63 チナ先生のお宝チェック! その2

 今度は、ダンジョン内で手に入れた魔木の宝箱六つに、中ボスの討伐報酬の霊木の宝箱四つを開ける事にした。

 次々と宝箱を開ける。まず、魔木の宝箱の中身は、宝箱より明らかに大きい大きな白いクッション? が一つ,黒い液体の入った瓶が一個,宝石が鏤められ、金細工が施された黒い本が一冊,金属光沢のある白いナイフが一本,乳白色をした鉱物のインゴットらしき物が三本,遊色効果の有る金属質な青い液体が入った小瓶が一個だった。

 次に霊木の宝箱の中身は、白銀の金属の塊が一つ,茶色い地味なマントが一着,オレンジ色の綺麗なクリスタルの板が一枚,青白いの金属光沢のある筒状の袋の様な物が一個入っていた。


「それでは、チナ先生解説お願いします」


「ふみゅ、まかしぇるのじゃ! この白くてふわふわもちもち感触は間違いないのじゃ……! わちの本霊が欲しがっていた特大さいずじゅ安眠枕なのじゃ! わちもこの枕を寝床にゆっくり眠りたいものなのじゃ……。まあ、わち寝なくとも平気なのじゃけど」


 ふむ? ダンジョンのお宝なのに枕とは。

 どれどれと触って見ると、チナの言う通りふわふわもちもちの感触が気持ちいい。

 触って見た感触とその大きさから、枕と言うよりも現実世界で有名な人をダメにするビーズクッションにしか見えない。

 長方形で、サイズは縦160cm,横130cm位だろうか。そんな例のビーズクッションにしか見えない枕に寝っ転がって見ると、とても心地よく直ぐに眠ってしまいそそうになる。


「にゅぅ、エルナずるいのじゃ、わちも寝っ転がりたいのじゃ!」


 チナが枕に飛び込んで来たけど。ベットマットレスにも使えそうなこの枕は、チナと一緒でも余裕でごろごろできる。と言っても、寝っ転がった瞬間二人とも動いてないけど。そんな感じで一頻り二人で枕を堪能した後、次のアイテムをチェックする。

 人をダメにするクッションって最高だよね。


「ふぅ……、それじゃチナ先生、この黒い液体が入った瓶は何なんでしょう?」


「ふにゅ、これは魔導インクなのじゃ、魔道具や魔導書のしゃくせいに使われる物なのじゃ。ダンジョンのランクも考えると余程良い物でないと、魔木の宝箱からでたアイテムとしゅてはハズレなのじゃ」


 なら、この魔導インクは売ってしまおう。

 そして、今度はこのインクが使われてそうな魔導書っぽい本だ。


「では、チナ先生。こちらの、如何いかにも魔導書を思わせる本はどうなんでしょう?」


「ふみゅ、エルナくん。きみの見立てどおりこれは魔導書なのじゃ! 残念ながらわち、魔導書の事はあんまり知らないのじゃ。魔法のはつどう媒体に使うとか、魔導書せんようのスペルアーツを使うのに必要とか、しょれ位じゃのう」


 魔導書については、新しい魔導書を作る専門職,魔導書専門の戦闘職、そして学問として研究されている位、多種多様に存在するらしく。ましてや、ダンジョンから出る物など、余計に分からない物らしい。

 一応、ティアーズクロワに入れて見た結果。

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毒蟲の魔導書

毒と蟲を扱う魔術,魔法の強化補助及び、様々な毒蟲を召喚する力を持つ魔導書。

専用スペルアーツ ランダムポイズンインセクト サモン・ヴェノムセンチビート

INT+1240,MAG+1890

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 ティアーズクロワでちゃんと判別できたようだな。

 正直言ってあんまり使いたくないなこれ。

 いくらステが上がると云っても、この魔導書スペルアーツも微妙だしなぁ。

 それに、チナも微妙な顔してるし、エルナの戦闘スタイル的にも魔導書は持て余しそうだから、売るか共有倉庫往きだな。

 でも、毒属性変換は覚えられそうだな。


「魔導書なのに、MPチャージとMP補正が付かないなんて、かなり微妙なのじゃ」


 うん、やっぱり属性変換を覚える為だけの駄目な魔導書のようだな。さ、次だ。


「それでは、この白いナイフ何ですけど、何かわかりますかチナ先生?」


「むみゅ、おそらくこのナイフは、石化効果を持った魔具のナイフなのじゃ。友人の地竜が使う石化ぶれしゅを薄めたような感じがしゅるから、たぶん間違いないのじゃ」


 ほほぅ、石化の状態異常ねぇ。それが本当なら、石化属性とか在るか分からないけど、覚えられたりするかも? それにしても、チナ達には地竜の友達が居るのかぁ、人化の腕前は如何なんだろうね?


「石化の力が友人のぶれしゅより薄いといっても、石化の効果は魔剣なかでも強いと方だと、わちは思うのじゃ」


 チナの見立てでは十分強力らしい。

 ちなみに、ティアーズクロワ入れて見た結果がこれ。

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魔剣ジプセムペトロファイ

フレーバー:人も物も皆石膏に為れば良い……それがこの魔剣の望みだ……。

傷付けた物を徐々に石膏に換える恐るべき力を持ったナイフ型の魔剣。

専用アーツ ヴィセラペトロファイ プラスターオブスタチュー

STR+460,AGI+2740

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 ステ補正は、毒蟲の魔導書より少し高い位しかないが、この傷付けた物を石膏に換えると云う効果は、フレーバーテキストが有る位だし相当強力見たいだな。

 まあ、チナ達の友人の地竜が使う石化ブレスに、効果が及ばないのは仕方ないと思うけどな。どうせその地竜は神だろうし。

 それにこの魔剣、ステラレインの弾として使えそうだな。あっ、でも一発撃ったら自力回収? いや、ソフィーちゃんがティアーズクロワで回収してくれるかな?


