144 〈呪霊灰山 4合目〉縛霊呪灰戦斧 ポリュクラッカ
BFに入ると空に雲が湧き、急に辺りが薄暗くなり不気味な雰囲気と気配を生む。
戦斧が突き刺った切り株の周囲の森の木々は、灰が積もって居る所為で分かり難いが皆枯れていた。
そして、切り株に突き刺さった戦斧は侵入者反応したのか、黒く粘着く様なオーラを噴き出し、そのオーラを薄く引き伸ばす様に周囲の森に放つ!
キキ、キリキリ……キリタ、オセ……
キルキルキルキルキル……キキキ……
キ……キ……キリ、タ……オセセセ……
森を徘徊する木こり達に、戦斧から放たれた粘着質な黒いオーラが絡みつき、木こり達をBFに引き寄せる。
¶徘徊BOSS 切り倒す者 デリューションランバージャックが、エリアBOSS 縛霊呪灰戦斧 ポリュクラッカのBFに侵入しました。×18
連続でアナウンスが流れ、ふっと黒い木こり共がBFに次々と姿を現す。
ああっ! そう云う事か!
徘徊ボスの木こり共は、エリアボスポリュクラッカの取り巻き要員だったのか!
となると。曲がりなりにも、ボスと云うだけ有って耐久力は在ったのに、あまり強くなかった理由ってポリュクラッカの肉壁要員だったからって事か?
『カースウェポンサプライズ』
ポリュクラッカが怪しく輝くと、木こり達の持つ斧がポリュクラッカの戦斧のそれへと変化する。
オァアアアアアアアアアアアアッ!! キキキキキキルキルキルキルキルオオオオオオアアアオオアアッ!!! グゴォオアアアアアアアアアアアアアアアアッ!! キリキリキリキリキリキリタタタタタタタタタセセセセェェェエエエッッッ!!!!
刃と成った戦斧の持ち手から墨汁の様な血を流し、隻眼を赤く染め上げた木こり達が狂った様に雄たけびを上げる!
木こり達はBF内で、やたらめったらと戦斧を振り回し暴れ回る。
あー、単なる肉壁って訳じゃないのね。ポリュクラッカが木こり達を呼び込んで強化出来るって事は、時間を掛ければかける程これは面倒な事になるな。
『カレイドファンタズム』と『ステルス・パーセプション』の二重隠形が効いているお陰で、木こり達はこちらを把握出来て無い様だし、ボスのポリュクラッカを直接狙おう!
「『カレイドファンタズム』と『ステルス・パーセプルション』が効いてる見たいだから、木こり達は相手にしないで切株の戦斧を叩くよ!」
「りょ、なのじゃ!」
「了解なのです!」
「分かりました!」
「承知した」
切り株にエルナ達が近づくと、戦斧がウォオオオオ! っと唸りを上げる。
その唸りに誘われ、切り株の周りに木こり達が移動して来る。
おっ、やっぱり木こりは肉壁として活用する見たいだな。
木こり達には、二重隠形が完全に効いてるのだが。
こちらの接近に反応してるあたり、如何やらボスのポリュクラッカには、二重隠形が完全に効いている訳ではなさそうだ。
¶徘徊BOSS 切り倒す者 デリューションランバージャックが、エリアBOSS 縛霊呪灰戦斧 ポリュクラッカのBFに侵入しました。×6
うへぇ、また木こりが追加されたぞ。
余り時間を掛けたくないが。切り株周りの木こりは、流石に相手にするしかないか。まあそれでも、初撃は確実に当てさせて貰う。
『アステルフェニックスレインボウ!!』
虹色に輝く星炎の不死鳥へと姿を変えた矢が、木こり達を避け切り株に突き刺さったポリュクラッカに突き刺さる!
ジュゴッ!!! ドゴオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!
何かが溶ける様な音共に虹色の炎が戦斧を焼く。
ウォオオオォォォオオオオオン!! とポリュクラッカが唸りを上げる。しっかりとダメージが入った様だ。
『必殺アーツ 飛閃神霊光波刃!!』
追い打ちを掛ける様にチエが、飛来霊刃グラディオリギュムの必殺アーツを発動し、グラディオリギュムを勢い良く投擲する!
未確認飛行物体を思わせる眩しい光を放ちながら、グラディオリギュムが高速回転しながらポリュクラッカに飛翔し激突する!!
グワガギィィィイインッ!!!! シュバアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!! 命中したグラディオリギュムは凄まじいエネルギーを開放し、ポリュクラッカにその強烈なエネルギーを叩き付ける!
ギィイグウォオオオオオォォォォオオオオオオオッッッッ!!!!!
苦悶の声を上げるかの様に、ポリュクラッカが唸りを上げる!!
『アイテルエクリクシィ!!』
「『レギオンスウォーム』なのじゃ!」
『蛇視・火葬縛炎蛇!!』
畳みかける様に、桜が霊山之燈火ネヴィヤエルフォスの必殺アーツを、チナは増殖短刀レギオンナイフ,サレスは天翼炎蛇之義眼クリメイトパラコアルの必殺アーツをそれぞれ発動する。
あれ? エルナだけ必殺アーツ使ってないな? ちょっと仲間外れ感が……。
発動が一番遅かった、サレスの『蛇視・火葬縛炎蛇』が最初に効果を発揮し、ポリュクラッカと木こり達を炎蛇が拘束し丸ごと焼いて往く。次いで桜のネヴィヤエルフォスから、青白い炎の濁流が火山の噴火の如く噴き出し、木こり達事ポリュクラッカを飲み込む。射線が開けた所に、チナが投擲したレギオンナイフが夥しい数に増殖し、ナイフの群れと為り残った木こり達とポリュクラッカに襲い掛かる!!
炎蛇が幾つも火柱を上げ、その火柱を青白い鬼火の濁流が飲み込み、最後にナイフの群れが残ったエネミーを喰い尽さんとばかりに群がりガリギャリッ! と不気味な粗食音を立てる。
いや~、これは完全にオーバーキルなのでは? そう思ったがアナウンスは無い。
まあ、そう簡単には終わらないか。
ドン! と禍々しいオーラが広がり、まだエネミーを燃やしている必殺アーツの効果と、『レギオンスウォーム』の増殖したナイフを吹き飛ばし、心臓の鼓動の様な音がポリュクラッカから発せられる。
ドクン! ドクン! と音が響く度、ポリュクラッカがより大きく禍々しい姿に変わって行く。ポリュクラッカが尚も巨大化し続けながら、自身が突き刺さった切り株からスッと抜け宙に浮く。
『ギガントアセンブル・クリエイトレイス』
グンッ! と何かが迫って来る様な……それとも何かが集まって来る様な感じ?
いや違う、この場所ポリュクラッカの元に引き寄せられているんだ!
地面を這う様に、ポリュクラッカが最初に放った様な粘着質な黒いオーラが、蠢き何かを引きずって来ているのが分かる。多分、ポリュクラッカがこの霊木跡地に撒き散らした呪詛と、木こり達を引き寄せているのでは無いだろうか?
それにポリュクラッカ自体も、まるで巨人が使う様な大戦斧へと変化して行く。
森が騒めき大地から黒い靄が立ち昇り、木こり達を飲み込みながらポリュクラッカの下に集まって行く。
ゴリュゴリュリュッ!! ゴキゴリボキッ!!! ポリュクラッカの下から嫌な音が響き、黒い靄が大きく立ち昇り巨大な人型へと姿を変え、無数の体のパーツを寄せ集めたパッチワークの様な、不格好で不気味な黒い巨人が姿を見せる!
ミチミチと音を立て動き出した黒い巨人は、巨人が使うのに相応しい大きさの大戦斧と成ったポリュクラッカを握ると、血の代わりに真っ黒な墨汁の様な体液をポリュクラッカの持ち手からたらし、グォオオオオォォォォオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!! 狂気に満ちた咆哮を上げる!!
チナ達の必殺アーツの連発で、一気にフィエズが進んだのだろう。
そして、これからが所謂リビングウェポンの類であろう、ポリュクラッカの本領発揮って訳だな。まあこっちが、一方的に攻撃してただけだからアレだが。
第二ラウンドの開始だ!
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