113 エリアBOSS 贄求める灰群狼 レギオングレイ戦 後
『ディメンションエクスターミネイト』を耐え、巨狼と為った狼達はその巨体を活かして、溶岩プールを恐れずに飛び込んで来る。
ジャボンッ!! ジュワアアアアァァァァッッッ!!!
粘り気のある飛び込み音と肉が焼ける音を立て、熔岩プールを進み『ディメンションウォール』に牙を立てる!
ギャリィッ!! と不快な音を立て、巨狼の顎が『ディメンションウォール』をガリガリと削る。
増殖する巨狼は、次々と熔岩プールに突っ込んで来る。
なんかこう言うの、どっかのゲームで見た事あるよな。
とにかく、このままだと流石に不味い。
チナは、『水焔弾』と『ボルカニック・ラーヴァバイト』を繰り出して応戦。桜も『ディメンションスクラッチ』と、次元戦闘術のスキルを駆使して巨狼を迎撃する。
俺は『ラーヴァスポット』を活かして、『ラーヴァフロー』,『ラーヴァスプラッシュ』で巨狼達を沈めて行く。
サレスは、増えすぎた巨狼の一掃と、ボス本体にダメージを与えるため、ヴォリュマステラセンチビートの必殺アーツを繰り出す。
『ワインドセンチビート・テラトランプル!!!!』
¶異次元召喚騎士サレスが、広範囲蹂躙攻撃『ワインドセンチビート・テラトランプル』を発動しました。
大変危険ですので、退避をお勧めします。
おお? アナウンスがこちらの設定を汲みとってくれたぞ!
アナウンスで、コスモアバターばれは流石に無いって感じだから助かるな。
まあ、このアナウンス聞いてるのって、俺以外だとチナだけだろうけどな!
そんな事を考えている内に、アナウンスで大変危険と言われていた、必殺アーツがその暴威を振るう。
ドゴンッ!!! ガゴンッ!!! バギャドゴギャギャギャッ!!!
ガリバリゴリグリギャリグリィバギャァアアグシャアアアアアンッッッ!!!!!
その様はまさに蹂躙。ヴォリュマステラセンチビートの、装備テキストに書かれていた15mを遥かに超え巨大化し、その剣身はムカデが曲がりくねる様に蠢きながら、その身から発せられる重力の刃で、周囲の木々諸共巨狼達を蹂躙し押し潰す!!
ギャァウン!! ガァアアアッ!! キャィィン!! と巨狼達の悲鳴が上がる。
それは、暫く時間が経っても続き、優に100mを超えるサイズと為った剣身は、片刃の大剣と言うよりも巨大なムカデの様に見え、今も増える巨狼を重力の刃で切り裂き押し潰して往く。
サレスは、勝手に暴れ回る大剣を抑えつつ、巨狼がいる方に向き蹂躙を続ける。
うん。これ、味方識別できないだろうし、確かに大変危険なアーツだわ。
「ずいぶんと凶悪なアーツなのじゃ。めいきゅうやダンジョン以外では、危なくてあんまり使い道なさそうなのじゃ」
チナが「やれやれなのじゃ」と、凶悪アーツを見て感想を漏らす。
『ワインドセンチビート・テラトランプル』の効果が終わり、潰された巨狼達は木々共々溶岩に沈んで行く。沈み往く巨狼達の中から、一匹だけ熔岩から飛び出す。
アオオオォォォ――――――――――――ォォォンッッッ!!!!!
その一匹が遠吠えを上げると、熔岩の光が有るとは言え、夜の闇の中影の蠢きが伝わり、空気がゾワリとする。
サッと幾つもの影がその狼の周りに現れ、影の中ら灰色の闇が這い出て来る。
灰色の影は皆狼の姿をしており、最後に残った狼に群がり変貌して往く。
その狼は、ただ大きく為るのではなく。狼の形をした無数の口と目を持つ、一匹の化け物としての姿。灰色の群狼としての姿を現す。
¶エリアBOSS 贄求める灰群狼 レギオングレイが真の姿を現しました。
修行者達の集落を開放し中に入るには、エリアBOSS 贄求める灰群狼 レギオングレイの討伐は必須です。頑張ってください。
なるほどね。こいつを倒さないと、集落に行っても中に入れて貰えないのか。
今まで、BF侵入しましたのアナウンスが無かったのは、先に進めば集落に逃げ込めると、そう錯覚させる罠みたいな物だったのかな?
