65 アステリズムに着いたら壊れても良いアイテムを買おうと決めた

 神骸飛空船・スペシネイトが、コスモプレイヤーのスタート地点の一つである、聖ステルシェリア王国王都アステリズムに向けて出発して直ぐ、ソフィーちゃんが話し掛けて来た。


『シズル様、少しよろしいでしょうか?』


 ん、何かなソフィーちゃん?


『今回手に入れた物含め、武具やアイテムに星輝を込め過ぎると、耐えきれずに簡単に壊れてしまいますから、注意してくださいね』


 んんっ!? どうゆうこと? 弾にする予定の武器,ヴァジュラや盾のトーチュアスにも、星輝を込め過ぎると壊れるとかそう言う事?


『その通りです。わたくし達エルナ様専用神器は、エルアクシア様がエルナ様の無尽蔵の星輝に対応できる様に、星輝武具へ進化成長する事が前提で作られています。ですから、わたくし達は星輝を受け入れる許容量が相当量有る為、ある程度は平気なのです。そうでない物は、例え不壊や自動修復,自動復活の力を持つアイテム,武具や神器、そして大神が作り出した神器であろうと、直ぐに許容量を超えてしまい、壊れてしまうでしょう』


 許容量を超えて装備が壊れるって、物理的に壊れれるのだろうか?

 それとも装備が持つ力その物が壊れるのか?


『両方です』


 ええっ! マジか。

 でも、壊れると言っても、ヴァジュラは意外といけるんじゃない?

 ええと……ほら、俺が居た世界の神話だと、この武器には宇宙パワーが凝縮されているらしいんだけどさ。


『先程入手した神器の事ですね。確かに、通常の神器よりも許容量が大きいようです。星輝を込める量を加減できれば、この神器に直接星輝を込めて使用する事は、一応できそうですね。ですが、星輝を武具に込めるなら、普通にわたくし達を使った方が強いですよ?』


 なるほど、ヴァジュラは加減さえ覚えれば星輝を込めて使えると。

 でも、結局の所、素の能力ではヴァジュラの方が高いけど。星輝を使う場合は、専用装備での攻撃の方がダメージが高くなる訳ね。

 何だか急に装備制限ができた様な感じだ。折角手に入れた訳だし、使えそうな能力が有るのだから、専用装備以外でも星輝を込めて使える様にしたいな。

 ヴァジュラもそうだけど、他の物も加減さえできれば、星輝を直接込めて使えそうだけど、如何なんだろう? 


『できない事は無いのですが、沢山の物を壊す事になりますよ?』


 まあ、そうなるよねぇ。取り合えずソフィーちゃん、専用装備でないと全力を発揮できないって事で良いのかな?


『正確には、星輝武具でないと、全力を発揮できないですね。わたくし達エルナ様専用装備ですら、進化しなければ対応できなくなります。今は、エルナ様が常に放出し続ける星輝量が少ないので、まだ何の問題も無いのですけどね』


 うぇ! 専用装備でも現状は限界が有るのか、幾らでも行けそうな気がしてたんだけどなぁ。そもそもの話、ソフィーちゃん星輝武具って何よ?


『元々はエルアクシア様が、ご自身の為に自ら造り出し、ご自身の無尽蔵の星輝を際限なく込め、尚且つそれを十全に扱う事ができる武具やアイテムの総称を、星輝武具と言います。ただわたくし達の場合は、作製にエルアクシア様以外の多くの神々が関わっているのですけどね』


 なるほどね。そうすると、星輝を無尽蔵に込められるのは、星輝武具だけって事で良い? あっ、自分自身はもちろん平気なんだよね?


『はい、合ってますよ。もちろん、無尽蔵の星輝を作り出す、エルナ様ご自身に限界はありません。それは、エルアクシア様が証明していますからね。それに、エルナ様が神格を得られる頃には、御自分が気に入られた物を、星輝に対応した物へと改造できる様に為る筈ですよ』


 ほぉ~ん。ある程度は、神に為ると自分で如何にかできる見たいだな。

 でも、何とか為るって事は、星輝武具も自分で造れる様になるのかもな。

 どちらにせよ星輝武具が無いと全力は出せないって事か。

 しかし、星輝の込め過ぎで物が壊れるって、星輝を込めれば相手の装備とか破壊できる事になるよな。それに、あの紅月の眷属の神与騎士エジェマが、大神に授与されたらしい全身鎧の神器が一回溶けたのも、『双翼虹波爆裂煌』にたっぷり込められた、星輝の所為だって確定したよな。

