97 結城 静流は一人二役をする事にした

 普通にログインっと。IFOの時刻では1月33日の昼前か。月の日付に、30日以降の数字が出るのこの違和感。まあ、一月が36日有るから、この表記は当然なんだけどさ。


 アレ? そう言えば1月って事は、もしかしてエーランブラム山に登るのって、冬山登山になるって事なんじゃ? このまま行っても平気なのか?

 現実が夏だし、エルナは寒さとか全然平気だから、気が付くが遅れたぞ。


¶コスモプレイヤーエルナに大量のCEが確認されました。

コスモプレイヤーエルナのCEの大量保有により、権能【コスモリンカー】を発現しました。

権能【コスモリンカー】の発現により、EXTRAが解放されました。以後、ステータスに表示されます。

ユーザー結城 静流の権能、【コスモフォース】の影響により、コスモプレイヤーエルナに、称号権能【CEプロテクト】が発現しました。


 おおっ! ログインして、即アナウンスが来たぞ。

 この【コスモリンカー】って権能のお陰で、EXTRAとやらが解放されたらしい。

 ステータス表示の項目から、EXTRAを確認するとこんな感じに為っていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

EXTRA

➤CE 1764000/1764000


権能

➤固有・宇宙星界 コスモフォース コスモジェネレーター


コスモアビリティ

➤【固有・宇宙星界】

 空間生成

 空間支配➤空間拡張 空間収縮 法則追加 法則除去 法則変更

 【コスモフォース】

 コスモブレス コスモブースト コスモリアライズ

 コスモアバター・レクススピリット➤ダイブイン ダイブアウト

 コスモブレード カウンターコスモニードル コスモシールド コスモアーマー


アナザーコスモアビリティ

➤コスモハンド コスモレイ コスモブレイズ コスモバレット コスモフリーズ

 コスモショック コスモバリア グラウンドコスモニードル 次元跳躍

 サモン コスモアポストロス

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ほうほう、これは俺のリアルアバターの能力が使えるって事か。

 これなら桜を召喚して、パーティーを組む事ができるな。

 それに、アナザースキルは、エルナも同じのが使えるから、コスモアバターも使用可能だな。

 そして、この称号権能【CEプロテクト】は、CEの自然消耗防ぎ、CEを保持する力が有るらしい。つまり、現段階ではエルナを通して、コスモアバターを使うのが正解だったって訳か。うん、納得だな。

 だって【コスモジェネレーター】の権能が無ければ、俺のコスモアバターは多分何も出来ずに消えてた筈だからな。

 ちなみに、CEがめっちゃ上がっているのは、コスモアバターの戦闘で、俺のリアルアバターのCLVが72に成ったからだ。

 それと、エルナに掛けて置いた『コスモブレス』の効果の影響が、しっかりとエルナのステータスに出ていた様で、称号に【宇宙星界王の加護】が増えていた。


 今部屋には、チナもウサギ達も居ない様だし、『コスモアバター・レクススピリット』を発動して、コスモアバターを出現させる。

 コスモアバターはログアウトした時の、コスモマテリアル製の青鎧装備をしていた。お陰で、人型のまま維持されている様だ。


 コスモマテリアルは、ログアウトした時そのままなのか。【CEプロテクト】の効果で、自然消滅が起こらないならかなり使えるぞ。エルナの使い捨て武器にも出来そうだし、これはかなり良いな!


 鎧を見るとログアウトするまでの間に、コスモマテリアルが減少していた様で、鎧が薄くなっていた。減った分のコスモマテリアルを補う様に、『コスモアーマー』を使用して補強して置く。

 CEもコスモマテリアルも、減少する兆しも無くバッチリだ。

 あっそうだ! サーコートも追加して置こう。これでより騎士らしく見えるな!

 さて、それじゃあ。スキル『自己意識・同調分割統合』を意識しながら、『ダイブイン』を発動する。


 俺の視界に、エルナとコスモアバターの姿が、同時に映し出される。スキルの効果もあって、エルナとコスモアバターに、別々の動きをさせても、混乱する事無く体を動かせる事を確認した。


『シズル様、そちらの騎士は一体何者なのですか?』


 おおっと! ソフィーちゃんが居るのを忘れてたぞ。

 ソフィーちゃんにコスモアバターの事を説明した。

 ついでに、ソフィーちゃんが他の人とコミュニケーションを取る時、誤って結城 静流と言う名前を言ってしまわない様に、ここではサレスと呼ぶようにお願いする。

 エルナ専用装備は進化と成長をするって言うし、普通に話せる様になっても可笑しくないからな。

 それに、今の内にソフィーちゃんに、俺の名前呼び方をコスモアバターと同じ、サレスと言う名前で呼んで貰って置けば、シズルの名前を言ってしまう可能性は、大分減るはずだ。個人情報の流出は怖いからなぁ。


『分かりました、シズル様。いえ、サレス様』


 それじゃあ、今度は桜を召喚しよう。『サモン コスモアポストロス』を使用すると、コスモレクスの眷属の項目が現れ、そこに【道案 桜みつあ さくら EEアバター】と有るので、選択して召喚する。


「『サモン コスモアポストロス』道案 桜みつあ さくら召喚!」


 魔法陣と共に門が出現し、小さな桜が門から出て来る。


「サレスさん、召喚ありがとうございます。あっ、今はエルナさんと呼んだ方が良いですか?」


 俺は、コスモアバターの口で桜に話しかける。


「いや、この騎士のコスモアバターに、そう言うのなら問題ない。桜は、コスモアバターの俺が呼び出した眷属だと、チナとソフィーちゃんに説明するからな」


 コスモアバターの口を通してだからか、ロールアシストシステムの影響を受けずに喋れる。


「なるほど、理解しました。私はこちらのコスモアバターの騎士、つまりサレスさんが呼び出した眷属と言う事にするんですね」


 流石桜、理解が早い。


「そっ、それでサレスは、私が召喚した騎士って事にするよ」


 今度はエルナの口を使って話す。うん、一人二役も問題なく出来そうだな。


『サレス様。ソフィーちゃんはたった今、その話聞いてるんですけど?』


 え? ソフィーちゃんは、俺の思考をほぼ読んでる見たいなもんだし、別に問題ないでしょ?


