150 プレゼントボックスの中身と戦闘

 ギフトボックスから取り出したチエのプレゼントボックスを、距離を置いて『PKサイコキネシス』のスキルが発揮する念動力を使い開封する。


¶呪物 妄執黒泥悪霊人形が、プレゼントボックスから解放されました。


 ドパッン! ズゾゾゾオォォッとプレゼントボックスから真っ黒な泥が溢れ出す。


『『『『『ア゛ア゛ア゛アアアァァァァァァァ゛ッ!!!』』』』』


 ブクブクと黒泥が泡立ち、背筋をゾッとさせる幾重にも重なった呻き声を上げ、ボコボコと膨らみながら高さ3m程度の一体の人型へと姿を変えて行く。

 見た目は、ポリュクラッカが呼び出した黒い巨人の小型版と言った所か。


 こちらはバフ盛で既に準備万端だ。

 取り合えず、刀術を鍛える心算で接近戦で戦おうと思う。新しい権能【星極輝】は使わない、何かオーバーキルにしかならない気がするからだ。

 それに、星輝を色々弄ったりしていて思ったのだ。

 俺はまだ星輝を全く使い熟せて無いんじゃないかとね。

 だってさ、よく考えて見たら星輝ってもっと色々出来る筈なんだよなぁ。

 なのに俺の星輝のその物の使用方法は、星輝を流し溜め込んでから攻撃時にそのエネルギーを開放するって言う、単純な利用方法位しかやって無いんだよ。

 例外は星燐,星撃系のアーツとか、『星覚』のスキルを利用した探知や情報分析位だ。他は星輝その物の変化とかじゃ無いからなぁ。

 星輝は所謂全能のエネルギーの一種なのに、今現在物凄い宝の持ち腐れ感だよな。


『『『『『ア゛ア゛ヴァオアアァオアアァァァァ゛ァ゛ッ!!!!』』』』』


 黒泥の身体に、幾つもの恨めしそうな顔を浮かべ、泥人形がのそりと動き出す。

 刀の形状に変化しているセレスティアラインを、一振りだけ抜き両手で持つ。

 エルナが両手で持つのに合わせる様に、刀身と柄が若干伸びる。

 セレスティアラインが、両手持ちに合わせて形状変化してくれた見たいだな。

 星輝の使い方を工夫するのにいきなり二刀流でやるのは、ちょっとアレかなぁ~? と思い両手持ちしたのだが。うちのこの神器は、双剣なのに両手持ちにも問題なく対応する見たいだな。

 

『『『『ア゛ア゛アヴァァ゛『狂泥狂乱マッドマックス』!!』』』』


 如何にもバーサークを発症しそうな攻撃名のアーツが発動する。泥人形は飛沫飛び散る泥の弾丸を、碌に狙いも付けずにバラ撒く様に高速で打ち出す。

 ドパン!ドパンッ! 打ち出される泥の塊を避けながら泥人形に接近する。飛沫は避けられないが、『クリアオーロラコーティング』の完全な上位互換のアビリティ『アダマスオーロラコーティング』を掛けてあるから、泥の飛沫が持つ状態異常の効果は完全にカット出来て居る。

 まあ、案の定『星覚』スキルの分析で、スリップダメージと狂乱バーサークの状態異常を引き起こす攻撃だと分かる。


『『『『『ア゛ア゛ヴァヴァオォ゛!?』』』』』


 狂乱する事も無く接近する俺達に動揺した泥人形へ何時もの様に星輝を込め斬り付ける。ただし、星輝を放出しない様にだ。

 星輝は放出しなければ減らないと分かったからな。

 カッ! 泥人形の黒泥の身体に刃が触れた瞬間、ドロドロに体が瞬時に硬くなり僅かに傷を付ける。しかし、その傷も直ぐに塞がってしまう。

 やっぱり再生能力持ちか。

 それにこの硬く成るのは、ダイラタンシー現象見たいな物か?


 取り合えず、溜めた星輝を放出せずに斬って見たが。ちゃんと威力は上乗せされていると思う。まあ、思った以上に泥人形が硬かった所為で分かりずらかったけどな。

 さて、今度は星輝の性質を変化させてみようか。


『『『『ア゛ア゛ア゛アアアァァァァアアア゛ア゛『泥衝破槌撃マッドウォーハンマー』!!!』』』』


 丁度懐に飛び込む形に成ったエルナに、泥人形が不快だとばかりに巨大なハンマーの様に肥大化した腕を振り下ろす!