森の中であれだけの大群が、湧き続けると為れば逃げ出したくもなるし、前に活路を見出すと、絶望する仕様だったと言う訳だ。正解は引き返す事何だろうな。
まあ、何方にせよ。俺達には関係なかったけどな!
体高20mを超える巨体に為ったレギオングレイは、体の表面に口や目だけで無く夥しい数の狼の姿が浮かび上がり、中々気持ち悪い。
『レギオンスタンピード』
そう聞こえると、レギオングレイから夥しい数の灰色の狼の影が溢れ出し、一斉に『ディメンションウォール』に向かって突撃して来る!
『ディメンションウォール』が破られると察知したので、領域の干渉を受けない程度に上昇して空に逃げる。予想通り、『ディメンションウォール』は灰色の狼の影にあっさり食い破られる。
『ディメンションウォール』を破った、灰色の狼の影はそのまま残るのかと思ったが、溶岩地帯を駆け抜けるとスッと消えた。如何やら、もう無限増殖はしない様だ。
サレスは上空で巨骸甲冑,巨骸機構甲冑と装備し、そのままレギオングレイに向かって落下する。二つの巨骸甲冑の中からでも、装備アーツの使用は可能であるため、【蒸気噴火ブルームシードイスカチェオン】の必殺アーツを発動する!
『フリアティックイラプション!!!』
¶異次元召喚騎士サレスが、フィールド攻撃『フリアティックイラプション』を発動しました。
巨骸機構甲冑の内部に、爆発的な蒸気圧が発生その力を限界まで高め、落下地点にいるレギオングレイに向かって解き放つ!!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!
引き起こされたのは、もちろん只の水蒸気爆発では無く水蒸気噴火だ。故にこの爆発は、大量の
ガガガガガガアアアアアアアアアァァァァァアアアアアアアッッッッ!!!!
幾つもの口から怒りの咆哮を上げ、レギオングレイが全身を悍ましく脈動させる。
おお!? サレス君なんかめっちゃ張り切ってません?
やっぱロボは、テンション上がるからかな?
サレスは、巨骸機構甲冑の専用アーツ、『ジュエルフラッシュバリアウォール』を展開し、落下の勢いそのまま『コスモバーニア』で加速して、レギオングレイを押し潰す様に、スカイダイビングタックルを打ち噛ます!!
ドゴオオォォォ――――――――オオンッ!!! サレスが落下して、レギオングレイと激しく衝突した音が、周囲に響く。
次いで、ドゴシャッ!! っと肉が潰れる生々しい音が響いて来る。
辺りに、灰色の血と肉片の様な物が広がり、レギオングレイを倒したかに見えるが、アナウンスがまだだ。
案の定、辺りに広がった血と肉片が、泡立つ様に蠢き出し再び狼の形を模る。
レギオングレイの力が高まり、強烈なドス黒いオーラが噴出しだす。
オーラの噴出と共に、レギオングレイの体が一気に膨張する。
グガアアアアアアァァァァァァアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!
¶エリアBOSS 贄求める灰群狼 レギオングレイが必殺アーツ『サクリファイス・ハンティングレギオングレイ』を発動しました。
レギオングレイの全身から、灰色の狼の姿をした闇の群れが爆ぜる様に噴出する!
