100 〈呪霊灰山 1合目〉道中自己強化のターンとLVUP鈍化の理由

¶迷宮化領域〈霧中白思の山道・奥道〉から〈呪霊灰山 1合目〉に侵入しました。


 山門を潜り抜けると早速アナウンスが流れる。

 〈呪霊灰山 1合目〉も、白い霧に包まれており、スキル頼りの探索になりそうだ。


 エーランブラム山に入って直ぐに、三羽の大きなフクロウらしきエネミーが、エルナ達に接近して来るのを、星覚のスキルが知らせる。

 前に見た、フクロウのアンデットの上位種かな?

 パーティーシステムで、皆にエネミーの接近を知らせる。アステルエルアクシアで、先制攻撃しようと思ったのだが、自分で考えていたよりも、弓のアーツが少ない事に気が付く。矢の命中なんて、『ドラグーン』頼りだし。

 と言う訳で、『アステルシャインアロー』,『イリスフェザーレイ』を合わせて、『アステルイリスフェザーアロー』なんて如何だろうか?


「『アステルイリスフェザーアロー』×3!!」


 ヒュンヒュヒュン! 星の輝きを帯びた三本の矢が、白い霧の中を虹の軌跡を描いて飛翔する。

 パァン! パンパァン! 星屑の虹色の輝きが弾ける様子が、霧の中でもよく分かる。三本とも命中した様だ。

 動く気配が無いので、如何やら一撃で倒せた見たいだ。ティアーズクロワの収納も、星覚のスキルのお陰で広範囲に行えるので、ドロップを回収する。

 ドップアイテムは、木彫りのフクロウのお面でなかなか気持ち悪い。

 呪福の面と言う素材アイテムのようだ。ギルドで買い取って貰えるだろうか?

 あと、『アステルイリスフェザーアロー』はオリジナルアーツに登録され、今更感はあるけど、弓術アーツの『ホーミングアロー』も覚えてた。


「ふみゅ。この分なら、この領域は直ぐに抜けられそうなのじゃ」

「その様ですな」


 サレスも、きちんと会話させて置かないとな。

 角ばった青い金棒を持ったサレスを見てると、よりロボ感が増したなぁと思う。

 いっその事サーコートをやめて、バーニア付きのウェポンラック見たいにするのは如何だろうか?

 ほら良く考えたら、コスモアバターには、痛覚とかそう言うの無い上に、暑さも当然感じないから、サーコートは無意味なんだよね。

 それに、マウントした剣がサーコートに引っ掛かりそうだし、バーニアは普通にやれそうだから、やっちゃうか!


「Σのじゃ!? しゃれしゅが変形したのじゃ!!」


 ハイ、改造しました。チナが驚くのは無理もない。ウェポンラックはまだ、武器をそんなに持ってないので、着けなかったが、マント代わりのバーニアを着けて見た。アビリティも、『コスモバーニア』と言う、謎の青い粒子が噴き出て、加速と飛行が可能な、優れものが出来た。元々浮いてるので、飛行は出来て当然だけどな。


「はっはっはっ、チナ殿。最近の騎士は変形するのですよ」

「ふぁ、しゅ、しゅごいのじゃ! なんだかよく分からないけど、カッコイイのじゃ!!」


 チナが目をキラキラさせてサレスを見る。チナにもロボの良さが分かるらしいな!


 特にお宝が見つかる事も無く。エネミーも瞬殺出来るため、村を出る時に貰っていたお弁当を、昼と言う事も有り休憩がてら皆で食べる事にした。お弁当は、ボリューム満点の具沢山サンドイッチで、食べ応えも味も抜群でした。スパイシーな肉厚チキンサンドに、卵のカットの大きさを三段階にしたマヨ卵サンドに、肉厚ハムレタスサンド等どれも美味しかった。

 後は桜が、「これがサンドイッチ何ですね!」と目を輝かせていたな。

 ちなみに、飲み物は共通倉庫に入れてある温泉施設産の牛乳とかだな。


 あ、サレスと桜で集めた紫色の謎の石が入ってるぞ。忘れてたわ。

 ティアーズクロワに入れて見ると呪力石と出た。

 呪と言っても、これはただの力の塊と言った感じだ。魔石の様な物かな?

 それに呪は祝は、方向性が違うだけで、同じものと言うのが定説だ。

 上手くすればこの石から、呪と祝の属性変換を覚えてられるかも。

 やって見たら、ちゃんと覚えられました。

 プレーンな呪力だったから、簡単だった見たいだな。


 桜もお弁当を食べてるし、サレスの分も有るので、サレスに食べる真似でもさせて置こうかとやって見ると。アイテムをCEに変換するか、一時的にインナースペースに収納するかの選択肢が出る。

 ええ! まさかのストレージか!? しかも、この選択肢のアイテムのCE変換も、かなりヤバそうだぞ!?

 これは、アビリティに出来そうだ。

 桜も、『ディメンションスペース』か『ディメンションBOX』を使えば、簡単に収納系のアビリティとか得られそうだし、装備も山坊主戦で見せた『ディメンションスペース』の使い方が出来るなら、フ〇ン〇ル見たいに武器を使えそうだし、盾も行けるかも?

 あ、でもよく考えて見ると、これはどっちかって言うとフ〇ン〇かな?


