体から魂を一気に引きずり出す!!
ミチミチミチィッ! ブチッ!! と、何かが千切れる音が聞こえると。
ズリュッ! ズゾゾゾゾォォォッ!! 真紅に輝く砂から、半透明のギブシンサラマンダー霊体が引きずり出される!
『グルガアアアアアアッ!?!??』
砂から引きずり出したギブシンサラマンダーの魂を、アニマソムニアの花びらで掴んだまま、そのままこちら側に引っ張り込む!
何故、こちら側に引っ張り込むのかと云うと。精霊系エネミーであるギブシンサラマンダーが、精霊としての力で直ぐに実体化するのを防ぐためだ。砂が有ったらきっと、直ぐに実体化するに違いないからな。
『氷天浄壁』の属性と性質からして、ギブシンサラマンダーの魂と霊体が氷壁と打つかってしまいそうだが。アニマソムニアのパッシブ効果『境界越境』が働き、氷壁に悪影響を与える事無く擦り抜ける。
見事一本釣り成功って所だろう。
「桜!」
「はい! 『
予め桜にお願いしていた、縛霊影鎖スキュンレスツェカリアの必殺アーツが発動する!
ジャララララララァァァッ!! 夥しい数の影鎖が、陰影問わず影と云う影全てから噴き出す様に現れ、ギブシンサラマンダーに巻き付き繋ぎ止めて行く。
桜の【次元干渉】の影響の所為か、次元空間の影からも影鎖が現れ、ギブシンサラマンダーは影の牢獄に囚われる!
『グルガァアアアアアアアアアアッッッ!??!!』
『
「おまけです! 『オーバーラップアタック』『
漫画の集中線や、ガンガゼ何かのウニを連想させる様に影鎖が走る。
ギブシンサラマンダーが、『
『グォガァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!?!??』
それでも、半裂きと言うのは伊達では無く、引き裂かれた霊体が元に戻って行く。
「喰らえ! 『
オープンフェイスされたサレスの巨骸甲冑の口から、地獄の黒炎がビーム光線の如く放たれる! まるで刑罰を与える様に、『
『グギィイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!??!!??』
幾らギブシンサラマンダーに炎に耐性が有っても、地獄の業火はその耐性を無視して焼き焦がす。炎に焼かれて大ダメージを受けるなど、ギブシンサラマンダーには希有な体験だろう。
「『打魂霊撃』『神鳴雷導千連斬』」
『
ドゴゴゴゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッ!!!!!!
雷を纏った千の斬撃の爆音が後から響き渡る。
『グガガガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
ギブシンサラマンダーは千回切り刻まれたにも拘らず、『
ええっ!? まだ倒せないのかよ! ドンだけタフなんだよ!?
「なら、これなら如何だ! 『
チエに続きギブシンサラマンダーに接近したサレスが、顔面粉砕メンタルクラッシャーの専用アーツを繰り出す!
「オラァッ!!」
ドゴッ!! 殴打を一撃受けるとギブシンサラマンダーは、無防備な放心状態となりガクガクと痙攣し動きを止める。
『Σグガッ………!? ガッ……………………』
その後はもう無抵抗な隙だらけの状態となり、サレスの両腕とギガセンチビートアームによる殴打が、ギブシンサラマンダーの顔面を連打する!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!
無防備な状態のギブシンサラマンダーは、完全にサンドバック状態だ。
これは強い。
如何やらこのアーツ、『
ん? それによく見ると、ギガセンチビートアームに巨大なメリケンサックが装備されているぞ!? ギガセンチビートアームにも、メンタルクラッシャー装備出来たのかよ!?
しかも、両手にメンタルクラッシャー装備したままだし、もしかして増えたのか!?
Σあっ、そっか。ギガセンチビートアームの、六つの頭のムカデの様な手も、手で有る事には変わりないのかぁ。まあでも、流石にメリケンサックの数が、手の数に合わせて増えるとは思わなかったけど。
しっかし、これだけボコられているのにまだ倒せないのか。
耐久力の高さも有るけど、回復力がヤバいのか?
「いい加減、これで終わらせてやる!!」
サレスが等々、正真正銘メンタルクラッシャーの必殺アーツを発動する!
『
必殺アーツの宣言と共に、顔面粉砕メンタルクラッシャーから真っ黒な闇が噴出する。メンタルクラッシャーが吐き出す闇の内側から、不気味なサイケデリックな光が浮かび上がり、猛烈な悪寒と忌避感を生じさせる。
うん。このアーツはヤバい。
ドンッ!! 『
バキンッ!!!! 何かが割れる音が響き、ギブシンサラマンダーの霊体が小さく為る。
『グォガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!!?!!?!!』
!? 何が起こった!?
ドゴンッ!!! 当然アーツはまだ終わっていない。追加の一撃が入ると、また何かが割れる様な音が響きギブシンサラマンダーが小さく為る、
エルナの『星覚』のスキルが働く。『星覚』スキルは、ギブシンサラマンダーにMPの最大値が減少する、MPブレイクの状態異常が発生した事を教えてくれた。
ドゴンドゴン!! とアーツの連続攻撃がヒットする度に、ギブシンサラマンダーは絶叫を上げドンドン小さく為る。
ビシビシィッ!! バッキャァ――――――――ンッ!!!!!
致命的な音が響き、ギブシンサラマンダーの霊体に亀裂が入り砕け散る!
あとに残るのは、瘴気を燻ぶらせドロドロと灼熱した砂の様な、ギブシンサラマンダーの魂だけだ。
如何やらこの状態は、MP最大値が0になったMPロストと言う状態の様だ。
この状態は、MP0で実体が無いため魂だけの状態に為っていると云うだけで、まだ倒せてはいない見たいだ。
「くそ、マジか! 倒しきれなかっただと!?」
でも、しっかりとダメージは蓄積されている。
それに、ギブシンサラマンダーのHPが回復する気配を感じない。
つまり此奴の回復はMP頼り、神力も一度MPに変換してから使ってたって事だ。
なら後は、何も出来ない此奴のHPを削り切れば勝ちって事だな!
ちなみに、この状態で更にMP最大値を減らす攻撃が入ると、HP最大値が減るHPブレイクと言う状態異常になる様だな。
「それじゃ私が止めっ! 『クリアソウルバニッシュメント』!! それから『
眩い光と共に黄金に輝く炎が瘴気塗れの魂を焼き焦がし、その黄金の炎を目掛けて真っ白な極太レーザーが照射され、ギブシンサラマンダーの魂を消し飛ばす!!
¶フィールドBOSS 熱砂半裂ギブシンサラマンダーの討伐に成功しました。
討伐成功により、万霊水窟の環境が本来の状態に戻ります。
ですので、水中で生きる術を持たない場合死亡します。お気を付けください。
ドロップアイテムと討伐報酬は、後ほどギフトボックスからお受け取りください。
え?
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