95 桜と〈霧中白思の山道〉の呪物と戦って見た
取り合えず、俺のコスモアバターと桜のEEアバターが、どれだけ戦えるのか確認したいので、村の外に出てみようと思う。俺と桜の今のアバターボディは、どちらも謎エネルギー出来ている所為か、物質のすり抜けが容易にできた為、部屋を抜けクードさんの家から、あっさりと外に出る事ができた。
ちなみに、EEアバターの小さな桜は、お伽話の妖精や精霊の宜しく、ふわりと浮かび上がり空を飛ぶ事ができる様だ。
これ、本体のアバターボディも出来るらしいな。
何処で戦闘をするのかと言うと。パープシャル村に来るまでに通って来た山道、迷宮化領域〈霧中白思の山道〉で戦って見ようと思う。
村に来るまでの道なら、霧も消えているし安全に戦えるだろう。
それに、如何せなら次ログインしたら行く事に為る、エーランブラム山の登山口まで行くのも、有りかも知れない。村人達から聞いた話では、地理的に〈霧中白思の山道〉の先が、エーランブラム山の登山口らしいし、霧はたぶん桜のアビリティで何とか為るだろうしね。
ちなみに、村に到着するまでの山道は、エーランブラム山の山道ではないとの事。
では、初戦闘をする為に桜とパーティを組んで、〈霧中白思の山道〉へ行って見ようか!
¶迷宮化領域〈霧中白思の山道〉へ侵入しました。
星明りだけが辺りを照らす中、村の結界から出て〈霧中白思の山道〉に入った。
例の白い霧は、村周辺とエルナがやって来た道には無いが、未だにエーランブラム山の有る方角は、白い霧で覆われていた。
その事を、コスモアバターの目を通して確認する事ができた。
うん。やっぱり、宇宙の闇みたいな外見なだけあって、夜目が効くようだな。
しかし、この山道は霧が無くても、何だか不快感と頭がぼーっとする様な感じがして、とても嫌な感じだ。如何やら、それは桜も感じているらしく。
「呪い何て、非科学的な物が実在すると、呪いはこんなに風に嫌な感じになるんですね……」
と、こんな感じで、ちょっと気分が宜しくないようだ。
何とか出来ないかと模索して見た結果。待機ルームの自分の方へ意識を寄せる事で、この嫌な感覚が無くなった。この方法が有用だと分かったので桜にも教えた。
「サレスさんのお陰で、嫌な感じがしなくなりましたよ♪」
桜が、スッキリしたと云う感じで俺に笑顔向ける。
「それは良かった」
「はい!」
さて、白い霧が晴れても残って居た、呪いの影響を排除出来たので、いよいよ俺と桜が戦うのに適当なエネミーを探す事にする。
山道を下って行くと。村に向かう時には、全く見かける事がなかったエネミーを見つけた。うん、嫌な感じがするから多分エネミーの筈だ。そいつは青白く光り、人の顔の様な物が浮かび上がる鬼火で、群れを為していた。
「桜、多分あれはエネミーだ。先ずは俺がこのアバターで、どれだけ戦えるのかやって見るよ」
「分かりました。サレスさん」
では、先制攻撃仕掛けるとしよう。現状コスモアバターの攻撃手段と言ったら、アナザースキルの『
取り合えず、『コスモブースト』を上乗せした『
『コスモショック!』
俺のコスモアバターから発射された光の衝撃波は、青く輝き一瞬遠い宇宙の景色を光の中に垣間見せ、鬼火の群れへシュバアアアアアアアア!!! と駆け抜ける。
『ヒィギャァァァアアアア!!』
鬼火共は、俺の放った光の持つエネルギーに、ねじ潰される様に消し去られる。
「サレスさん凄いです!」
桜が、俺の活躍に興奮して周りを飛び回る。いや~、褒められると照れるね。
「うん。コスモアバターちゃんと戦えるな!」
「ですね!」
¶コスモプレイヤーユーザー結城 静流が、全コスモプレイヤーユーザーの中で初めてCLVが上昇しました。
ユーザー結城 静流が称号【ファーストグロウコスモ】の称号を獲得しました。
「おっ! 称号をGETしたぞ」
「あっ、私もです」
俺の獲得した称号効果は、累積行動によるCEの成長を促す効果が有る見たいだ。
分かり易く言うと。修行や戦闘等で繰り返しCEを使う事で、LVUPやBPを得る以外の方法で、CEが上がり易く為ると言う物だな。
そして、桜の得た称号は【ファーストグロウナビ】で、効果は俺の称号効果のEE版と言った感じだ。まあ実際、どれだけ効果が有るのかは分からないけどな。