灰色の狼の闇の群れは、空も地も関係なく駆け回り、それらは実体等無くエルナ達を擦り抜け、あっと言う間に走り去って往く。
それらが通り抜け、ゾッとした感触だけが残る。
「ふにゅぅ……、今のは生命力を持って行かれたのじゃ」
「ううぅ、寒いです」
近くに居る二人の言葉を聞き、はっとゲージバーを見ると、エルナ以外の『アステルリヴァイブ』のアイコンが消えていた。『アステルリヴァイブ』の効果は半日続く筈なので、今のレギオングレイの必殺アーツに、命を一つ持って行かれたのだと悟る。直ぐに『アステルリヴァイブ』を三人に掛け直す。
エルナは、大神由来の力が昇華した、【死の黒翼】の権能が有るお陰で、大神にも効く様な強力な即死攻撃でなければ、恐らく効かないのだろう。
でも他の三人、サレスはエルナが出してるコスモアバターだけど。とにかく、そこまでの即死耐性はない。流石にアレを連発されると不味い。
サレスを操るもう一人の俺が、次の攻撃で仕留めると俺にハンドサインを送って来る。
『ヘビーテラバーンラッシュ!!!!』
【巨骸機構甲冑プレアディドテラセンチビート】の必殺アーツを発動したのだ。
巨骸機構甲冑の、デザイン上の線だと思われていた部分が稼動し、巨骸機構甲冑が一回り大きく為る様に変形する。更に、稼動した事で露出したパーツが赤く輝き、圧力を高めながら、全身の装甲を赤く染め不気味に鳴動する。
ユ〇コー〇ガ〇ダ〇の〇スト〇イモー〇かな?
『サクリファイス・ハンティング』
サレスの発動した『ヘビーテラバーンラッシュ』が、暴威を振るうより早く、レギオングレイのアーツが効果を発揮する。
大きな灰色の狼の姿をした闇が、サレスを襲い一瞬でゲージが0に成り、『アステルリヴァイブ』の効果で復活する。うへぇ、確殺かよ!
あ! でも、『アステルリヴァイブ』の復活効果で、サレスのCE回復するのか覚えて置こう。
しかし、一度死んでも巨骸機構甲冑の必殺アーツの発動は止まらない。
巨骸機構甲冑は、不気味に鳴動しながら赤い光をスパークさせる!!
良し! 巨骸機構甲冑はロボだから、発動したらロボがぶっ壊れない限り、効果を発揮するんだな!!
仕留めたと思っていたのであろうレギオングレイは、『ヘビーテラバーンラッシュ』の暴威をその身に受ける事に為る。
ドギャゴオオオオオオオオオオン!! ドンドンドンドンドンドンドンドン!!!
ドガゴガバキャゴキドゴメキッ!! ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ!!!!!
不気味に鳴動し続ける巨骸機構甲冑は、赤い光をスパークさせながら、猛烈な勢いでレギオングレイに突進。そのまま、赤い光を纏った超重量の拳による高速連打が、レギオングレイに叩き込まれ、滅多打ちだ。
更に、レギオングレイの身体を叩き潰し、バラバラに引き裂き元の形が無くなっても、赤い光をスパークさせながら連撃を繰り出す。最後に全身から赤い光を迸らせ、その全てをレギオングレイに叩き付け、赤い光のスパークの大爆発が起こる!!
¶エリアBOSS 贄求める灰群狼 レギオングレイを討伐しました。
レギオングレイの討伐により、修行者達の集落が解放されます。
討伐報酬はギフトボックスに送られます。後でご確認ください。
「にゅ、勝ったのじゃ?」
「うん。そう見たいだね」
「ふにゅぅ、なら一安心なのじゃ」
そうそう、アナウンスも流れたから一安心だね。
「それにしてもあの狼さん、凄く気持ち悪かったですよね」
「うにゅ、アレはおおかみの形をしゅてはいたが、ほんしつは怨念に塗れた魂と呪詛のかたまりなのじゃ。きもち悪くて当然なのじゃ!」
「私はあの狼から、即死攻撃を連続で受けるとは思っていませんでしたが、チナ殿が言う様な物で在ったのなら納得ですね」
桜やチナが言う通り、レギオングレイの真の姿は気持ち悪かったなぁ。
それに、即死攻撃連続で使って来て、流石にヒヤッとしたな。
もう一発喰らってたら、サレスが落ちてただろう。
それに、コスモアバターに【特異分霊法】の、『アバタースピリット・リザレクション』が効くか分からない。もし効果が無かったら、コスモアバターの復活には2時間は掛かるから、アレで決着がついて良かったよ。
ふぅ~、まあとにかく結果的には、完全にオーバーキルで大勝利だったな!
取り合えず、この森の惨状を如何にかして、それから集落に行こうか。
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