139 〈呪霊灰山 5合目〉滝裏の宝物庫2

 早速神樹の宝箱開けて見た。八個の神樹の宝箱の内、大きい宝箱含む四つは以前の宝物庫でも見た昇輝石が入っていた。現状エルナに直で使うのは勿体ないからアレだが、昇輝石が非常に有用なのは間違いない。

 他の宝箱に入っていたアイテムを確認したら如何するか決めよう。

 と云う訳で、残りの宝箱に入っていたのがこれだ。

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霊山之燈火ネヴィヤエルフォス

フレーバー:霊山に燈る霊気の輝き。

霊山の霊気が燈るランプ型特殊武器。

攻撃方法はランプ内に集まり発生する霊気の燈火を鬼火に変えて攻撃する物となる。

パッシブ 霊気燈火 霊気鬼火

専用アーツ 霊脈活性 霊気浄化 ウィルオウィスプ アエルブレス

      アイテルエクリクシィ

VIT+3200,MAG+5700,IMA+8100,AUR+3400


飛来霊刃グラディオリギュム

フレーバー:かつて地に縛られし我が身が空を駆け敵を討つとは感慨深い物よ……。

かつてエーランブラム山中腹に在った、神力を宿した霊木がその姿を変えた物。霊魂にダメージを与える力を持つ、装飾が施された真っ白な木製ブーメラン。

サイズは1m20cmと大きく、ブーメランの形としては7の字型のノンリターンタイプである。しかし、持ち主の手元に戻って来る力を持つため、格闘戦に投擲と両方に対応できる武器と為っている。

パッシブ 帰還飛来 神通霊刃

専用アーツ 打魂霊撃 通力岩斬 霊刃波斬 飛閃霊刃 飛閃神霊光波刃

STR+7200,DEX+2900,AGI+8500,AUR+4200


錬磨万霊水大盾フォリンクラルム

フレーバー:水鏡の如き大盾は敵の暴威を静かに鎮める。

万年の時を経て神水と為った霊山の水で鏡の如く磨き上げられた神霊鉄鉱の大盾。

攻撃を吸収し増幅して開放する力を持つ、水神の力を宿した大盾である。

パッシブ 水底の月 波紋鏡面

専用アーツ 水月の守り 静止鏡面 水鏡之聖域 万霊水神大鏡壁

STR+3500,VIT+8600,DEF+11200,MAG+5400,RES+9600


錬磨万霊水神刀エグゼラフィスル

フレーバー:水が在れば有る程、その鋭さ増して行く水神の刃。

万年の時を経て神水と為った霊山の水を使い水霊神鉱を鍛え打ち上げられた小太刀。

周囲の水を刃に変え自由に操る力と、水が在れば有る程鋭さを増し山をも割る力を持つ、水神の力を宿した一振りである。

パッシブ 水輝錬磨刃 流転浄水 自在水刃

専用アーツ 水霊神気 静水一刀 流水早瀬 飛散瀑布 河川大流 万霊水神割断山

STR+7600,DEX+12000,AGI+9300,AUR+14500

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 残りの神樹の宝箱に入っていたのは四つ共装備だった。


「ふにゅ、この盾と刀は明らかにダンジョンで手に入る神器よりも上物なのじゃ……」


 あれ? ダンジョン産以上の神器が手に入ったのに、チナが嬉しそうじゃないね?


「うにゅぅ、これでしゅくなくとも、わちとエルナが討伐しゅたダンジョンよりも、この迷宮化領域の方が力が強い事が分かったのじゃ」

「何か問題があるの?」

「うにゅ、超越種以上の敵が出て来るかも知れないのじゃ……」


 超越種より上の者となると神種という事に為るけど。神種は文字通り神なんだよなぁ。少なくとも神は、レイドボスクラスとあの設定資料に書かれていたけど、正直レイドの規模が分からんのよなぁ。

 だってパーティーメンバー最大十三人で、ミドルパーティーって言う謎の区分だし、そもそもレイドが、ユニオンパーティーを幾つ組んだらなるのか分からないからな。チナに聞いて見るか?


「ねえねえチナ? レイドって知ってる?」

「ふにゅ?」


 チナは、エルナを見上げて可愛く小首をかしげる。

 あ、これは知らないな。それによく考えたら、竜ってそもそも普段からをパーティー組んでるってイメージないわ。となると、チエも知らないだろうなぁ。


「うん。知らないなら良いんだよ」

「しょうなじゃ?」

「とにかく。これから先は、スペシネイトより強いのが、ゴロゴロ出て来るかも知れないって事かな?」

「うにゅ、しょうなのじゃ!」


 ふむ。如何やらチナは、ここの危険度の事を考えていた様だね。

 でもまあ。ここの危険度は、二合目のフィールドボスの時点で、既に越えてたと思うけどね!


 さて。それじゃあ装備を振り分けちゃおうか。

 まずは、霊山之燈火ネヴィヤエルフォス。

 これランプと言うよりも、吊るし燈籠とかそう言った物に見えるな。

 しかもこれ、特殊武器らしいのだ。特殊なのはランプだからだろうけど。

 う~ん。サレス鎧を変化させて、ランプを吊るせる様にするか?