『もちろん、回収できますよシズル様』


 という事でステラレインの弾決定だな。次の物をチナに見せて解説を聞く。


「ふにゅ。これはさっき話した、わちの友人の地竜が大変甘露じゃと言っておった、ミルクライトのインゴットなのじゃ。滅多に手に入らないと嘆いておったのう」


 チナが聞いた話だと、ミルクライト鉱は元々多くは取れず、尚且つとても柔らかく、武器や防具,一般の道具にすら使われる事が無いらしく。一般的に珍しいだけのあまり価値の無い鉱物らしい。

 チナ達の友人の地竜が神だとして、鉱物が捧げ物だと仮定すると。

 最初は珍しいからと奉納されたけど、一般人の価値感から何時の間にか価値がない物と判断される様になって、例え採れたとしても捨てられる見たいな事に為ってそうだな。


「じゃあこれは、チナの友達の地竜さんにあげる事にしちゃおうか」


「しょれは、あやつも喜びしょうなのじゃ」


 ミルクライトインゴットは、エナが来た時に渡す事にした。ついでにメガロックダイルのドロップ、ゾイル鉱石も食べるんじゃないかと思い一緒に渡す事にした。

 次は謎の液体その2だな。


「これは水属性錬成添加剤なのじゃ、ありきたりに言って魔導インクと同じでハズレのたぐいなのじゃ」


 はい、売り決定! それじゃあ、今度は中ボスの討伐報酬の宝箱から出た、白銀の金属の塊だ。


「これはプラチナなのじゃ。量も少ないち、霊木の宝箱から出た物としゅては大外れなのじゃ」


 おおぅ、大外れとは。これも売るか地竜さん往きだな。次は地味マントだな。


「にゅ、これはワニ人間の匂いがするのう。たぶん、姿が見えなくなる効果を持った魔道具のマントなのじゃ。わちは良い物だと思うのじゃ」


 あ~、プレデター・フォレストカイマンのあれかぁ。ティアーズクロワで確認と。

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魔外套プレデターマンテル

フレーバー:姿無き捕食者は今も獲物を狙っている。

不可視の力を持った捕食者たるワニ革製の茶色のマント。

ある程度の衝撃を受けない限り、不可視状態が維持され奇襲攻撃に補正が付く。

専用アーツ インビジブル・プレデター

DEF+1480,INT+990,RES+1880

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 おっ! これは良い物だな。

 効果も強いし、このままでもいざと云う時には使おうかな。

 課金アイテムを使って見た目と色を変えるか、職人さんに頼んで色を変える為り出来たら、普段から装備しても良いな。

 流石に色を変えないと、エルナに茶色は似合わないでしょ。それじゃ次だ。


「チナ先生、このクリスタルの板なんでしょうか?」


「ふにゅ、エルナくん。これはスキルクリスタルなのじゃ! スキルを習得できるアイテムの中でも、ひかくてき良いスキルが覚えられるアイテムなのじゃ。特に中ボスの討伐報酬じゃから期待大なのじゃ!」


 覚えられるスキルは溶岩操作……、ラーヴァフロシュアの効果と被ってるな。


「これは、チナが覚えた方が良いんじゃない? 私は神器で同じ事ができる見たいだし」


「うみゅぅ、わちの本霊の意見を聞いて見るのじゃ……」


 如何やら、溶岩操作のスキルについてはちょっと悩む事の様だ。


「わちが覚えるのはたいへん魅力的なのじゃが。エルナがスキル覚えた方が、神器との相乗効果が期待できるから、エルナが覚えた方が良いと本霊が言っておるのじゃ。本霊はこのスキルを覚えるもくしゃんがあるらしいのう」


 ふ~む。神器とのスキルの相乗効果で、手っ取り早く火力が上がるって事かな?

 なら、ここはエルナが覚えておきますかね。

 スキルクリスタルに手を置き使用すると、暖かい物が手を伝い流れ込んで来る。

 ふぅ、安全に使用出来てよかった。ちなみに、スキルは4次スキルだった。

 さて、霊木の宝箱最後のアイテムは、よく分からない筒状のアイテムだ。


「おおー! これは尻尾カバーなのじゃ♪ 凍結を操る力を持っておる様じゃのう。これはわちにピッタリだと思うのじゃ!」


 なるほど、これは尻尾カバーだったのか。装備品っぽいとは思ったが、尻尾装備なんてまさにファンタジー装備の代表格じゃないか!

 取り合えず、ティアーズクロワに入れて性能チェックだな。

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魔覆尾フリージングテイル

フレーバー:寒さは最早我々の敵ではない。

青白い金属光沢を帯びたワニ革で出来た凍結の力を持つ尻尾カバー。

専用アーツ 雹散弾 グランドアイスバーン フリージングテイル

STR+2000,DEF+1800,RES+1780

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 おお! これはチナ本人が言う通り、チナにピッタリの装備だな!

 早速チナの尻尾に着けてあげると、チナはとてもご機嫌な様子で、フリージングテイルを着けた自分の尻尾をフリフリと動かしながら見ている。うん、可愛い。


「どうじゃ? わち似合っておるかのう♪」


「うんうん、とってもよく似合ってるし、それに凄く可愛いよ!」


 チナが嬉しそうで何よりだ。

 さて、残りは高レアリティのの宝箱だけだな。

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