鬼火はドロップを落としていたので、拾って共有倉庫に入れて置く。ドロップしたのは、紫色の石の欠片で浄霊石違う見た目だ。
ちなみに、浄霊石の見た目は、ほんのりと青く光っていて綺麗であったね。
しかし、共有倉庫には鑑定機能が無いから、詳細が分からないよなぁ。
エルナのティアーズクロワで詳細を確認しないと、ずっと謎のアイテムって事に為ってしまうんだよな。
今度は桜に戦って貰うために、エネミーを探しながら移動する。
夜の闇の中、木の上や上空に気を付けて居なかった為、サッと何かが過ぎったと思ったら、体に衝撃を受ける。
「うおおっ!」
「サレスさんっ!」
如何やら、フクロウのアンデットの奇襲を受けてしまった様で、CEのゲージが減少しで往く。如何もフクロウのアンデットの鉤爪が、この宇宙ボディにしっかりと食い込んでしまっているようだ。その所為で、継続ダメージが発生している見たいだ。
桜はフクロウを何とかしようと頑張っている様だが、如何せんその小さい体ではどうにもならない。その上、まだ戦闘経験の無い事と、フクロウが俺の至近距離にいる所為で、アビリティの使用はフレンドリーファイアの危険が高く、当然使うのに躊躇してしまう。
なので、自力で何とかする為に、絶賛俺の体をガッシリと掴んでいるフクロウのアンデットに、『コスモリアライズ』を使用して、コスモマテリアルの棘を、宇宙ボディから勢い良く生やし攻撃する。
ザシュッ!! とフクロウのアンデットの体を、コスモマテリアルの青い輝きが貫く。フクロウのアンデットは、鳴き声を上げる間もなく動きを止める。
「ふぅ~、驚いたぁ。夜だからって、上からの奇襲を何となく忘れてたなぁ~」
「うぅ~、サレスさん。お役に立てなくてごめんなさい」
エネミーの奇襲に自分がきちんと対応できず、俺を危険に晒してしまったと落ち込んでいるようだ。
「冒険に危険はつきものだから、桜は気にしなくて良いんだぞ。それに、桜はまだ戦闘経験が無いんだから、これから出来る様に為れば良いんだよ」
「そうでしょうか?」
「そりゃそうさ、大丈夫。桜は直ぐに出来る様に為るよ。俺の優秀なナビなんだからな」
桜の小さな頭を指で撫でて慰めると。桜も元気を取り戻した様だ。
奇襲対策に、ESPと直感のスキルを使用しながら、今度は上空にも気を配りつつ、戦闘の練習に丁度良いエネミーを探しながら移動する。
少し移動すると。この山道に来て一番最初に遭遇した、例の出来損ないの泥人形にしか見えない奴ら、その十数体の群れを発見した。
「あいつ等なら、桜の攻撃アビリティの練習相手に、丁度良さそうだな」
「分かりました、サレスさん。頑張ってみますね!」
気合を入れ直した桜が、EEを消費してアビリティを発動する。
『ディメンションスクラッチ!』
アビリティが発動すると。ガリギャリギリギュリィィィイッ!! と不快な音を立て空間が削り取られる。当然の如く泥人形共は恐慌状態に陥る。
明らかに強大な力で空間が削り取られ、それに巻き込まれた仲間が跡形も無く消え去り、効果範囲からズレていた物は、事に体が削り取られ、如何にもならない状態に為っている。まさに、蹂躙の後と言った感じだ。
そりゃ、恐慌状態に為るってもんだ。
そして、そこに止めを刺す様に、桜の次のアビリティが発動する。
『ディメンションエクスターミネイト!!』
突如として虚空に穴が開く。
空いた穴は、まるでブラックホールの様に辺り一帯を飲み込みだす。
悲卑痛畏! 偽儀異遺!? 阿餓祇慰!! 愚罵屁誤?!! 等と、よく分からない言葉発しながら、泥人形共は全て吸い込まれて往った。
いやぁ~、これは完全にオーバーキルだな。ドロップアイテムも無いし。
それに、確かにこれはフレンドリーファイアしても可笑しくない攻撃だわ。
「サレスさん、こんな感じですがどうですか?」
「威力は申し分ない、と言うか強すぎる。これは、力をしっかり制御出来ないと危険だな。後は、もっと使い易いアーツなり、アビリティなりを作らないとダメかな?」
「やっぱりそうですか。私も実はちょっとだけ、威力過剰かなと思ってました」
課題が見えたので、桜の攻撃方法をもう少し模索した後に、ちょっとエーランブラム山の登山口まで行って見ますか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます