126 集落に潜む灰呪教徒を討伐せよ!
バラ撒かれた数珠から、死樹呪兵と言うエネミーが現れた所為で、RWライダーが敵に囲まれるてしまう。これで範囲攻撃が迂闊に使えなくなった。
パーティメンバー全員に、直ぐ様『
『マルチレイヤ―アタック!』
RWライダーを囲んで居た死樹呪兵達に、樹槍と剣とナイフが同時に何本も突き刺さる。桜の次元戦闘術スキルのアーツによる攻撃だ。
何か、一つずつしかない筈の装備が、めちゃくちゃ増えてるんだけど?
アーツの効果で複製でもされたのかねぇ?
何にせよ。乱戦でも安全に使える範囲攻撃はかなり有り難いな。
『凍砕衝破!』
桜の攻撃で動きが止まった死樹呪兵達に、サレスが突撃しながら冷気を纏った金棒を振り回す。バッキャン! サレスの金棒を喰らった死樹呪兵は、氷が砕ける様に粉砕されて行く。うちの動物さん達は、事前に低い姿勢で居たため当然被害は無く。
RWライダー達に気を取られていた信徒は、サレスの冷気を纏った金棒の一撃を受け見事に吹き飛ばされていた。
「『竜撃砲・水刃閃波』なのじゃ!」
桜とサレスの一連の動きで敵と味方が分かれた所に、チナの流れる水面を思わせる
敵の老婆を真っ二つにしたのは良いが、壁にも結構深い傷が付いたのは大丈夫だろうか? ここ地下だし、ちょっと気になるよなぁ。
「ぐげひゃっ! ごほっ! 己ら善くも儂の体を!!」
上下真っ二つにも関わらず老婆が怒声を上げると、上半身が浮かび上がり瞬く間に下半身と接合。直ぐ様老婆は濁った灰色の目を血走らせ呪法を発動する。
『憎悪に滾る我が血に肉より這い出よ怨讐!! 怒りに震える我が魂より這い出よ怨恨!!『
老婆の流した血泡立ち、蟲を思わせる蠢く肉塊が大量に這い出てこちらに群がって来る。それと同時に、老婆の影が生物が蠢き這う様にパーティの面々に伸びて来て、『
それを見て、俺は咄嗟に『星浄煌炎』で影と肉蟲を焼き払う。
ギュワアアアアアアアアァァァァァァアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!
虹色の炎に焼かれ、影と肉塊蟲達が悍ましい叫び声を上げる。
うへぇ~、めっちゃキモいなこれ。
「この神聖な儀式場荒らす異教徒共め! 善くもやってくれたな! 許さんぞ!!」
「ギドュニ様に手傷を負わせるとは許し難い!!」
「貴様ら、ただでは済まさんぞ!!」
老婆の攻撃を捌いている間に、サレスに吹き飛ばされチナのブレスを受けなかった信徒三人が、何時の間にか戦闘に復帰して来た。
それに、老婆の呪法は効果を発揮し続けている様で、未だに影が走り肉塊蟲が沸き続けている。呪法の発動を止める為、『星浄煌炎』の虹色の炎を『白炎星弾』に込め、バージョンアップして老婆に放つ!
『虹炎星弾!』
ヒィ――ン! バァ――ン!! 虹色の輝きを得た小さな太陽様な光弾が、影と肉塊蟲を焼き払う様に老婆ギドュニの足元に炸裂する!
「ひぃぎゃああああああっ!!」
「ギドュニ様! ぐひゃっ!?」
虹色の炎に焼かれ、ギドュニが悲鳴を上げ転げ回る。それに気を取られた信徒の一人が、兜を被ったウサギに首を撥ねられる。ギドュニの呪法の触媒と、影を焼いた事が功を奏したのか、パーティーを襲っていた影は消え肉塊蟲の追加も無くなった。
ついでに言うと、信徒の死体から怪しげな物は発生しなかったので、家屋の一階に昏倒させ置いてきた信徒は、もう爆破して置く事にした。
もちろん、爆破の規模最小限。殆ど星輝還元させて消滅させる感じにするけどな。
あ、でも経験値勿体なかったかな?
ボン! 直ぐ後ろから小さな爆発音が響く。
おおぅ! ビックリした!?
後ろを振り向くと、昏倒させ一階に置いて来た信徒が、星輝の光を残して消えて逝く所だった。あの信徒もう起きてたのか、危うく奇襲される所だったな!
何はともあれ、ナイス爆破だったって事かな? ラッキー!
「おのれ! またしても儂の体をぉ!! 小娘ぇぇ――!! 貴様の体を儂と同じ様に焼いてくれるわぁ!!」
起き上がったギドュニが恨み言を叫びながら、手に持つ水晶をふわっと浮かび上がらせる。水晶が明滅すると、周囲の光を飲み込む様に水晶に光が収束して往く。
それを見た俺は、『オーロラシールド』,『オーロラリフレクションベール』を合わせて、『オーロラリフレクションシールド』発動する!
『
カッ!! 水晶から真っ白な光が、一直線にエルナに向かって放たれる!
「『オーロラリフレクションシールド』で跳ね返す!!」
シュパァ――ン! 光を反射する鏡の如く、『オーロラリフレクションシールド』が光を反射して敵に跳ね返す!
反射された光はあっと言う間に、老婆と残り二人の信徒を焼き灰に変える。
良し、反射成功! しっかし、随分と凶悪な攻撃だなぁ。ほぼ即死じゃね?
『許さん、許さんぞ! 小娘えぇぇ――!! 折角、儂が用意した体を台無しにしおってぇー!!』
おおぅ!? ギドュニの姿が見えず声だけ聞こえぞ?
アナザースキルが霊的な物の気配を感じたので、星覚に依存した形で視覚を補強して、気配の感じる所を見る。星覚の力で霊体と為った老婆の姿を捉える事が出来た。
なるほどね。道理でギドュニの体が不自然に元に戻る訳だ。肉体は、只の入れ物だった事だな。
『御高き呪界統べし
魔法陣の中心で燃える炎が灰色に変わり、ギドュニの霊体へ蛇の様に絡みつき燃え上がらせる。
『ぎぃやああああああああああああああああああああ!!!!』
今の呪法相当な苦痛が伴うのかギドュニの絶叫が頭に響く。ギドュニの霊体が燃やし尽くされ、翼を持った巨大な灰色の炎蛇が姿を現す!
うわ!? 苦痛覚悟でパワーアップとか良くやるよ。やっぱり狂信者は怖いなぁ。
¶特殊イベントBOSS 天灰炎蛇ギドュニ・アルコラサビエドが出現しました。
『この姿に成ったからには、貴様ら【色無くただ灰となる呪鬼】様の支配する呪界の灰の一部にしてくれる!!』
ボスに成っても霊体のままなのか、灰色に燃える巨体は地下室の壁を突き抜け、天井,壁,床に蠢く蛇の巨体を浮かび上がらせる。額には、ギドュニが手に持っていた水晶が埋め込まれ、不気味に輝き明らかに力を増している。
『それにしても、使えん僧兵共め! 何時まで寝ておる! 起きよ!!』
『灰灰の化身にして大いなる鬼神よ! 彷徨う汝が信奉者に新たなる灰灰の器を与えよ!『転灰魂鬼兵』!!』
詠唱と共に炎蛇の額の水晶が輝くと。灰に為った信徒を含め、信徒達がゆらりと人魂を漂わせ起き上がる。と言っても、起き上がったのは五人で、『イグジスタンス・バーストボム』で爆破した信徒は復活しなかった様だがな。
『むう? 何故一人戻って来ないだ? まあ良い。小娘! 今度こそ貴様を焼き殺し、呪界に灰を撒いてくれる!!』
取り巻き付きのボス戦かぁ。
しかも、地下室で壁の中に潜めるボスとか、普通に厄介だぞ?
それに呪界に灰を撒かれるとか、コスモプレイヤーでも変な呪いが付きそうで何か嫌だなぁ。深夜の連戦だし、直ぐに終わらせたい所だよな。
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