160 万霊水窟7 熱砂半裂ギブシンサラマンダー2

 ギブシンサラマンダーは、チエとサレスの攻撃など何事とも無かったかの様に咆哮を上げアーツを発動する!


『グルォオオオオオゥッ!! 『BJブラックジャック・ハンマーヘッド』』


 オオサンショウウオ特有の平べったい大きな頭が、周囲を薙ぎ払う様に連続で左右に振り回される。チエは距離を取って回避し、サレスはフォリンクラルムの力を宿したギガセンチビートアームで、『静止鏡面』のアーツを使いって勢いを殺し攻撃を受け切る。


貪欲なる捕食グリードプレデイション


 ギブシンサラマンダーは、攻撃を受け切ったサレスをそのまま捕食しようと大口を開く。もちろん、サレスを食わせる訳ないんだけどな!


次元氷結新星爆裂ディメンションフロストノヴァ!!』×3

「『樹根天衝』なのじゃ!」


 ヒュンヒュンヒュン!! と三連射した『次元氷結新星爆裂ディメンションフロストノヴァ』の矢が、紫の軌跡を描き大口を開けたギブシンサラマンダーの口の中に飛び込み、巨大な柱の様に変化した神鋼製の樹根が、その口を塞ぐ様に砂を巻き上げながら突き上げる!


 ドゴン!! バギャキ――ン!!!! ギブシンサラマンダーは大きく仰け反り、幾つもの紫の氷晶が内側から食い破る様に突き出る!


 ん? もしかして、遠距離攻撃ならカウンターは飛んで来ないのか?

 俺がカウンターを警戒している間に、攻撃回避のため一旦距離を取っていたチエが、追撃とばかりにギブシンサラマンダーへ天の怒りを秘めた雷の牙を振り放つ!


『天神爆雷牙』


 ドゴ!ドゴ!ドゴ!ドゴン! ドゴゴォオオオオオオオン!! 雷の牙は、命中と同時に爆発と稲妻を撒き散らし、稲妻が更なる爆発を齎す連鎖を引き起こす!


『グルォオオオオオオオゥゥッ!!』『砂塵爆柱サンドダストピラーボム


 ギブシンサラマンダーが、『天神爆雷牙』のダメージで苦悶の声を上げると同時に、ドゴォ――――ン!! とチエの足元が爆発し砂柱が噴き上がる!


「!?」


 なっ!? もしかして今のはカウンターか!?

 慌てて、『砂塵爆柱サンドダストピラーボム』で吹き飛ばされたチエに『アステルセラフィア』掛ける。


「この! 『凍撃連破・氷砕壊山』!!」


 チエが吹き飛ばされたのを見たサレスは、猛烈な白い冷気を立ち昇らせギブシンサラマンダーにアーツの連撃を加える!

 ドガ!ドガン! と金棒を連続で振るうが。サレスのアーツが終わる前に、『私は砂であるエルソアレイア』と『熱砂放熱ハジャソンジカロラレイア』が発動し、ギブシンサラマンダーは砂に変わり高熱を放射する。


「なっ!? カウンターか!」


 おお、流石は自分。同じ様な反応してるわ。


 ジュッ!! ドゴォ――――ン!! ギブシンサラマンダーが放射する高熱が、『氷天零下水域』の氷雨を一瞬で蒸気に変え爆発を起こす!


 えっ!? カウンターの威力上がってないか!?

 さっきは、氷雨が蒸発して爆発なんてして無かったろ!?


 そうこうしている間に、再び砂地からギブシンサラマンダーが浮上して来る。


『グルブォオオオオゥッ!! 『熱砂爆裂ヒートサンドバースト』』


 ドゴォォ――――――――――ン!!!! 真っ赤に灼熱した砂が、爆発と共に弾け飛び再びホール内を爆風が襲う!


 『氷天零下水域』の影響で凍り始めている砂が爆風で暴れ回る中、チナの『永久凍土』のアーツで砂を完全に凍らせて如何にか治めた。

 ちなみに、再び砂が撹拌されたお陰で桜が発見された。うん、良かった。


「良くもやってくれましたね! 『マルチレイヤ―アタック』『フラッシュショットバースト』!!」


 砂に埋もれさせられた恨みを晴らす可く。桜は『マルチレイヤ―アタック』を乗せ、鉱石散弾フラッシュオーアブラストの専用アーツを発動する。


 カッ!! ズガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!! 強烈なフラッシュと共に、ギブシンサラマンダーを四方八方から鉱石の散弾が襲う。


 グルォオオオオオゥッ!! ギブシンサラマンダーは苦痛に叫び声を上げる。

 ん? 今度はカウンターが発動しないな?


 復帰した桜と一緒に、ギブシンサラマンダーとの戦闘を続けて行くと。

 カウンターはギブシンサラマンダーと攻撃者の距離が、近距離から中距離以内だと発生すると云う事が分かった。

 近距離だと、『私は砂であるエルソアレイア』と『熱砂放熱ハジャソンジカロラレイア』の二つの能力が発動し、自身を大きく回復させ高熱放射の高威力攻撃発生する。中距離だと、『砂塵爆柱サンドダストピラーボム』の地雷の如き爆発と噴出する砂で吹き飛ばされる。と云った具合だ。

 そして、他に分かった事が、ギブシンサラマンダーは自動回復能力が高く、与えたダメージが普通に回復してる。おまけに、このオオサンショウウオ高耐久っぽい。

 それに、こいつはこの洞窟が崩落しても構わない、寧ろ崩落させ様としていると云う事だろうか。


『グルォオオオオオオオオオッ!! 『流砂大渦トライプサンドシュトローム』』


 ホール全体の砂地が流動し渦を巻き、足が取られ砂に飲み込まれて行く。

 直ぐに虹翼を展開して宙に浮き、砂に飲まれるのを回避する。

 漸く、ダメージが嵩んでフェイズが移行した様だ。

 それと、宙に浮いた所為で気付いた事が有る。

 天井までの距離が、戦闘を始めた時よりも近く為っている事にだ。

 ホールの入口の方を見ると、既に半分以上が砂に埋もれている。

 そう。つまりこのボス戦は、時間制限付きバトルだったのだ。


 この洞窟、常に砂が補充されていたし、ちょっと考えれば分かる事だったなぁ。

 しかも、時間経過で熱の威力も上がる様だし、より時間制限を感じる仕様だよ。

 いざと云う時は砂霊騎士のドロップ、砂潜隠遁ハーミットアレナを装備するしかないかなぁ。状態異常耐性が、乾燥にも対応してる事を祈ってだけど。

 いや、桜が砂に埋もれても、平気だったから大丈夫かな?


『グルォオオオオオオオオオオッ!!! 『灼熱砂塵閃息バーニングサンドダストブレス』』


 ギブシンサラマンダーの体温がより高まり、体表面に浮かび上がるオレンジ色の光が赤く染まる。大きく開いた口の中から、溶鉱炉の鉄の様に真っ赤に灼熱した砂が、ビーム光線の様に放たれる!


 ギュワァアアアアア!! ジュババババババババババババババ!!!! 質量を持った熱線とも云えるそれは、容赦なくエルナ達を焼き焦がして行く。


「くぅぅぅっ!!」

「ふにゅぅぅぅっ!?」

「くっ!」

「うぉおおお!?」

「『ディメンションアイソレイト』『ディメンションバリア』!!」


 桜の『ディメンションアイソレイト』が熱線を遮断軽減し、『ディメンションバリア』で完全に守り切る。桜のお陰で何とか、『灼熱砂塵閃息バーニングサンドダストブレス』を凌ぐ事が出来た。

 しかし、優位に働いていた『氷天零下水域』の氷雨が、もう明らかにギブシンサラマンダーの熱量に負けている。『氷天零下水域』の効果を切った方が良いのか迷う所だな。

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