 先程泥人形が、手本とばかりに見せてくれた瞬間硬化を星輝で再現する。

 エルナの脅威となる力を感じたら、瞬時に星輝粒子が整列し硬化結晶構造を作り出す、と言った感じだろうか。後は星輝その物は保持しつつ、星輝から発せられるエネルギーが一瞬でバリアを形成する、って云うのも良いんじゃないかな?


 ゴウッ!! エルナに振るわれた一撃が、パアァァン!! 光と共に勢い良く弾かれ、その衝撃で泥人形の態勢が崩れる。

 おお、良いね! これは『守星晶輝』何て名前が良さそうだな!


『『『『『ア゛ア゛ア゛ヴォオヴァォ゛ォ゛ッ!?!』』』』』


 泥人形が驚愕の声を上げる。まさか攻撃を弾かれた上に、自分の体勢が崩されるとは思って居なかったのだろう。当然その隙を逃さずに透かさず斬り付ける。

 刀身に込められた星輝が、超微細に高速振動しながら刀身内を高速流動するのをイメージし、刃が当たる瞬間先程同様に星輝その物は保持しつつ。

 星輝から発せられるエネルギーが、切断の現象を引き起こす様に方向付けする。


 スっと何の抵抗も感じる事無く、セレスティアラインが振り抜かれる。

 右肩から真下に向かって、泥人形がパックリ割れ自重でドチャァっと崩れる。

 高速振動は、超音波カッターや架空の武器として有名は超振動ブレード、高速流動はチェーンソーやウォーターカッターのイメージだったのだが。

 如何やら物凄く切れ味が上がった様だ。まんま『星輝刃』と言った所かな。


『『『『ア゛ア゛ア゛アアアァァァァアア゛ア゛ッ『復讐執着アベンジオブセッション』!!!』』』』


 泥人形は自身の修復をしながら、崩れた落ちた体の黒泥から不気味な黒い人影の群れを呼び出す。


「にゅにゅ! しょれはやらせないのじゃ! 『聖水散弾』なのじゃ!!」


 エルナに群がろうとしていた黒い人影共に、聖なる水の散弾が浴びせ掛けられ影はグズグズと崩れ溶ける。う~む、気持ち悪い。チナ、ナイスフォローだ!

 チナの『聖水散弾』が撒かれ、敵の動きが止まっている間に泥人形が簡単に再生出来ない様、更に刀身に込められた星輝に手を加える。

 超高熱の刃でで焼き切る、と云うこの星輝の変化は簡単に出来る筈だ。

 先程の性質変化の応用に、セレスティアラインの専用アーツ『星熱刃』、更に星燐系アーツのお陰で熱や燃焼現象の変化は既にやっているとも言える。

 違うのは、あくまでも星輝その物は放出せずに保持しつつ、星輝から発せられる余剰エネルギーを炎に変えると云う事位か。


『妁炎星輝刃!』


 シュッ! ボシュワァアアアッ!! 『聖水散弾』の所為で再生し掛けの泥人形に、灼熱で発光したセレスティアラインの刃が振り下ろされる。

 灼熱したセレスティアラインの刃は、泥人形の両足を容易く焼き切りその切断面から炎を噴き上がらせる!


『『『『『ア゛ア゛ヴァヴァォ゛ォ゛ッア゛ァ゛ッ!?!?』』』』』


 泥人形は急に脚が動か無くなり混乱している。対してこちらは刀身の星輝を放出していない為、『妁炎星輝刃』は威力そのまま維持されている。

 そう、つまり後は切り刻むだけだ。


『『『『『ア゛ア゛ア゛アアァァァァアアアア゛ア゛ッァァ゛ッ!!!!』』』』』


 シュッ!シュッ!シュッ! ボボッボシュウゥゥゥゥッ!!!! セレスティアラインの剣閃が走り、泥人形が再生する事も出来ずに、サクサク焼き切り刻まれ燃やされて行く。程なくしてアナウンスが流れる。


¶呪物 妄執黒泥悪霊人形を討伐しました。


 泥人形は、ドロップアイテムだけ残して溶ける様に消え去った。

 おおぅ、討伐報酬無しかよ!?


 まあ、なんにせよ。星輝の扱いが一段上がって、相当戦力UPしたんじゃないか?

 時間経過で効果が切れてた『超星身』とか、掛け直しが不要になって時間制限無くなった様なもんだし、星輝を使っているアーツとか全部パワーUPするのは間違いないだろ。


 良し。ドロップ確認したら、エルナのプレゼントボックスを開けるとしますか!

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