73 指名依頼を受ける事に為った
ウサギ達と戯れた夜が明け、宿のおしゃれなモーニング堪能し、超高級宿〈星の雫〉を後にする。何の卵か分からなかったけど、エッグベネディクト美味しかったよ。うん。これが、一泊10万エア、現実世界の円に換算すると、一泊100万円の宿かぁ。
家の飛空船は、神器だから内装や施設とか凄いけど、料理は自分でしないと行けないからなぁ。ご飯を食べる事を踏まえるなら、泊まるのは有りだな。それに、エルナもチナも別にご飯を食べなくても平気だからね。なら、如何せ食べるなら美味しい方が良いもんな。
歩きながら、『ラビットボム』でウサギ達を三羽ほど出して置く。このプリティーなウサギさん……爆弾だけど、を何で出して置くのかと言うと、チナを喜ばせる為と言うのも有るが、小動物好きの美少女と仲良く出来ないかなぁ、と思って出して見たのだ!
ほら、俺は自分にとって最高の美少女を作りたかったのも有るし、他の人が作った最高の美少女とも仲良くなりたいし、この世界に居る天然の美少女とも仲良くなりたい訳だよ。何か、それが難しい状況に成ってる気がしなくもの無いけど、それが一番の目的だからね!
えっ、中身が男とか気にしないのかって? オンゲで中身が如何とか不毛だし、美少女キャラで、危ない性格の人じゃなければ良いんだよ! 傍から見てキャッキャウフフが出来ればそれで万事OKさ!
おっと! 早速チナが、素早くウサギを一羽抱きかかえてるぞ。
流石、小動物の効果は抜群だ!
「もふもふGET! なのじゃ!」
こんな感じで、小動物好きの美少女と仲良くなれると良いなぁ。もちろん、チナによって来るのはダメだよ。女性だとしても、ロリコンは危険だからね!
ニマニマ顔でウサギを抱っこしたチナが、尻尾をフリフリ、トテトテと歩く姿は、とっても可愛いらしく微笑ましかった。
そんなチナを見ながら、今向かっている行先をチナに告げて置く。
「チナ。取り合えず、冒険者ギルドに行こうか」
「了解なのじゃ!」
冒険者ギルドに到着っと! 此処に来るまでウサギさんは大人気、街の住人からもバッチリ注目されてたね! あ、もちろんエルナはスキルを駆使して影を薄くしてたよ。だから、チナとウサギさん達だけが注目されてたんだよね。
ギルドに入ると直ぐに、オピニアさんがこちらにやって来る。
多分、冒険者カードの情報更新機能を利用して、エルナの様な上位冒険者はもちろんの事、今どんな冒険者がギルドに着ているか、分かる様になっているのだと思う。
ちなみに、F,Eランクが下位、D,Cランクが中位、B,Aランクが上位、S,G,GGランクが高位、GGGランクが最高位の冒険者となる。
GGGランクは、最高位の冒険者であると同時に、高位神以上の存在でもある。
「今日巫女様達は、冒険者のお仕事をお探しなのでしょうか? そうでしたら嬉しいのですけど~」
おや? 取り合えず、ギルドに来てみたけど。
オピニアさんが、何かエルナに頼みたい事がある様だぞ?
「何か、困った事でもありました?」
「あら~、このウサギさん可愛いですねぇ~」
「うみゅ、そうじゃろう。エルナのウサギは、ふわもふで可愛いのじゃ!」
良し、ウサギに食いついた! って、うおいっ! オピニアさん、華麗にスルーかよ! 幾らスキルで影を薄くしてるとは言え、巫女様ってエルナの事を認識してるんだから酷くない!? って、チナも普通にウサギの自慢してるし!?
「ああっ! すいません。私可愛い小動物に目が無くてぇ~」
てへっ、とポーズを取るオピニアさん可愛い! 許すっ!