『それはそうですけど。少なくともそちらの精霊? の桜さんの事位は、説明して欲しいのですけど?』


 桜は、俺にとってのソフィーちゃん見たいな存在で、俺の眷属精霊って感じだな。

 だから文字通り、桜はサレスの眷属精霊で合ってるんだよ。

 あと、桜は高次元宇宙精霊と言う物らしいが、詳しい事は本人も俺も知らないぞ。

 それと、コスモアバターのサレスは、エルナが異世界で契約した召喚騎士って事にすれば、問題ないと思うがこれで良いかな?


『つまり桜さんは、ソフィーちゃんのライバルと言う事ですね!』


 いや、何でそうなる!

 あっでも、元々桜はナビな訳だし、現状のソフィーちゃんと同じ様な役割だったから、そう間違って無いのか? でも、IFO内の桜は普通に戦闘に参加できるし、パーティーメンバーに加えるから、やっぱりライバルって言うの違うのでは?


『それはポジションとか、気分的な事だから良いのですよ。それにしても、高次元宇宙精霊ですか……。宇宙の力を持った精霊がいるとは初耳ですね。ああ、それとチナ様への説明は、それで良いと思いますよ』


 あっそう言えば、ソフィーちゃんも神器精霊って言う精霊だったな。

 同じ精霊だし、元々の役割も近い物があるし、それでライバルなのかな?


『サレス様。ソフィーちゃんが精霊だって忘れてたんですか? それはなかなか酷いですよ!』


 ソフィーちゃんが拗ねてしまった。

 何かエルナにも、俺が悪いと言われている様な気がする。

 と言う訳でソフィーちゃん。すまん!


『むぅ、ソフィーちゃんは心が広いので許しますけど』


 えっ、ソフィーちゃんの心が広い?

 ソフィーちゃんって呼ばないと答えてくれないのに?


『そうですよ。ソフィーちゃんの心は広いんです』


 そうですか、広いんですか。そう思っていると。

 ガチャッと音を立て部屋のドアが開く。開いたドアの隙間から、ウサギ達が先に入って来て、そのチナ後からが入って来る。


「エルナお帰りなのじゃ!」

「ただいま。チナ」


 部屋に入って来ると同時にエルナに挨拶したチナは、部屋の中を見るとその可愛らしい大きな目を見開いて、一瞬フリーズする。 


「Σのじゃ!? 何者なのじゃ!?」


「チナ、紹介するね。こちらの騎士は、私が異世界で召喚契約を結んだサレス君だよ。それと、今サレス君の頭の上に乗っている小さな精霊が、サレス君の眷属精霊の桜ちゃんだね!」


「Σみゅみゅ、されすとやらはエルナが呼んだのじゃ?」

「うん。そうだよ」


 チナが匂いを嗅ぐ仕草をしする。すると何かに気が付いた見たいで。


「ふにゅ、テラの来訪者に似た匂いがしゅるのじゃ。エルナが行ってた異世界はテラなのじゃ?」


 そう言えばチナは、エルアクシアと別の世界の人達の、匂いや気配の違いが分かるんだっけな。


「一応テラとは違う所だけど、世界の力の源流は同じみたいな?」


「うにゅ~、だからエルナはテラの来訪者を気にちてるのじゃ?」


「そうだね。だからテラの来訪者達の事は気になってるね」


「うみゅ。わかったのじゃ!」


 チナはそう言うと、サレスの足元まで行き挨拶をする。


「わちの名前はチナなのじゃ。エルナと契約しゅた水竜神ブエナの分霊で、エルナの友達なのじゃ。エルナと契約ちた者同士、仲良くしゅるのじゃ!」


 チナに友達って言われて何か嬉しいな。

 そうだ、サレスの一人称どうするか?

 俺って言うのは騎士としては、口が悪い感じがして良くないかな?


「私の名前はサレス。我が王と、友誼と盟約を結んだエルナ殿に、召喚騎士として協力する事に為った者だ。よろしく頼む」


 どうよ。なかなか良いロールプレイだと思わないか?

 言ってる事だって、嘘って訳じゃないからな。問題は俺とエルナには、騎士としてのスキルが無い事なんだけど。何故か大丈夫な気がするんだよなぁ。何でだろう?


「私はサレス様に仕える、眷属精霊の桜と申します。チナさん、よろしくお願いしますね」


 桜も、俺に合わせてロールプレイしてくれる見たいだ。


「うにゅ、よろしゅくなのじゃ!」


 チナが元気良く手を上げて、改めてサレスと桜に挨拶をする。


「きゅう!」


 ウサギ達も鳴き声で、よろしくと言っている様だ。

 お互いの自己紹介も終わった所で、サレスと桜を加えパーティを組む。

 やったぜ、見かけ上は4人パーティーだ!

 まあ俺が、エルナとサレスの一人二役やってるけどな!

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