156 万霊水窟3
ドガガガガガガガガガガガガッ!!!! 洞窟内の空間を埋め尽くす様に、岩窟霊の生み出した鋼根が至る所から突き出される。
『ミラージュインダクション!!』
『ディメンショントンネル!』
サレスがアーツで咄嗟に作り出した幻影は、鋼根の動きを誘導してPTメンバーへの直撃を逸らす。それでも直撃しそうな鋼根は、桜の『ディメンショントンネル』によって、PTメンバーを害する事無く後ろに突き抜ける。
「『レギオンブラストファング』なのじゃ!」
チナは鋼根の迎撃と岩窟霊への攻撃を兼ね、『レギオンバイティング』,『レギオンシューティング』,『ロックバイトブラスト』,『グレイシャーファング』の、装備専用アーツ四つを合わせたオリジナルアーツを発動。
金属の輝きを持つ岩顎の群れが、刺す様な鋭い冷気を吐き出しながら猛烈な勢いで空を駆け、障害となる鋼根を噛み砕き岩窟霊に殺到する!
グギャガアアアアアアアアアア!? ナンダコイツラハ!?!
岩窟霊に群がる岩鍔の中らガリゴリと異音が響く。
ワタシカラ ハナレロ!! 『嫉嘖貌岩鞭』!!! 岩窟霊は、苛立ちを露わに叫び声を上げる岩の鞭を顔の数だけ生み出し、岩顎の群れを打ち払う。
岩窟霊の顔は、岩塊の巨体にビッシリと浮かび上がっていため大量の岩鞭が暴れ回り、ドゴンドゴンと岩顎を打ち払いながら砂埃を舞い上げる。
『
チエの顔に何時も通り影が差し、獲物を狙う蛇の如く静かにアーツを発動する。
チエの身体の周りに、蛇がとぐろを巻く様に光の渦が生まれ、その光の渦はあっと言う間に大きな渦に成長する。サッとチエが手を翳すと光の渦が波打ち、全身がキラキラと透き通る様に光輝く大蛇へと姿を変え、ゆっくりと鎌首をもたげる。
チエは、何時の間にか着物の袖から扇子と短刀を取り出し、そのまま優雅に舞い踊る。その踊りに釣られる様に、光輝く大蛇が洞窟の中を舞い駆け巡る!
ヒュンヒュンヒュン!! シュバババァァァァァッ!!!! 蛇の蛇行を思わせる光の軌跡が刻まれ、岩窟霊の岩塊の巨体ごと岩鞭をバラバラに解体する。
ワタサナイワタサナイ! コノジンキハ ワタシノモノダ!!
『
また、合体するのかと思ったのだが。宙に浮かび上がった岩窟霊の身体の破片は、再び合体する事も無く此方から離れ洞窟の壁面へ向かおうとする。
おいおい! もしかして此奴、お宝持ち逃げする心算か!?
「逃がしません! 『
桜が岩窟霊を逃がさんと、縛霊影鎖スキュンレスツェカリアの専用アーツを発動する。壁に向かって逃げ様として居た岩窟霊の身体の破片が、『ライト』の明かりで生じた影と洞窟の暗闇の奥から現れた夥しい数の影鎖により、一つ残らず絡め捕られ苦悶の声を上げる。
アガガガガガアアアアアアァァァァァアアアアアァッ!! ナゼダアァァッ!!
キエタクナイィィィ!! ヨウヤクジンキヲテニシタノニィィッ!!!!
良し、確実に仕留めよう! それに、天翼炎蛇之霊衣オフィツァルウクルの専用必殺アーツなら、霊体にも物理にも効果が有りそうだし、多分これが原因で爆発なんてしないだろう。だから、いけるいけるぅ!!
