118 『真夜中の夜襲』 眷属視点
ウサギ達視点 ※ウサギとオオカミの鳴き声は割愛します。
少し前、簡易セーフティハウス安らぎの別荘の中で、ウサギ達はエルナが召喚したのとは別口で呼び出された。呼び出したのはウサギ達のもう一人の主、結城 静流の化身である召喚騎士サレスだった。
「「「「「「召喚に応じ推参しました!」」」」」」
鎧を着ておらず、宇宙の深淵の闇を体現したかの様な体を晒したサレスが、ウサギ達の様子をしげしげと眺めている。
「ん? そう言えば、サレス殿は既にもふられ隊が呼び出されているのに、なんで我々を呼び出したんだ?」
「サレス殿も、我々の魅惑のもっふもふボディを、もふりたかっただけでわ?」
『お前達は、もしかして進化したのか?』
「進化?」
一体何の事だろう? 我々はまだ進化していないと思うのだが?
すると普段、ウサギ達の間でも見た事無い、魔女の帽子を被った生贄38号が、リーダーである生贄1号の額をぺしぺし叩く。
「リーダーの額のそれを見て、サレス殿は私達が進化したと思ったんじゃないの?」
「だからと言って叩くな! それに、そう言う38号も、お伽話の魔女が被る様な帽子を被っているじゃないか!」
「あら、ほんとね」
生贄1号の額には、所謂鉢金と呼ばれる物が付いていた。そして、1号が言った通り38号の頭には、魔女の帽子が乗っており、優しいげな雰囲気を持つ11号が神官の帽子を被り、105号はフルフェイスの鎧兜を被り、嘗てはエネム草原の暗殺者の異名を持っていた我々の中でも、隠密に優れた40号は頭にスカーフを巻いていた。
特に変わっていたのが、78号が着けていた片掛のゴーグルの様な物だ。
「なるほどな。我々の適性に合わせた装備が追加されたのか」
「進化じゃないけど、パワーUPしたのは間違いないわね」
1号と38号がそう結論を出すと。何処からともなく良い匂いが漂って来て、ウサギ達に強烈な眠気を齎す。
「くっ!? 一体なんだ?」
「ぐう~……Zzz……」
「ええ、今ので105号が寝てしまったよ!?」
「私に任せてください『ウェイク』!」
11号が魔法を発動すると、105号をパッと緑色の光りが照らし、その魔法が効いたのか105号は目を覚ます。
「……済まない。迷惑をかけた」
「いえいえ、それにまだ終わっていません。『ウェイクエナジーアップ』!」
部屋全体に緑色の光のベールが出現し、彼等が感じていた強烈な眠気は消え、それどころか活力が漲りキビキビ動けそうである。
「これで大丈夫でしょう」
「11号助かる」
しかし、今の眠気は何なのだろうか?
もしかしたら、敵の攻撃なのでは?
『メテオウルブズ』
唐突にサレスが、新たにエルナの眷属に加わったオオカミ達を召喚した事で、思考が止まる。
「わぉん? サレス殿は彼等も呼んだのか、本当に何が目的なんだろうか?」
呼び出されたオオカミ達のリーダーが、疑問を抱きながらも、先に呼び出されていたウサギ達に挨拶をする。
「うぉふっ諸先輩方、若輩者ですがよろしくお願いします」
「ああ、よろしく! 我々は同じエルナ様の眷属同士だ。そう畏まらずに、仲良くしよう!」
挨拶をして居るとサレス殿がじっとオオカミ達を見つめている。
じっと見つめられて、ちょっとオオカミ達は困惑気味だ。
徐にサレスは手をワキワキさせ、オオカミ達をわしゃわしゃと撫で回す。
何だ、もふりたかっただけか……。
「やはりサレス殿も、もふもふしたかっただけなのでは?」
「いや、そうでも無いらしい……」
『さて、お前達。ウサギ達はオオカミ達にRIDE ON! だ』
サレス殿は、彼らにペアに為るよう指示を出したのだ。
更に自身も鎧を着込み、玄関ドアに向かって行く様子を見て、彼等はサレスが夜狩りに行く心算だと云う事に、漸く気が付く。
「そうか、戦闘任務か! これは腕が鳴るぞ!」
「おん! 初呼び出しで戦闘任務ですか! 聞いていた話とは違う様ですが、我々も頑張ります!」
急いでサレスの後を追うと、既に玄関ドアが開いており、外には邪悪な気配を漂わせた男達の姿が見えていた。
内一人は既に倒れており、既に戦闘始まっていると彼らは悟る。
その証拠に、サレスは直ぐに追撃を仕掛け、その手から青い光の衝撃を放ち、その光を追う様に雷を纏い飛ぶ様に駆ける。
『ラビットウルフライダーズ、GO!!』
「我々に突撃の合図が出た! 行くぞ!!」
「おう!」×11
彼等が外に出ると、サレスは速やかにドアを閉じ、エルナ達に危害がを呼ばない様にする。サレスと敵が無にか話しているが、既に戦闘開始の合図は出ている。
彼等は速やかに攻撃行動に移った。
「サレス殿が敵と話し注意を引いているぞ。サレス殿は、我々の得意分野不意打ちがお望みの様だ。喰らわせてやるぞ!!」
「了解!」×11
彼等近くに倒れている者と、サレスに注意を引き付けられている無傷の者二人を標的に定め、敵一人に対し2ペアであたる。
「奴ら、サレス殿に挑発されて隙だらけだな」
「ええ、ですが魔法を発動されるのは厄介ですよ」
「発動する瞬間に、一撃加えるのが一番効くでしょうね」
敵の男達が魔法を発動させようと、力ある言葉を口にする絶妙なタイミングで、それぞれが敵に一撃喰らわせる。
情けない声を上げ苦しむ敵の様子を見たサレス殿が、自分達が一撃与えた相手を任せてくれた。
「サレス殿が敵を任せてくれた。期待に応えねばな!」
「うおん! 初陣で成果を上げるチャンスだ! 気合を入れろ!」
「ええ、もちろんですよ」
「がう、初狩りの成果ぜひ欲しいですね」
「お先に失礼『アースランス』!」
「うぉんっ!? 抜け駆け狡い!」
38号の『アースランス』が敵を襲う。それを皮切りに、他のペアも後れを取るまいと、人種に有効な身体部位を狙って攻撃をする。
戦闘は優位に運んでいた。特に苦戦すると事もなく、この敵は刈り取れそうだ。
そう思っていた所で、灰色の燐光が立ち昇り、赤い稲妻が駆け爆発が起こる。
バチィィィッッッ!!! ドゴオオオオオオウゥッッッ!!!