 でも、効果を見る限り、桜が使った方が有効活用できそうだよな?

 敵の背後にランプを出現させてバックアタックとかね。


「桜はこれ、上手く使えそう?」

「そうですね……。上手く装備する事が出来ましたし、他の装備と同様に私の次元干渉域なら自由に使えそうですね」

「そっか。ならこれは、桜が使った方が良いね」

「りょっ、なのじゃ!」

「異存ないのです!」

「ああ、問題ないぞ」


 一応聞いて見たが、皆異存は無いらしい。

 それじゃ、次の装備だな。

 次の装備は、飛来霊刃グラディオリギュム。

 見た目は、変わった形の白い木刀に見えなくもない。

 これも桜なら上手く使えそうだが、ここは遠距離攻撃武器を持って居ないチエに持たせる可きだろう。持ち主の手元に戻って来る見たいだし尚更な。

 まあ、ちょっとデカ過ぎるかもだが。


「ちょっと大きいけど、これはチエが使って見ない?」

「Σわたしが!? 良いのですか!?」


 物静かそうな見た目に反した物凄いテンションだ。やっぱりギャップが凄いなぁ。


「う、うん。もちろんだよ」

「おお! 主様から初めて装備を下賜されたのです! 嬉しいのですぅ!」


 装備の色も白とチエにピッタリだし、チエが喜んでくれて何よりだ。

 まあ、涙を流すほど喜んでくれるとは思わなかったけどな。

 ちなみに、チエが持っている小太刀は、チエ自身の龍牙を武器として顕現した物らしい。服装はチナと同じで鱗を服装として顕現した物だ。

 つまりこれがチエの初武器装備となる。

 ん? と言う事は……、実質チエは裸に木刀とクマ帽子という、とっても破廉恥な格好になるのでは!? いかんいかん、煩悩退散! はい! 次の装備だ!


 次の装備、錬磨万霊水大盾フォリンクラルムは、鏡の様に磨き上げられた大盾だ。

 サイズ感からして、サレスが使うのがベストだろうな。

 となると。左のサブアームを、フォリンクラルムを付けられる様に太くして、魔盾ルナティックアトラクトと交換だ。

 それと、左腕に装備しているブルームシードイスカチェオンを右腕に付け替えて置こうと思う。なんせ左側に大盾を装備したんだから、流石に左腕で攻撃を受ける事はもう無いだろうからな。

 で、余ったルナティックアトラクトだが。これは桜に使って貰う事にした。

 桜なら、この魔盾をデコイとして使う事が出来るからだ。

 盾しかない場所に、敵を惹きつけられるとか便利でしかないよな。


 次の装備、錬磨万霊水神刀エグゼラフィスルは、チナの為の装備と言っても過言ではないだろう。なんせ相性が抜群だ。水が在れば有る程切れ味を増す効果は、水竜神の分霊であるチナにとってメリットしかない。

 これが小太刀であると云う事もだが。チナは問題なく扱える様だし、レギオンナイフとの二刀流も難なく扱えた。

 なので。特に反対意見も無く、満場一致でチナの装備と為った。


「エルナの双剣と同じ、お揃いの水色なのじゃ♪」


 小太刀の刀身が、エルナのセレスティアラインと同系色なのが嬉しい見たいでチナはご機嫌様子だ。尻尾も嬉しそうに揺れている。


 さて、装備の割り振りは終わったので今度は昇輝石の配分だ。

 今回は言っていた昇輝石は、極大二つ,特大三つ,大九つと、前回と比べてBP的に倍近い。

 極大昇輝石は前回同様、シエルに使う様に取って置く。

 特大昇輝石三つは、一つはチエに上げるとしてだ。残り二つは、俺のリアルアバターと桜の本体に、試しに使って見ようと思う。

 なので。サレスと桜は分身で有って分霊ではないと云う事と、昇輝石でパワーUPするには一度異世界行って本体に使う必要があると云う事。それを、チナとチエに伝え共有倉庫に入れた。