『
普段は透明で見えないオフィツァルウクルが白く輝き、猛る霊炎と共に姿が浮かび上がり視認出来る様に為る。天女の羽衣を思わせるオフィツァルウクルの霊炎が、勢いを増すほど強く眩い光を放ち膨大な力が集束して行く。
キラ!! シュバァ――――――――――ン!!!! 真っ白な極太レーザー光線が、影鎖によって捕らえられた岩窟霊に向かって照射される!
ギィャアアアアアアアアアアアアアアア!!!! レーザーが直撃した端から、岩窟霊が文字通り跡形も無く消滅して往く。
岩窟霊の大きな破片が消えた後、カシャンと金属の塊が落ちる。
これは岩窟霊が掠め取った神器と思われるお宝だ。浄化してから収納してこれがどんな物か確認する予定だったが、金属塊に染み付いて居た邪念が一切感じられない。『
¶変異
あぁ、やっぱり討伐報酬は無いか~。変異したのはこっちのミスだもんなぁ~。
ドロップも回収し損ねたお宝の金属塊だけだ。
とにかくティアーズクロワに収納して、この金属塊の正体を確認しよう。
で、それがこれだな。
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樹根神棍ロマディアルヴル
フレーバー:おいおい。何だこの棒はグニャグニャ曲がるぞ?
樹の根の様に自由自在に伸びて曲がり、不意の一撃と大地に流れる力を齎す神鋼製の棍。かつて、エーランブラム山中腹に在った神力を宿した霊木から、その力を分けて貰い制作された神器である。
パッシブ 曲根如意 不意会心 樹根龍穴
専用アーツ 曲折会心撃 樹根打突 樹根縛操 樹根天衝 樹根天龍昇破
STR+2200,VIT+5600,DEF+3700,DEX+2600,LUK+8900
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ほうほう。人の手が加わって神器に成った物と、最後に朽ちて残った物が自然と神器に成ったと云う違いは有るが、力の由来は飛来霊刃グラディオリギュムと同じ霊木らしい。自由自在に折り曲げる事が出来るから、手足や腰とかに巻き付けて身に着ける事が出来る見たいで、なかなか使い勝手が良さそうだ。
ちなみに、ステ補正はこちらの方が若干高い見たいだ。
皆試しに使って見た結果。LUKが高い程、パッシブ効果『不意会心』によってクリティカルが発生する事が分かった。その上で、この洞窟で非常に戦い難そうなチナに、ロマディアルヴルを装備して使って貰う事にした。
この神器、邪魔に為らずに装備出来るし、使い勝手も良いロマディアルヴルは、エルナが使っても良かったのだが。エグゼラフィスルとレギオンナイフを、サブウェポンとして装備したままに出来たので、戦力ダウンせずにチナがロマディアルヴルを使えた事も考慮しての結果なのだ。
ちなみに、チナは基本武器は何でも使える見たいだ。何故かと云うとチナの本体であるエナが、色んな武器をコレクション&修行などで一通り修めて来たからとの事。
「ふにゅ。わちパワーUPなのじゃ!」
自信満々の顔でビシッと棍を構えるチナ。
「わち似合ってるのじゃ?」
ふむ、流石チナ。カッコよさよりも可愛さの方が圧倒的に勝っているな!
小さな子が、長物とか大きな武器を使うのってロマンだよね。
しかし、自在に伸びる棍か。何だか如意棒見たいだよな。
「うんうん、チナとっても似合ってるよ♪」
「姉様カッコいいのです!」
「チナさん、とっても似合ってますよ」
「良いんじゃないか」
「ふにゅ。なら良かったのじゃ!」
皆に似合ってると言われてチナはご満悦だ。
可愛くって、チナの頭を撫で撫でしちゃうのはしょうがないよな。
さて、このまま先に進もうと思っているのだが。
この洞窟の戦闘エネミーも強くてなかなかキツイ。
やはり、ポリュクラッカの討伐報酬で装備者保留にしているメリケンサック、顔面粉砕メンタルクラッシャーを誰かに装備させた方が良さそうだな。
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