「くあぁっ!? クソっ! 敵が弱いからと油断していた!」
「がうっ……! 敵の新手か!」
「大丈夫、直ぐに私が回復します!『エリアヒール』!」
柔らかな緑色の光が広がり、速やかに彼らの傷を癒して行く。
するとサレスが、敵とやり取りをしながらも何かに気付き、『コスモバリアシールド』をウサギ達とオオカミ達もカバーする様に展開する。
ゴゴオオオオオォォォォオオオオオオウボオアアアアアアアアアッッッ!!!!!
突如として現れた四つの門から、悍まし気配を持った黒い炎が噴き出し荒れ狂う。
「サレス殿が守ってくれたか。有難い」
「沢山の呪詛と亡者の気配を感じます。放って置くとこの攻撃は続きそうですね」
「なら、この炎の出所を潰さないと駄目ね!『グラビティプレッシャー』!!」
ズンッッ!!! 38号の魔法が、炎を吐きだす門を容易く破壊し、近くに居た敵も巻き込んだ様だ。如何やら思ったよりも脆かった様で良かったと安堵する。
だが、安堵した後直ぐに気付く。敵の姿が見えないのだ。
「おや? 隠形ですか。我々相手に隠形とは笑止千万ですよ!」
「ええ、その通りだわ! 私には見えているわよ!『イリスフェザーダンス』!」
78号が、エルナから借りた『イリスフェザーダンス』は、闇に紛れて姿を隠していた敵を見事に貫き、その光が失われるまで何度も襲う。
無様な悲鳴を上げて姿を現した人種の敵に対して、サレス殿が自らの手に持つ片刃大剣のを巨大化させ、アーツを持ってして纏めて薙ぎ払う!
ズド――――――――――ンッ!! 人種の男達が纏めて切り払われ、木っ端の様に吹き飛ぶ。直前に、しゃがむ様に指示されていなかったら、我々も木の葉仲間入りしていただろう。
味方のピンチに触発されたのか、こちらの感知外から攻撃してきた敵が、呪法を駆使して、強力な力を持つ召喚体を呼び出して来たのだ。
その召喚体である炎骸鬼カコルクスと言う黒い鬼は、召喚完了まで時間が掛かる物の様であった。ならば、召喚阻止できるかと考えるが。この状況で召喚者を見付けて、召喚を阻止するのは如何考えても厳しい。
「何だこれは!? パーティチャット? サレス殿と意思疎通が図れるのか!?」
そう考えていた矢先、サレス殿がパーティーチャットを使ったのだ。
我らは、今までパーティチャットと言う物が有る事すら知らなかったが、一定以上の知性得た状態でサレスが連絡に使った事で、パーティチャットを使用出来る様に為ったのだ。
「ははっ! これは良いですね! ええ、早速任務を受けたので、私達は行きますよ!」
「40号達が、任務達成したら私の出番ね!」
早速パーティチャットで40号達は、未だ姿を見せていない敵の探索を命じられ、78号はその敵への狙撃をを命じられた。
40号達が任務達成するまでの間は、サレス殿の最初の指示通り指定された敵を倒す事に専念する。
ヴヴァシャアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!
「おおっ? 何の音だ!?」
「……サレス殿が敵を仕留めた」
その音は、サレスがサードアームを使って、『コスモシェイヴスナッチ』を発動した事で発せられた物だった。
「あの光は、敵がCEと言うのモノに変換されたから残るのか……、跡形も残らないとはな」
「我らの主が持つ異次元の力……、恐ろしいわね」
「わふ、しかしこんな力を持った御方が主で頼もしいではないか!」
「ははっ! 違いない! さあ、俺達は俺達の任務を遂行するぞ!」
「了解!」×9
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます