153 続ポリュクラッカリザルト真と五合目探索

 チエの物とは違って、エルナのプレゼントボックスには、如何やら装備一つしか入って無い様だ。純粋に運が悪かったのか。それとも、装備一つに力が集約された結果、物凄く良い物になったのかのどちらかだな。


「プレゼントボックス開封っと♪」


 星が落ちる様なエフェクト共に、エレアロードヴェインと同じ様な長さの、一見片刃の大剣の様にも見える長柄の戦斧が姿を現す。


「おおー! これは凄そうだよ♪ う~ん、でも何だろう? 何故かこの戦斧に、物凄く既視感を感じるだよね」

「うにゅ。わちもそう感じるのじゃ!」


 改めて、じっくりと戦斧を見る。

 長さは、エレアロードヴェインと同じ位で2m50cm、長柄の長さはこれも同じ様で1m70cmだ。柄の上端に斧刃1m50cmにもなる斧頭を持ち、斧刃は斧頭の80㎝上まで伸びており、槍の様にも使えそうで非常に良く切れそうだ。


 形状は、現実世界にも実在する戦斧の一種、バルディッシュが一番近いだろう。

 斧頭はセレスティアラインの様に全体的に蒼く、星々を思わせる様な金属粒子が浮かび上がりキラキラと輝く。刃先に向かう程、朝の白んだ空を思わせる様に、蒼を帯びた白銀へ色が変わり、逆に柄に近い部分は暗く夜空を思わせる様な深い青に変わる。

 長柄は斧頭の方から暗めの銀色で、石突の方へ向かう程白く輝く銀色で石突の先端は尖っている。斧頭同様、星々の輝きを思わせる金属粒子が浮かび上がり、キラキラと輝きとても綺麗だ。


「主様! わたし気付いたのです! この戦斧、デザインとか雰囲気が、主様の装備とそっくりなのです!」


 ほほぅ! 確かに言われて見ればその通りだ!

 この戦斧、長さ何てエレアロードヴェインと同じだし、配色や色合いもセレスティアラインやアステルエルアクシアにそっくりだ。この戦斧は何だか、エルナの専用初期装備と近しい物に感じられる。

 まあ兎に角、詳細をティアーズクロワに収納してチェックだ。

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星降天断エメスセラティア

フレーバー:大いなる灰呪の力は消え去り、星輝の輝きが天の大器を染め上げる。

重力を操り自在に回転と軌道の向きを変え、振るう度に星々を降らせ天地を割る戦斧の大神級神器。また、中確率で特殊な気絶状態を引き起こす力を持つ。更に、形状変化によって投擲形態に変化する事が出来き、サイズも重さも自由自在である。

※大いなる灰呪の力と大器に宿る意思を屈服させ、更にその全て消し去り大器の器の 

 全てをエルナの星輝で染め上げ支配した。それ故この大器の器は、完全にエルナの 

 星輝と一体化しており、所有者固定のエルナ専用にカスタマイズされている。

 その影響で、本来装備BALV2800必要とされるが、BALV700で装備する事

 が出来る様に為ったエルナ専用の装備である。

パッシブ 星降り 重力制御 自在回転軌道 ハロートゥインクルスター 形量変化

専用アーツ 衛星衝撃刃サテライトスウィング 斬刃衛星軌道サテライトオービット 衛星激突サテライトストライク 星降流星群スターライトミーティア 惑星両断プラネットクリーブ

      天断星砕スターライトブレイカー 星降天断エメスセラティア

STR+24960,VIT+6520,MAG+6740,IMA+12300

AUR+35860

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 はい、出たよLV制限装備。ステ補正も高くて、パッシブ効果,専用アーツも間違いなく強力だろし、エルナ専用にカスタマイズされているらしいから、きっと強くて使い易いんだろう。通りで既視感を覚える訳だな。

 しかし、装備制限がBALV2800の所、BALV700まで下がっているが、どちらにせよ装備出来るのは当分先だ。それに、使い熟す為に斧術を覚えないとならないし、適当に斧でも買って振って見るか?

 あ、当然強制学習はごめん被るよ。ソフィーちゃんには悪いけどな!


 それにしても、如何やら大神の力を完全に消し去った所為で、大神神器では無く大神級神器とカテゴリーが変わった様だ。

 水竜神ブエナ本霊神具,白龍神之護神刀、この二つに次いで高いのステ補正が付いている。まあ、この二つは恐らく完全な一点物のユニーク装備だと思うから、強力な装備だとしても例外だろう。

 でも、この星降天断エメスセラティアは、元は【呪鬼】が作った大神神器だとは言え、数ある侵略拠点の一つに置く事が出来る程度の代物だ。

 つまり、この位の物は大神にとっては幾らでも作れる物なんだろう。

 そして、これから分かる事は、大神が関わればこれ位の物は当たり前に出て来ると云う事だ。

 まあ、星降天断エメスセラティアは、エルナの星輝によって大神神器が、完全に作り替えられた物だから違うかもしれないけどな。

 でも、恐らくこの位のアイテムは、コスモプレイヤーでも作れる様になるんじゃないだろうか? だってこれ、討伐報酬化でパワーUPしてるかもしれないが、実質エルナが作った様な物じゃん?

