161 万霊水窟8 熱砂半裂ギブシンサラマンダー3
氷雨がギブシンサラマンダーに触れる度、大量の水蒸気が発生して視界が悪くなる。そんな中、ギブシンサラマンダーの砂弾と流砂に飲まれるのを避けるため、『コスモバーニア』で宙に浮くサレスが何だか窮屈そうに見える。
巨骸甲冑を装備しているとは云え、まだまだホールの空間に余裕は在った筈なのだが。如何も、流砂が渦巻き流動するのに合わせて、砂嵩が増して行っている様に見える。
う~ん。如何やら『
「むむ、流砂の所為ででホールの入口が塞がっていますね。蒸気も気になりますし。取り合えず纏めて取り除いて置きましょう。『ディメンションエクスターミネイト』!!」
桜は効率的に砂を排除するために、流砂の渦の中心の底に次元の大穴を開く。
ズゾゾゾォッ! 一気に砂嵩が下がって行く。それと同時に、まだ吸われ始めていない蒸気がキラキラと輝き、ダイヤモンドダストに変わる
『グルォオオッ!?』
ん、急に気温が下がったのか? ギブシンサラマンダーも驚いている様だ。
それに、気温が下がったお陰かギブシンサラマンダーに触れて直ぐに蒸発していた氷雨が、今は直ぐに水になる程度に留まっている。
んん? もしかして気温だけじゃくて、ギブシンサラマンダー自身の熱量が減ったのか?
Σあっ、そう云う事か! このホールの砂の量、もしくは砂嵩がギブシンサラマンダーの熱量と、イコールに為っているのか!
だとしたら時間経過で、ギブシンサラマンダーの熱量が増えて行ったのも筋が通るな。
しかし、そうだとすると。このボスは、砂を排除する方法を持ってないと相当厳しいんじゃないか? その上、高耐久にカウンター能力、おまけに回復もするだぞ?
うん。こいつ普通に初見殺しのボスだよね。
急激に大量の砂が失われた事に危機感を覚えたのか、ギブシンサラマンダーから強烈なオーラが放たれる!
『グルォオオオオオオオオオオッ!!!! 『
¶フィールドBOSS 熱砂半裂ギブシンサラマンダーが、広域災害スペルアーツ『
このアーツは広範囲の自然環境と、そこに住む生物に多大な被害を齎す可能性があります。大変危険ですので避難してください。
ドゴォオ――――――――ン!! ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!! ギブシンサラマンダーを中心に、水分をたっぷり含んだ砂の壁がホール天井に届く様に出現したと思うと、波が砕ける様に壁の上部が砕け一気に押し寄せて来る。まさに流砂の大津波だ。
おいおい! こんな狭い空間で使う様なアーツじゃ無いだろ!
それにこいつ、今までの攻撃もそうだが、洞窟の崩壊とか全く考えてないだろっ!
こんなの真面に喰らったら、間違いなく圧殺されるわっ!!
あと避難しろって、洞窟のそこそこの広さしかないホール内で使われて、避難出来る訳ないだろうに。要は、自力で如何にかするしかないって事になる。
『マイクロブラックホール!!』
エルナの【閃星】のアビリティが、流砂の大津波の前に極小の重力特異点を作り出す。アビリティによって生み出された黒点は、水分を含んだ膨大な量の砂の大津波を、余す事無く全て吸い上げる様に飲み込んで行く。
ドドォオ――――ン!! 突如、ギブシンサラマンダーの巨体がエルナ達の真下の砂地から飛び出して来る!
『マイクロブラックホール』で『
『グルォオオオゥッ!! 『バーニングサンドダストテイル』』
ゴウッ!! ドッバァ――――――ン!!! ギブシンサラマンダーは頭を軸に体を回転させ、空中に居たエルナ達を薙ぎ払う様に灼熱の熱気を帯びた長い尻尾を振るう!
「くぁぅっ!?」
ギブシンサラマンダーの尻尾の直撃で思わず声が漏れる。そこに、追撃とばかりに真っ赤に灼熱した砂塵が吹き付け、焼けるような痛みが全身を襲う。
「好きにはやらしぇんのじゃ! 『竜気・絶氷瞬結』!!」
ボスの攻撃を『アイスバリア』でいなし防いたチナが、自身の内で練り上げた荒れ狂う凍気の竜のオーラを解き放つ!
グォガァアアアアアアアアアアアアッ!!!! 絶対零度の冷気を纏う竜のオーラが、砂に潜ろうとするギブシンサラマンダーを捉える!
『グルォガッ!?』
バキバキバキバキィッ!!!! ギブシンサラマンダーの体が瞬く間に凍り付く!
良し! 今のうちに回復と幾つかのバフを掛け直そう!
回復とバフの掛け直しを手早く終えたのだが、凍り付いたギブシンサラマンダーの中で神力らしきものが消費されて行くのを感じる。
万霊水窟の神水を、今も砂を通じて取り込んでいるのだろう。こいつもポリュクラッカ同様、神力を蓄えていても可笑しくは無い。うん、長くなりそうだ。
ギブシンサラマンダー倒すため、地道に削って行く中で漸く弱点分かった。
それは、サレスがギブシンサラマンダーの攻撃を、思わずメンタルクラッシャーで迎撃してしまった時に分かったのだ。
こいつには、メンタルクラッシャーのパッシブ精神粉砕が諸に効いたのだ。
この洞窟で霊体系のエネミーと戦ってきたが、このギブシンサラマンダーも例にもれず霊体系エネミーだったのだ。オオサンショウウオの姿をしているとは云え、やはりこいつもサラマンダー精霊の類と云う訳だ。
精神攻撃が効き霊体系のエネミーであると云う事は、霊山之燈火ネヴィヤエルフォスや縛霊影鎖スキュンレスツェカリアの攻撃が非常に有効と云う事に為る。
チエの攻撃なんか良く効いてるなぁと思っていたが、チエが神力を使えるからってだけでなく、グラディオリギュム自体の力も効果的だったんだな。
有効な攻撃が分かった為、状況が一気に良くなる。
桜が、縛霊影鎖スキュンレスツェカリアの『
サレスも、火属性系が入ってるからと、使わずに控えていた鬼装黒炎骨格ヘルカコルクス・浄と、天翼炎蛇之義眼クリメイトパラコアルの専用アーツを使い、メンタルクラッシャーでギブシンサラマンダータコ殴りにした。
鬱憤を晴らすかの様な桜とサレスの連続攻撃で、ギブシンサラマンダーの様子が一変する。
『グルォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』『
そう、決して能動的に使ってこなかった『
これは最終フェイズに入ったかな?
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