 大九つはチナとチエに一つ、仲間に為って貰う予定の地竜用に一つ。あとの昇輝石は今後どうなるか分からないし、取り合えずティアーズクロワに収納して保留だな。


「それじゃあ、チナには取り合えず。この昇輝石(大)を進呈します。パチパチ~♪」

「ふにゅ! やったのじゃ! わちパワーUPなのじゃ!」


 昇輝石(大)を受け取ったチナは、昇輝石を持ったまま小躍りしてる。かわいい。

 チナを抱きしめたくなる衝動に襲われるが、チエに昇輝石を渡すため向き直る。


「チエには、この特大昇輝石と昇輝石(大)を進呈します。パチパチ~♪」

「主様ありがとうございます! わたしこれでもっとお役に立てるのです!」


 チエは昇輝石を掲げ号泣しながら喜んでいる。ほんと見た目とのギャップ凄いな。

 そう言えばチエは、分霊じゃなくて本体なんだよな。

 昇輝石は分霊に使った方が良いし、言っといた方が良いよな。


「ねえ、チエはまだ分霊を作ってないんだよね?」

「にゅ? はい、作って無いのです! 神となってから、主様達とずっと行動してましたし、分霊を作る時間は有りませんでしたからね!」

「なら、チエ分霊を作ろうか! 昇輝石は分霊に使った方がお得らしいからね!」

「そうなのです?」

「そうだよね、チナ?」

「うにゅ! しょの通りなのじゃ!」

「分かりました! わたしもっとお役に立つために分霊を作るのです!」


 チエが神力を開放し、力を高め分霊を作る準備をする。

 エナがエルナの為にチナを作った時の様に、エルナの星輝を使う訳では無いため、少し違うやり方になる様だ。

 チエは髪の毛を一本抜き、自身の高めた神力を息と共に吹きかける。


『我が半身を持って器と成し、我が魂の分魂を持って命を吹き込み、我が力と命力を持って我が意を受けし生命を成す』


 チエの体から神力と魂の一部、それらを包み込む様に命の輝き溢れ出る。

 それらは、流れる様にチエが手に持つ、自身の一本の髪の毛に流れ込む。

 力が流れ込み髪の毛が光り出すと、チエは手に持った髪の毛を手離す。

 手を離した後も、その髪の毛に力が流れ込み、それに応じて次第に輝きが増して往く。一本の髪が、段々と大きく為りながら小さな龍に変化して行く。

 龍としての形が出来上がると、今度は人型に変わって行く。


『分霊生成』


 カッ!! チエが言霊を発すると、元髪の毛だったそれは眩しく光る。

 光が治まり目が慣れて来ると、そこには新たな美幼女が居た。


「にゅい?」


 美幼女が不思議そうに小首をかしげる。うむ、可愛い。この子がチエの分霊か。

 見た目は、チエと同じ光の加減で銀色に見える真っ白な髪でショートヘア。

 その髪に、花飾りの付いた簪を左側から挿している。目はクリクリとした大きな瞳で、チエの瞳の色と違い鮮やかな薄紅色だ。

 服装はチエと同じ着物だが、チエが白を基調とした着物に対して、黒を基調とした着物で赤と銀の刺繍が入っている。身長はチナより少し高い111㎝って所かな。


「チエ。この子がチエの分霊で良いんだよね?」

「そうなのです!」

「にゅい!」


 元気よく返事をするチエと分霊の子。かわいいけど。


「チエ。もしかして、この子喋れないのかな?」

「にゅぅ、どうもそう見たいなのです! 申し訳ないのです!」

「にゅぃ~……」


 チエと分霊の子が物凄く申し訳なさそうな顔をして頭を下げる。


「いや、別に怒ってる訳じゃ無いからね」

「そうなんですか! 良かったのです!」

「にゅいにゅい!」


 パアっと笑顔になる二人。感情の起伏激しいなぁ。


「取り合えず、その子の名前を決めた方が良いよね」


「! でしたら主様が決めてください!」

「にゅい!」


 ん、俺が決めて良いのか。なら、此処は単純にニュイで良いだろう。

 鳴き声を名前にするってよく有るし、良いよな!


「じゃあ、この子はニュイちゃんで」

「にゅいにゅい♪」


 お、如何やら気に入ってくれた見たいだな。

 なんかチナがちゃん付けだと!? 見たいな顔してたけどな。

 そう言えば、何故かニュイをちゃん付けしてたな。エルナの意思かな?

 まあ、あとは昇輝石を使うだけだな。


「にゅい!」


 昇輝石が効果を発揮すると金色の光となってニュイの中に消えて無くなる。

 特大昇輝石と昇輝石(大)を使ったニュイは、何やら誇らしげにしていた。

 チエもパワーUPした事を喜んでいたのだが。今は何だか浮かない顔だ。


「くぅ~、すみません主様! この子はこの領域での戦いについて行けないのです!」

「Σにゅい!?」


 ニュイが「えっそうなの!?」って感じの驚愕の顔して可愛い。表情豊かだなぁ。

 あと如何でも良いかも知れないが、ニュイの頬っぺたぷにぷにしてそうだなぁ~。


「そっかぁ~、ニュイちゃんはついて行けないのかぁ。どうしようかな?」

「にゅい~?」


 ニュイが首を傾げ、困ったなぁと云う顔しながら腕を組んで、エルナと同じポーズを取る。うむ、かわいい。


「ふみゅ。しょれなら、わちの神域で修業ちてれば良いのじゃ!」

「おお! 姉様それは助かるのです! 主様も良いですか!?」

「うん。ニュイちゃんが良いなら」

「にゅいにゅい♪」


 ふむ。ニュイは「がんばる!」と云った感じで、神域での修業はOKの様だ。

 なので早速『星浄星域結界』を展開し、安地を作ってからチナが神域にニュイを送った。まあ、昇輝石を使う時はニュイを呼び出すんだけどな!

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