チナは、ウサギに夢中ですね。はい。
「しょうがないな~、ウサギが可愛いのは真理だもんね。気にしないで良いですよ」
「あらあら、巫女様にそう言って頂けると、ありがたいですねぇ~」
徐に、オピニアさんにウサギを一羽、抱かせてあげると。
オピニアさんは、「ふわぁ~、ふわもふですねぇ~!」と、ぱぁっと明るい笑顔に成って嬉しそうだ。
「それでは、改めてお聞きしますけど、オピニアさん何かありましたか?」
オピニアさんが、ウサギを抱っこしながらも、キリっと真面目な顔になり話始める。
「ええ、神の分霊をお連れである巫女様に、是非お願いしたい依頼が有ります」
アステリズムの北西に、魔動車で五日程進むとある独立峰、エーランブラムの麓にある村パープシャルでの話だ。
あ、魔動車って言うのは、アステリズムに入る前に見た謎の乗り物の事だ。文字どうり魔力で動く車の事だそうな。宿でソフィーちゃんが、教えてくれたんだよね。
「二月前、パープシャルの村に、旅の修行僧が訪れたんだそうです。元々エーランブラム山での修行目的に、多く修行者が訪れる為、パープシャルの村人達は、その修行僧を歓迎し、持て成したそうなんですよ~。歓待された修行僧は、お礼として村の人達の困り事を、全部解決してくれたらしいんですけど……」
修行僧が去って一週間程経つと、徐々に可笑しな事が村に起こり始めたらしい。
曰く、修行僧に直接病気や怪我を治して貰った者達は、僧が去った後皆支離滅裂な事を口走り、何者かに祈り始め奇行を繰り返す様になった。
曰く、修行僧に飲み水の等の確保が大変だと言うと、村の近くに湧き水を出現させ村人を喜ばせたが。その後その水を飲んだ者は体調不良になり、水を使って作った料理等は直ぐに腐ってしまう様になった。
曰く、修行僧に不作を何とかして欲しいと頼むと、豊穣の祝福により不作を見事に解消したのだが。僧が去った後、その畑や果樹園の作物を食べたら、体の一部が灰色に変色し、皆一様に苦しむ様になった。
曰く、修行僧に山から下りて作物を荒らし、村人にも危害を加える魔物を追い払って欲しいと頼むと、修行僧は魔物除けの結界を張り魔物は来なくなった。だが僧が去った後、村が一日中霧に包まれる様になり、村の周りで聞いた事のない生き物声が毎晩する様になった。そして、三日に一人、村人が消える様になった。
こんなヤバい感じがプンプンする村に、神の分霊を連れている巫女でないとダメと為ると……。
「ええっと、これってもしかして……」
「はい、恐らくですが。この世界に仇なす、神や大神の信徒の仕業でしょうね~」
ですよね~。他のコスモプレイヤーの様子でも、見ておこうかと思っていたけど。この依頼は受けないと危ない気がするな。
「生憎、今アステリズムには、SランクやGランク以上の冒険者はおりませんし、かと言って普通のAランク冒険者では、何かあった時不安が残りますからね~。是非とも巫女様達に、パープシャル村の異常事態の解決、この依頼を受けて貰いたいのですよ~」
エナを呼ぶ事も考慮して、挑むなら大丈夫な筈だ。
何よりこの依頼を受けないと、めっちゃ良くない事が起こる気がするだよなぁ。
なので、受けないと言う選択肢はない。
「分かりました。お受けします」
「わちらに、どーんとまかしぇるのじゃ!」
チナが胸を張って快諾する。可愛い。
まあ、チナがこう言うのだし、益々持って大丈夫だろう。
「ありがとうございます。パープシャル村の異常事態の解決は、冒険者ギルドから巫女様達への指名依頼として扱いますね~」
ふむ。他のコスモプレイヤーが、如何しているのか気になったから、アステリズムに来たんだけど。中々アステリズムに留まれないなぁ。これも大神の呪いかねぇ?
そうそう、ソフィーちゃんには、エルナが触れた情報媒体から、情報を自動収集すると言う能力が有るんだよね。
だから取り合えず、パープシャル村の周辺情報が載った資料を見せて貰おう。
そうすれば、後から何時でもソフィーちゃんに情報を聞ける様に為って、凄く便利だからね。そしたら、早速パープシャル村に行って見よう!
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