 取り合えず練習したら、アイテム破壊や装備破壊のアーツが作れそうだよな。

 まあ何にせよ。最優先で、専用装備以外に星輝を込める練習をしないとな。

 なんせ、星輝を自由に使える事がエルナの最大の武器だろうし、うっかり大事なアイテムとかを壊さない様にする為にも必須だな。それにその過程で、装備破壊のアーツとかも、練習すれば覚えられそうだしね。一石二鳥ってやつだ。

 アステリズムに着いたら、冒険者ギルドに行って、その後に星輝を込める練習に、別に壊れても良い、それなりのアイテムと装備を買おうかな。

 ちなみに、現在最高性能の星輝武具は、エルアクシア神と生産系権能を持つ大神達と作製した、コラボ星輝武具だそうな。

 あと他の人達は、星輝を星輝として使うのではなく、別の力に変換して使用するのが普通なんだとさ。例えて言うなら、スキル星輝変換・神力。見たいな感じらしい。

 エナもチナを造る時、エルナから得た星輝をこんな風に変換してたんだろうなぁ。


『マム! もう直ぐ目的地に到着しますよ!』


 スイちゃんが、もう直ぐアステリズムに到着する事を教えてくれる。

 ソフィーちゃんと話していたら、何時の間にか聖ステルシェリア王国の領土に入っていたようだ。いよいよ、他のコスモプレイヤー達とご対面だな。


 スペシネイトのブリッジには、船の外全方位を映し出す事が可能なスクリーンモニターが有り、聖ステルシェリア王国アステリズムの姿が見えて来る。

 最初に映し出された王都アステリズムは、航空写真の様な上空からの引きの絵で、パッと見中心の方に行けば行くほど、碁盤目の様に整然としている。中心部は計画して作られ、広がるにつれ複雑な道筋が作られて往ったのがよく分かる。それでも全体的に崩れる事は無く、後で追加されたであろう現在の外縁部に至るまで、都市計画に一貫性を感じられた。なんか王都の歴史を感じるな。

 

『マム! 映像を拡大しますね!』


 丁度拡大した絵が見たいなぁと思ったら、スイちゃんが俺の思考を読み取ったかの如く、モニター映像を拡大してくれる。


 拡大され、建物がよく見える様になった王都の街並みは、中世ヨーロッパ風ファンタジ―RPGゲームの、中盤以降に辿り着くグラフィックがヤバい都市を、現代科学或いはそれ以上に優れた建築技術で、素晴らしい街並みと芸術性の高い建築による都市計画を、その建築に携わる職人達が本気で作ったのが窺え、王都その物がそんな彼ら最高の芸術作品に見えた。


 髭の生えたドワーフのおっさんが「どうだ俺達の作品は凄いだろ!」と言っている姿が何故か幻視された。何で唐突にこんなイメージが出るんだ?

 もしかして、エルナの直観のスキルが仕事をした?

 するとあの英雄人形ヒーローフィギュアのドワーフのおっさんは、アステリズムの建築に携わって英雄になった人物だったりする?

 まあ、それが分かったからって、何なんだって話だがな。

 それにしても、建物一つ一つがまるで光り輝いている様に見えるし、全ての建物に素晴らしい彫刻が施されている。それが王都の中心から端まで、どの建物にも施されていて、それが王都を一つの芸術作品の様に感じさせるのかもな。


 アレ? もしかして、建国時に王都の建設計画を立てた建築職人達が、今も王都の建物の建築を行っていたりして……?

 あり得るよなぁ、神に成ると寿命は無くなるんだし、可能性は大だな。

 となると、このクリスタルドワーフ像のおっさんと遭遇したりしてな……。

 まあ、そんなわけないか。とにかく地上に降りるとしようかね。


 王都に幾つかある大きな門の上空に、神骸飛空船・スペシネイトを待機させ、チナと共に地上に降り、冒険者用の入口に向かう。門に向かう途中、何人もの冒険者と思われる人達や、商人や貴族の物と思われる、謎の乗り物や馬車と擦れ違う。

 もしかしたら、もう他のコスモプレイヤー達と、既に擦れ違っているのかもと、少しワクワクしながら、チナと一緒に王都アステリズムの門を潜るのだった。

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