70 エルナ爆弾魔になる

 さあて、今度はお店で買って来た使い捨てじゃないマジックアイテムに、星輝を流して見ようか。

 先ずは、ライティングトーチを普通に使って見る。360°照らしたり、懐中電灯の様に方向を絞って照らしたり、光源の形を自在に変えられて、中々便利そうである。まあ、エルナには夜目が利くので不要だがな。


 チナに見える様に、光源を動物の形に変え「ウサギさんだよ~♪」と、まるでウサギが生きて動き回っている様に見せると。それを見たチナは、目をキラキラさせ、「エルナ凄いのじゃ!」と言いながら喜んでくれた。

 そんなやり取りをした後、ライティングトーチに星輝を流して見た。

 ライティングトーチに星輝が流れると、光量が上がり光が熱を帯びる。

 慌てて光源の方向を懐中電灯の様に絞ると、ライティングトーチから放たれる光はまるでレーザービームの様になった。ちょっと前に振って見ると、前方にある草原の草を焼き切った。もちろん、ちゃんと消火したからね。

 ライティングトーチに星輝を流したら、すげぇ長いけど某宇宙戦争の光剣見たいに為ったな。完全に武器じゃんね。


 さて、ここから星輝を更にチャージして往く。と言っても、少しずつ量を増やす感じでだけどな。星輝の量が増えて往くと、レーザービームの威力が見るからにヤバくなって行く。星輝容量の限界が近いのか、ライティングトーチ全体が光り出す。更に続けると、マジックアイテムが効果を発揮する為の何かが溶け、その後に星輝飽和状態になった様に感じた。

 多分今、星輝を流すのを止めたら、星輝が残っている内は使用する事ができるだろうけど。それが無くなったら、このアイテムは只のガラクタに為ると感じる。

 取り合えず、星輝還元が起こる前に、ライティングトーチに星輝が流れて行かない様にして、効果を切る。

 星輝が残っている状態で再び使用して見ると、レーザービームが再びライティングトーチから出た。

 そして、今度は星輝を抜いて、もう一度使用して見ると。

 ライティングトーチは全く光らなかった。如何やら予想通りの様だ。

 念のため、この光らなく為ったライティングトーチに、星輝を流して使用するがやはり光らない。

 あの、何かが溶けてしまったと感じた時。

 恐らくだが、星輝にライティングトーチの持つ効果……と言うか力? が溶けてしまったのではないかと思う。だから、星輝が残っている間は、まだ使えたんだろう。

 その証拠に、星輝を抜いたら使え無くなったしな。

 取り合えず、この壊れてしまったライティングトーチは、星輝還元を利用して側も壊して見ようと思う。

 光らなくなったライティングトーチに、一気に星輝を流し込むと。

 手に持っていたライティングトーチの持ち手部分が、グニャリと柔らかくなったと思った瞬間、光に成り消えて往く。

 ふむ。これを意図的に出来れば、アーツとして成立しそうだな。


 その後も、マジックアイテムのインスタントファイアを、星輝を流して使用すると『星燐』のアーツの様な白い炎が出て、マジックドリンクボトルは予想出来ていたが星輝水が出る様になった。

 修得した『アイテムブースト』のアーツは、そのままマジックアイテムのマジックドリンクボトルに使って見たら、ブーストはできたがアイテムの持つ効果を壊してしまった。


 マジックアイテムがちょっと勿体ないので、再びスクロールを使いアイテムの効果が、星輝に溶ける溶けないの見極めができる様に、何度も繰り返した。漸くできる様に為ると、『アイテムブースト』のアーツが『アイテムブースト・コントロール』のアーツに変化していた。

 練習の成果が、アーツの変化に出た見たいだな。これで、アイテムに星輝を流すのを、コントロールできる様になったと思って良いのかな?


 それじゃあ、今度は意識してアイテムを壊して見よう。

 これも沢山あるスクロールを使ってやって見ると、程無くして『アイテムブレイク』のオリジナルアーツを修得した。

 チナやソフィーちゃんに、エルナは良く爆発させてると言われている訳だが。このアイテム破壊も、ちょっと工夫したら爆発させる事ができる様な気がするんだよな。

 星輝をアイテムにそのまま流してから、そのアイテムに星輝を溜めるのでは無く。

 エルナ自身の身体にある程度溜め込んだ星輝を、纏めてアイテムに送り込んだら、爆発するんじゃなかろうか?


 ドッパァ――――――ン!1


 やって見ると思った通り、スクロールが瞬時に限界を超え、あっと言う間に星輝水を噴き出す様に爆発した。


「エルナはやると思ったのじゃ」


わたくしも、そう思っておりました』


 チナとソフィーちゃんが、何か言ってるけどもう俺は気にしないんだ。

 エルナは、星輝を爆発させるのが得意なのは、もうしょうがない気がするんだもん。諦めが肝心だよね。

 もちろん、『アイテムバースト』と言う、オリジナルアーツに成りましたよっと。


 しかしだ。何かこれ、もっと工夫できる気がするんだよな。

 例えばこの星輝還元で、光に成って消えてしまうのも、星輝由来の煌気で覆ってしまえば、星輝還元されずに保持されたりするのでは?

 それに、爆発する程星輝が溜まった物も、煌気で覆えば直ぐに爆発しないのでは? 

 と言うか任意で爆破できるのでは?


「Σにゅにゅ! エルナ、まだ爆破しゅるのじゃ!?」


 はいはい、チナが何か言ってますけど、俺はもう開き直る事にしたんだ。

 と言う訳で、今度はスクロールの中ではなく、外側に煌気を纏わせコーティングする様に固めて見た。

 如何やら上手く出来た様なので、さっきまで散々やって来た様に、今度は星輝還元が起こる位星輝を込める。

 煌気にコーティングされたお陰か、光に成って消える事は無く、スクロールの形が保たれている。まあ、めっちゃ光ってるんですけどね。

 あ、その後も限界を観ようと、星輝を込めて往ったら見事に大爆発したよ。


「また爆発したのじゃ!」


『とうとう爆破の魅力に目覚めてしまったのですね。姫……』


 二人に何か色々言われながら、試行錯誤していった結果。オリジナルアーツ『オーロラコーティング』と『アイテムバーストボム』の二つを修得した。

 アーツを生かす為に、星輝の遠距離,遠隔の操作の練習もして、自分が直接触れていなくても、アイテムに星輝を込めたり、爆発させたりできる様になった。

 はい、これ完全に爆弾魔です。しかも、かなりやべーヤツです。

 なんせ、誰にも気づかれる事無く、爆弾を設置する事が出来て、しかも何時でも起爆できる。おまけに、罠術のスキルがめっちゃ仕事しそうだしな。

 まあ、やりすぎたかもしれない。でも、後悔はしてない!


『立派な爆弾魔に成られましたね。シズル様』


 流石に爆弾魔は酷いだろ、まだ何も爆破してないのに……。


『遅かれ早かれなのでは?』


 まあ、そうなんだけど。

 そうそうついでに、『星燐』のアーツを核に煌気で星燐を覆い、何か爆発しそうな属性エネルギーを、核になっている星燐に混ぜ、そこにたっぷりと星輝を込めた『煌気爆裂弾』と、アーツ『星燐』の部分を『星撃』に置き換えた、オリジナルアーツ『煌気重爆撃』も作ったよ。

 さて、いよいよ装備品を扱いますかね。

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