119 護法合呪 炎骸鬼カコルクス戦
サレス視点
自在大剣と金棒を地面に突き立て、、巨骸甲冑を『コスモストレージ』から取り出す。コスモマテリアルでコーティングしても、尚黒いボディが薄っすらと青く輝く。
「巨骸甲冑ツァディドギガセンチビート! アーマーオン!」
カシュンッ!! と巨骸甲冑の胸部パーツが開き俺を飲み込む。巨骸甲冑のパッシブ効果『外力甲冑』へ、コスモアバターが接続されるとブオン!! スイッチが入った様な音が鳴り視界が開ける。巨骸甲冑の全身に神経が通い、キュイ――ンッ!! と言う起動音と共に、自身の体の如く自由自在に動かせる様に成る。
そして、改めて自在大剣と金棒を手に持ち、これで準備万端だ。
そう言えばこの巨骸甲冑、ムカデの節の様なデザインにはちゃんと意味があった様で、節を思わせるラインから隠し脚、もしくは隠し鋏と云った物が出る様で、武器や盾をマウント出来ると判明した。この甲冑用に、巨人専用装備でも装備してマウントすれば、更なるパワーUPが期待出来そうなんだよな。
既に、黒光りする黒灰の門から全身の殆ど分かる位、炎骸鬼カコルクスは姿を現していた。炎骸鬼は、真っ黒な木炭の様な体の内側から、赤い光と共に猛烈な熱を放ち今にも燃え上がりそうだ。顔も真っ黒で良く分からないが、鬼と付くだけあって頭部にはちゃんと二本の角が生えている。大きさは8mは有りそうだ。
こちらより明らかにデカいが、まあ何とかなるだろう。
生贄1号:サレス殿、一番ダメージを与えていた信徒を仕留めたのだが。
サレス殿が仕留めた時と違って、信徒の体から黒い煙が噴き出てきたぞ。
恐らく、何かの仕掛けかと思われるので注意されたし。
なに、仕掛けだと!? もしかして、炎骸鬼を強化したりする物だろうか?
まあ例えそうでなくても、面倒くさい事には変わらないだろうけどな。
ゴウッッ!!! 門から完全に出て来た炎骸鬼は、全身から炎が噴き出し大きな火柱を上げる。
¶特殊イベントBOSS 護法合呪 炎骸鬼カコルクスが出現しました。
結界内がBFになります。お気を付けください。
ん!? 結界が張られていたのか! 道理で集落の人達が誰も来ない訳だ。
あんなにデカい音を出しているのに、誰も来ないなんて可笑しいもんな。
『カカカッ!カカカッ! カッカッカ――ッ!!』
炎骸鬼は自身が作り出した火柱の中から、歯を打ち鳴らす様な雄たけびを上げると、腕を一振りする。
ゴッ!!ゴッ!!ゴッ!! ボバァ――ン!!! 炎骸鬼が一振りした腕から、無数の火球が放たれサレスを襲う。
俺は『コスモシールド』で、巨骸甲冑用の腕に装備可能なコスモマテリアルの盾を作り出し、『オーラシールド』で強化。更に、『シールドパリィ』を使い火球を受け流しながら、『コスモバーニア』で炎骸鬼に接近、そのまま一太刀入れる。
『マスグラビティブレード!!』
『カカッ!?』
重力場を纏った大質量の刃が、炎骸鬼の纏う炎を押しのけ、胴に叩き付けられる!
ゴガキィンッ!!! 硬く重い物と金属が打つかった様な音が響く。俺の放った一撃は、炎骸鬼が咄嗟に左腕を差し込み、ギリギリと音を立て受け止められていた。
炎骸鬼は、質量を増大させた自在大剣の重心を横にズラして押しのける。
ゴウッッッ!!!! 直ぐに炎骸鬼は全身の炎を滾らせ俺に殴り掛かって来る。
俺はそれに対して、パッシブ『外力甲冑』を通して、ブルームシードイスカチェオンのパッシブ効果『カウンター・スチームシードバースト』を、『コスモシールド』で作った盾に適応させ、炎骸鬼の殴打に合わせる。
『カカッ!!『バーンブレイズバラージ!!』』
炎骸鬼の炎がより激しく燃え上がり、爆炎弾を撒き散らしながら怒涛の勢いで、爆炎を纏った拳の連打を繰り出す!
俺は盾を構え、カウンターで炎骸鬼の攻撃を相殺しながら、『チャージダッシュバーニア』と『シールドバッシュ』,『ワンハンドフルスイング』,『シールドパリィ』,『フリアティックエクスプロージョン』を同時発動する!
『シールドチャージ・エクスプロージョンバッシュ!!!』
瞬時に青白い光と共に加速し、炎骸鬼の炎弾と炎の拳の弾幕を盾で弾いて突き抜け、がら空きになった胴に突進の全エネルギーを乗せ、盾事叩き付ける!!
『カカッ!?!』
カッ!! ドゴォ――――――――――ン!!!! ホワイトアウト、インパクトの瞬間大爆発が起こり、炎骸鬼を吹き飛ばす!!
更にもう一度『チャージダッシュバーニア』を発動し、炎骸鬼に追撃を仕掛ける!
青白いスパークを走らせ、吹き飛び落ちて来る炎骸鬼にタックルを打ち噛ます!!
