158 万霊水窟5 砂霊騎士オブセスグリード戦
「『『大地を潤す天の恵みを希う』『
砂霊騎士に召喚されたエネミー達が動き出す前に、略式詠唱されたチナのスペルアーツが発動する。空の無い洞窟の中にサーッと雨が降り、乾き切った砂が敷き詰められた洞窟の地面を濡らして行く。
『オーバーラップアタック!』
雨に濡れたエネミー達を、桜の武器が内と外から刺し貫く。
桜の次元戦闘術のスキルLVが上がって新しく覚えたアーツが、爆発するサンドハンドの処理と他のモブエネミーへの攻撃と足止めを同時に成す。
ふむ。チナのスペルアーツ『天の雫』を使う事で、サンドハンドの爆発と砂埃が舞い上がる事を防ぎ、サンドハンドを一気に処理すると云う洞窟を進む上で見出した戦法が、砂霊騎士の召喚モブにもそのまま通用した見たいだな。
『天神雷速』
カッ! ドド――ン!! 洞窟内を照らす雷光の中、アーツを発動したチエが地を駆ける稲妻となって、一気に大盾持ちの砂霊騎士の懐に飛び込む。進路上に居たモブエネミーは、移動のついでにチエに切り捨てられたのか皆倒れる。
『ナ、ナンダト!?』
『神鳴雷牙』
大盾の守りの内側に入り込んだチエは、グラディオリギュムに雷光を纏う。
砂霊騎士の無防備な胴の左下から、雷光爆ぜるグラディオリギュムが切り上げる様に振るわれ一閃する!
カッ!! ドドオォ――――ン!!! 爆音と共に雷が、龍が天へ昇る様に洞窟の天井へ駆け上がる!
『グァッ!? ガガガガァアアアア!?!』
『天の雫』で濡れたその身体には、電気は良く通るだろう。まさに効果は抜群だ。
『エエイッ! セワノヤケル!』
ケンタウロス型の砂霊騎士が大盾持ちへ助けに入ろうとする。
しかしそこに、スパークする冷気の光を纏ったサレスが、モブエネミーを蹴散らしながら猛烈な勢いで砂霊騎士に突っ込む!
『コスモフリーズ・
『ゴッパァッ!?』
ドガシャ――――ン!! 凍える冷気が激しいスパークと共に周囲に一気に弾け、サレスのフォリンクラルムのシールドバッシュが、ケンタウロス型砂霊騎士を凍結粉砕し凍った砂を撒き散らす!
ケンタウロス型砂霊騎士の砂鎧が、ボロボロと崩れ砂の中から髑髏が現れる。
如何やら、『シールドバッシュ』,『オーラシールド』,『コスモフリーズクラッシュ』,『チャージダッシュバーニア』の、四重発動アーツはしっかり効いた様だ。
ちなみに今のサレスの攻撃は、洞窟の中『天の雫』の効果で雨が降り続いてるお陰で、地面が濡れたままになり砂埃を気にせずバーニアを吹かせるのだ。
そして、濡れているのだから当然良く凍るって訳だな。
『オノレッ! ワタシガ、コノヨウナシュウタイヲサラストハ!!』
それにしても、砂霊騎士の中身は、サンドマミーソルジャーにそっくりスケルトンって感じだ。そんな事を考えている内に、二体の砂霊騎士は体勢を立て直す。
砂霊騎士をカバーする様に、まだ倒せていない白煙幽霊共が動き出す。
アアァァァッ!! ジンキヨコセエェェェッ!!
白い煙状の霊体に無数の顔を浮かび上がらせ、白煙幽霊共がチエとサレスに襲い掛かる! まあもちろん、そんな事はさせないけどな!
『星輝霊滅!』
カッ! パァァァ――――ッ!! 俺は霊体特攻となった星輝の光を、白煙幽霊共と二体の砂霊騎士へ照射する。
ギャアアアアアアアアアッ!!
『星輝霊滅』の光が、容赦なく白煙幽霊共を消滅させて行く。
これで、砂霊騎士が召喚したモブエネミーは全て一掃したな。
『グァアアアアアアアア!? ソノヒカリヲヤメロオォォッ!!』
『クッ!? イマイマシイヒカリダ!!』
髑髏を露出させた砂霊騎士が苦悶の声を上げ、チエに派手に切られた砂霊騎士も不快感を露にする。
砂霊騎士も岩窟霊みたいに、物質で構成された実体が霊体を守っている感じか。
『ドウケツニシミツク ジャネンノケシンヨ! ユガンダヨクボウヲカナエルガイイ!!』『コール! 岩窟霊オブシークゴースト!!』
洞窟の岩壁が不自然に盛り上がり、夥しい数の顔が現れ悍ましい叫び声を上げる。
砂霊騎士を岩窟霊みたいだと思ったら、本物の岩窟霊を召喚しやがったよ!
『
髑髏を露出させたケンタウロス型の砂霊騎士は、アーツ発動と同時にサーッと砂の中に沈み込み姿が見えなくなる。
はぁ~、砂に潜るとか砂漠の敵が良く使って来そうな能力だが、これ実際にやられると凄く厄介なヤツだぞ?
「『樹根打突』なのじゃ!」
しかし、砂霊騎士の動きを見ていたチナが、透かさず砂の地面にロマディアルヴルを突き立て専用アーツを発動する。
これはエルナの『星覚』による認識だが、ロマディアルヴルが突き立てられた場所から神鋼製の樹根が根を張る様に一気に広がった。
ドパサァ――――ッ!! 神鋼製の樹根は、砂に潜った砂霊騎士をドゴンドゴン! と宙に吊り上げる様に刺し貫く。更に岩窟霊とそれを呼び出した砂霊騎士にも、神鋼製の樹根がドゴンドゴン! と云う打突音と共に次々と突き刺さる。
おお! 面倒な事になるかと思ったけど、チナの新武器があっさり解決してくれたぞ!
『グボォッハァ!? ナンダトオォォォッ!?!』
『ゴォッハァ――――ッ!!』
神鋼製の樹根に吊り上げられ、打ち上げらた魚の様に踠く砂霊騎士と、神鋼製の樹根が岩石の身体に突き刺さり、内側から蹂躙され砕かれる岩窟霊に俺は狙いを定める。
『
オフィツァルウクルの霊炎が眩く輝き、疾っくの疾うにクールタイムが終わっていた本日二回目の『
キラッ!! シュバァ――――――――――ン!!!! 白く眩い極太のレーザー光線が照射され、砂霊騎士と岩窟霊を跡形もなく消し去って行く。
『グギャアアアアアァァァァァアアアアアアア!!?!』
『ヒギャアアアアアアアァァァァアアアアアアアア!?!!』
断末魔を上げる二体の砂霊騎士と、召喚されて特に何も活躍する事も無くただ悍ましい悲鳴を上げる岩窟霊は、『
¶
これにより、万霊水窟の最奥へ通行可能になりました。
お、『星覚』のスキルで一応分かっていたが、次が万霊水窟の最奥だとアナウンスが保証してくれたぞ。
「思ったより、苦戦しませんでしたね」
「うにゅ。連携が上手く行ったのじゃ」
「姉様の『樹根打突』で、勝負有りって感じだったのです」
桜達が話している様に、最初は大量のモブエネミー召喚で苦戦するかもと思った。
でも、それは問題なく捌けたし、その後の岩窟霊の召喚やら砂に潜られたりしたが。それはチエの言う通りチナが速攻で対処してくれたから楽に片付いたよな。
「ふにゅ! わちナイスプレイなのじゃ!」
チナがドヤ顔でもっと褒めて欲しそうだったので、頭を撫でながら褒めてあげる。
「うんうん。チナ凄かったよ!」
「うにゅ! わちをもっと褒めて良いのじゃよ!」
「ふふふ、そうですね♪ チナさんさっきは的確な判断でした。凄いですよ♪」
桜が、チナの頬っぺたをツンツンしながら褒める。
ついつい幼女な見た目のチナが頑張ると、皆チナを沢山褒めたくなっちゃうんだよね。まあ、うちのPTは褒めて伸ばす主義だから、問題ないけどな!
さて、ドロップ回収だけど、大量のドロップの中に装備品が落ちていた。
それが、これだな。
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砂潜隠遁ハーミットアレナ
フレーバー:こいつを羽織れば砂の中に潜れるのか。そりゃあ良い!
まあ、こいつは砂が無ければ、何の意味も無いけどな。
えぇっ!?
砂に潜り、砂中で自由に行動できる様になるマント。
パッシブ 砂中呼吸 砂中行動 砂中隠形
専用アーツ 砂潜隠遁 砂中浮上 砂潜疾走
INT+2250,AGI+2410,IMA+5740
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
う~ん。これ、能力が特化し過ぎてるな。どう見ても基本ビーチか砂漠専用って感じだし、わざわざここで積極的に装備して使う必要は無いと思う。
それに、一見この洞窟で使えそうに見えるけど。実際にこの洞窟で使うなら、乾燥耐性とか持って無いと危険な気がするんだよなぁ。
という訳で。装備はこのまま、万霊水窟の最奥に行きますか!
ああっと、もちろん。突入前に、バフをもりもり盛って準備万端で行くからね!
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