 食後ちょっと練習して見る事にする。サレスのアイテムのCE変換と、インナースペースへの収納については、直ぐにアビリティに出来た。『CEコンヴァージョン』と『コスモストレージ』だ。

 『コスモストレージ』について言えば、そもそもコスモ能力者は、世界にも等しい空間を作る能力を持っているのに、出来ない訳が無かったと言う感じだ。

 更に『CEコンヴァージョン』で、アイテムをCEに変換出来るので、それを攻撃に利用できる様に改造したのが『コスモシェイヴスナッチ』だ。敵をCEに強制変換して、削り取るイメージだな。うん。〇タ〇ド能力っぽい。


 桜も、『ディメンションスペース』と『ディメンションBOX』を合わせた、収納アビリティ『ディメンションストレージ』が簡単に作れた。

 で、武器の装備だけど。『コスモブレード』で作った剣を、『ディメンションスペース』で包んで見たら自在に操れる事が分かった。

 エルナがメインに使っていない装備も、同じ様に扱う事ができたので、炎樹の霊槍コンバッショントーチ,魔剣ジプセムペトロファイを、桜に装備して貰う事にした。 

 後、大量のコスモマテリアル装備をと考えたのだが、桜にコスモマテリアル装備の所有権が移ると、称号【CEプロテクト】の効果が失われ、コスモマテリアルの分解が始まってしまった。もっと上位の称号なり何か無いと無理なようで断念した。


 桜は、コンバッショントーチと、ジプセムペトロファイを、同時に操作でき、まだまだ余裕が有りそうなので、他の仲間は使わないけど、性能が良さそう武器を、桜に〇ァ〇ネ〇の如く使って貰えば、かなり強そうだ。

 そんな桜の様子を少し見てると、『アセンション』,『ディセンション』,『ディメンションテレポート』等を駆使した、シュンシュン武器が消えたり現れたりする、アニメでよく見る謎の戦闘技術を、見る間に開発していく。ちょっと意味が分からない。

 チナも思わずポカンとして、とっても可愛かった。ハイ、現実逃避ですよぉ。

 驚き過ぎて現実逃避しちまったぜ。流石は超高性能成長型AIだな。

 ちなみに後で聞くと、次元戦闘術と言うスキルを修得していたらしい。


「ふにゅ~、高次元宇宙精霊とはしゅごいものじゃのう!」

「いや、ほんと。ちょっと何をしてるのか、よく分からなかったよ」


「え、そうですか? それなら戦闘でも、十分通用しそうですね!」


 桜は、小さい身体で喜びを一杯に示し、「役に立てそうで良かったです」と健気な事を言う。いや~、桜めっちゃ良い子や。

 ちなみに、桜が装備をしても、エルナに装備ステ補正は付かなかった。

 やっぱり、自分自身であるコスモアバターだから、補正が付くのだろう。

 と言う事で、お昼休憩も終わったので登頂再開だ。


 山中を進む中で、弓を使ったアーツの充実を図った。『アステルシャワーアロー』と『イリスフェザーダンス』から、『アステルイリスシャワーダンス』を作り、『アステルシャインアロー』,『イリスフェザーレイ』,『星撃』,『星浄煌炎』,『星輝集束』,『星脈集束』から『アステルフェニックスレインボウ』が何故かできた。

 後は扱える属性が増えたので、アーツの名前そのままに、オリジナルアーツをバージョンUPしながら、戦闘を熟して来た。

 それにしても、エルナのLV全然上がらんな?


『それはそうでしょう、サレス様。現在姫様に本来の獲得経験値の1/10しか入ってませんからね』


 !? なんだと……!? えぇ? ソフィーちゃん、一体如何言う事なんだよ!? 

 経験値1/10しか入ってないって何なんだ!

 エルナには、三つ位経験値増加効果の有る称号も有った筈だよね!?


『はい、勿論です。そこから1/10になってます。そもそも、サレス様が姫様の中で目覚めた時は、獲得経験値が全て0でしたからね。それに、LVが上がったのは紅い鎖を一つ壊してからですよね?』


 ああ!? そう言えば、あの紅月の大神の紅い鎖を壊して、初めてLVが上がったんだ! ネズミの群れを全滅させたのに、LVが上がらなかったのはその所為か!

 と為ると。まだ残っている紅い鎖の力で、殆どの経験値がカットされてるのか!

 それにしても、紅い鎖は二本壊したのに、10%しか経験値貰えて無いのかよ。


『そう言う事ですね』


 でも、それは元々だよな? 最近、急にLVの上りが悪く為ったのは、何でだ?


『紅月の大神が、カット率を限りなく0%に近付ける様に、紅い鎖に力を送っているのだと思います。BALV300は、最高位種族であるエルナ様にとっても、大きな意味が有りますから、当然の妨害ですね』


 妨害は分かった。じゃあ今から紅い鎖を壊すのは出来ないのか?


『無理だと思います。黒い鎖は壊せるでしょうが、紅い鎖の数が減らなければ、あまり意味がないでしょう。紅い鎖については、現在のわたくし達の状況では、星壇せいだんにでも行かなければ、まず引きずり出せないでしょう。それに、星壇を利用するには、結局のところBALVを300にする必要が有りますからね』


 つまり現状出来るのは、BALVを300にする事だけって事か。

 Σはっ! と為ると、何か知らんけど使い忘れる、経験値増加ポーションがめっちゃ重要なのでは!?


『そうですね。経験値増加ポーションの事は、何故かわたくしも忘れてしまっていました。そして、それを疑問にも思わないのは、紅月の大神の力で間違いないでしょう。余程使って欲しくないようですね』


 はぁ~、これは確実に経験値が高そうな相手じゃないと、経験値増加ポーションを使えないな。効果時間5時間って微妙な時間だしな。


 そう言えば、先から段々霧が濃く為って来ているな。

 もしかして、フィールドボスが近いのだろうか?

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