『カガァッッ!!!』
ドガンッ!! バキッ!! 追撃は成功したが、炎骸鬼のあまりの硬さに盾が悲鳴を上げる。直ぐに『コスモシールド』を掛け直し盾を修復する。
炎骸鬼が起き上がる前に、ガツンガツン! と自在大剣と金棒の連撃を叩き込む!
『カガッ!? カガガッッ!?! ガガガガァッッ!!!!』
マウントを取った状態で繰り出す大剣と金棒の連撃が、思いの外効いている様で炎骸鬼は起き上がれない。良し、ならばこのまま起き上がれない様に攻撃有るのみ!
『怪撃 岩砕山壊!!!』
キイィィィ――――――――――――ン!!! 金棒の専用アーツを発動すると、金棒が黄色のオーラを立ち昇らせ甲高い音を発し、それを炎骸鬼の顔面に思いっきり叩き付ける!
ドカァッッッ!!!! バキメリビシィィィイッッッ!!!! 金棒が叩き付けると炎骸鬼の纏う炎が吹き飛び、炎で隠れ見えていなかった真っ黒な頭部と地面に亀裂が入る。
このまま頭をかち割ってやろうと、炎骸鬼に『マスグラビティインパクト』を喰らわせ様としたら。
『『『『黒式合術 呪獄死灰炎門!!!!』』』』
本日三度目かつ、先程と同じ術による敵信徒の支援攻撃だ。先程同様、俺と炎骸鬼を囲う様に四つ地獄門現れ、門の向こうで黒い炎が黒灰を上げながら燃え上がっている。
俺は『
『
さっきの攻撃で、この術の効果範囲は分かっていたので、囲いの外に別次元を介し瞬間移動して、術の効果範囲から脱したのだ。
呪詛に塗れた黒い炎が、黒灰を上げながら亡者の顔を為し呻き声を上げ、黒炎の竜巻を形成する。所謂火災旋風だ。
生贄40号:すみません、サレス殿。ええ、私が新手の敵を発見出来て無い所為で、
敵の支援攻撃を許してしまって……。ええ、ですが今の術の発動で、敵
の居場所が特定できましたから、次の支援攻撃はさせませんよ!
78号さん、情報を共有しますよ。
生贄78号:ふふっ、分かったわ。敵の居場所が分かったのなら、もう幾ら隠形で隠
れていても、私の狙撃から逃れられる術は出来ないわ。任せなさい!
今ので、隠れている信徒達の居場所が分かったらしいし、次の敵の支援攻撃は防げそうだ。
ゴウッシュウゥゥゥ――――――――ッッッ!!!! 黒炎の竜巻が、黒灰と共に何かに吸われる様に、一気に消失して往く。あ、これ炎骸鬼が吸ってるんだろ。
『カーカッカッカッ!!!』
予想通りの炎骸鬼が黒炎を吸っていて、俺が与えて居たダメージはスッカリ回復していた。おまけに、炎骸鬼が全身に纏っていた炎の色が灰色になり、如何やらパワーUPまでした様だ。うん、面倒くさい。
そして、今更ながらに気付いたのだが、炎骸鬼何て言うんだから水,氷系攻撃が効きそうだし、それで攻撃すれば良かったと気が付いた。
あれだよ。ついつい敵が程よくデカいから、こっちもデカくなって殴り合いだ! 見たいなテンションになってたわ。いかんね。と言う訳で。
『コスモフリーズクラッシュ!!』
俺は青く凍て付く波動を放射すると、炎を纏う炎骸鬼は瞬時に凍結し、その真っ黒で硬質な身体を表面だけとは言え破砕する。
『ガガッ!? ガガガアァァッ!?!』
再び炎が消えた姿は、最初に見た物とは違って真っ黒な骸骨の姿に成っていた。
あの呪詛塗れの亡者の炎を吸収した事で、姿が変わっていた様だ。
俺は追撃を加える為に凍気を高め、『コスモフリーズ』を巨骸甲冑の全身へと行き渡らせる。
『コスモコメット・フリーズバレット!!』
ドゴオオォォ――――――ンッ!!! 青く輝く氷隕石が、『コスモフリーズクラッシュ』で動きが止まっている炎骸鬼を直撃し、そのまま押し潰して辺り一面纏めて凍て付かせる。
『ガガアアァッ!!!』
氷隕石の下敷きになった炎骸鬼は、猛烈な冷気に晒されながらも、氷隕石を溶かして抜け出そうと、高熱を発し燃え上がる。
放って置いたら、直ぐ氷隕石が溶かされてしまいそうだ。
おっ! そう言えば、炎骸鬼がピンチっぽいのに支援攻撃が無い。
これは、スカーフウサギと狙撃ウサギが、上手くやっていると云う事か。
生贄1号:サレス殿。残りの敵信徒二人をそろそろ始末出来そうなのですが。
このまま我々が止めを刺しますか?
最初から姿を見せていた奴らの残りが、如何やらもうすぐ落ちるらしい。
サレス:ああ、最初から姿を見せていた奴らか。
お前達が倒すと確か怪しいエフェクトが出るんだよな?
生贄1号:そうです。
怪しい物は、潰して置くに越した事は無い。
それに、どう考えても強化か新たなエネミーの出現フラグにしか思えない。
何より今なら、炎骸鬼が氷隕石の下から抜け出すまで時間の余裕が有る。
サレス:分かった。合図を出すから、そうしたら俺の方に放り投げてくれ。
止めは俺が刺す。
生贄1号:了解した!
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