 2800って言う制限LV的にも確実にそうだと思うね。

 何はともあれ、エメスセラティアは今は装備出来ないので、このまま暫くはティアーズクロワの肥やしに為って貰うしかないけどな。


 さて、多少俺のメンタルにダメージを受けたが、リザルト確認でポリュクラッカ戦の後に感じた疲れは無くなった。と為れば、5合目有ると言う特別な霊水が湧く洞窟に行くしかないよな。

 それに、特別な霊水とは万霊水の事だろうし、もしかしたらお宝があるかも。




〈呪霊灰山5合目〉


 五合目に到着して、直ぐに渓流に向かう。渓流まで降りて来たら、前回同様渓流を遡って行く。但し前回とは違って、かつて在ったであろう支流の跡を探しながらだ。

 探している支流の跡は、兎に角古い物を探す。

 俺の考えた通り探している霊水が万霊水だとすれば、昔この渓谷にその霊水が流れ込んでいたとしても、相当古い川の跡に為る筈なのだ。

 だってわざわざ、霊水を汲みに来ていたと言う話だし、今はその霊水が流れ込んでいないだろう。

 しかし、そんな霊水が見つかっていると言うのなら、この地形で見付け易い場所に在ったと云う事だ。だからこそ渓流沿いの、それも支流の先に在ったのではないかと思う。流石に、あの滝の源泉がそうだとは思えないからな。


 そんな事に注意して、渓流から飛び出して来るエネミーを処理しながら進んで行くと。今の渓流の流れから若干逸れた場所に、長い年月を掛けて流水で削られたであろう岩肌が見えて来る。


 お、支流の跡発見か? 一発で当たりだと楽で良いんだけどな。

 そう思いながら支流跡のある谷間へ歩を進める。足元が積もった灰では無く砂地に変わる。いや、この砂も灰が混じっているから何とも言えないな。


 途中、岩を被ったヤドカリのエネミー何かが出て来たりしたが、サレスが金棒で叩き潰して瞬殺だった。

 谷間を抜けると視界が広がり、先にぽっかりを口を開けた大きな穴が見える。

 大穴の周囲を囲む様に人工的に作られた水汲み場があり、此処が特別な霊水が湧き出ると言う洞窟なのだと分かる。

 水汲み場まで行くが、霊水が貯まって居たであろう場所には、灰混じりの砂が有るだけで湿り気すらない。霊水が湧き出ると言う洞窟の奥を覗いて見たが、洞窟は暗く斜め下に向かう様に続いており、奥が深いと云う事しか分からなかった。


「これは、この洞窟の中に入って行けって事だよね?」

「ふみゅ。しょのようなのじゃ」


 つまり、これから洞窟探検しろって事か。


「ん? もしかせて、ここのボスを倒したら霊水が湧き出て来るんじゃないか? そうしたら我々は水没するのでは?」

「Σえっ!? 私、水中でも大丈夫なんでしょうか?」


 あ~、それは有りうる。4合目の霊木跡地の事を考えれば十分可能性がある。

 チナ,チエはもちろん、エルナとサレスも水中でも窒息しないと分かっている。

 PTメンバーで唯一、水の中が大丈夫か分かって無いのは桜だけだ。

 お風呂に入った事はあっても、そこでわざわざ呼吸できるかとか窒息しないか何て確認しないからな。


「それじゃあ、今のうちに確認して置こうか」

「確認ですか?」

「そそ。備えあれば憂い無しってね♪」


 確認方法は簡単だ。サレスにコスモマテリアルで、桜がスッポリ入る器を作って貰い、それを維持して貰う。そこに生活魔法の『ウォータ』で、器に目一杯水を入れれば準備完了だ。

 あとは桜に器の中に入って貰い、水の中で窒息しないか確認して貰えば良いのだ。


「じゃあ、桜入って見て」

「分かりました」


 桜の小さなアバターが、コスモマテリアルで作られた水一杯の風呂桶の中に入って行く。水の中に入って暫く経つと桜が出て来る。


「ぷはっ。如何やら私、呼吸は必要ない見たいです」

「おお、やっぱり宇宙精霊だからかな?」

「見たいですね。それに、私よく考えたら霊体化出来るですよね……てへ☆」


 おいおい桜、それは忘れてたらダメでしょ?

 まあ兎に角、これでボスを倒して洞窟が水没したとしても、皆大丈夫だと分かったんだ良しとして置こうか。


『ライト』


 光球が現れパァッと辺りを照らす。

 エルナに明かりは要らないかもしれないが、念のため生活魔法の『ライト』で明かりを確保してから、水汲み場から降り洞窟の中へ足を踏み入れて行く。

 それじゃあ、洞窟探検と行きますか!

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