60 スぺシネイトのドロップアイテムの確認

 巨大な水玉の中に戻ると、チナが竜の姿から何時もの美幼女の姿に戻っていた。

 スペシネイトとの戦闘中だった為、気付いていなかったが、『水輪の聖域』には独特の浮遊感が在り、水中とも無重力とも感じ取れ何とも不思議な感じだ。

 そんな中チナは、無数のキラキラ光る水玉と一緒に、のんびりと気を抜いた様子で、『水輪の聖域』のゆったりとした流れに身を任せ、ふわふわと漂っていた。


「エルナ、おかえりなのじゃ!」


「ただいま、チナ」


 エルナに気が付いたチナは、満面の笑顔で出迎えの挨拶をしてくれる。

 チナに近づいて、頭をわしゃわしゃする。

 ただチナを、わしゃわしゃしたかっただけで特に意味は無い。

 チナも別に嫌がって無いし、むしろ喜んでるしな。

 それにほら、チナが可愛くて、つい構いたくなるから仕方ないんだよ。うん。


 そんな訳で、チナとじゃれ合ったあと満足した俺は、ダンジョンで得た物を確認をする事にした。そう、リザルトチェックってやつだな。と云っても確認するのは、宝箱とギフトボックスに送られた、スペシネイトのドロップや討伐報酬位だ。

 デスデイノのドロップで気になるのは、他の中ボスも落とした魔宝石の死属性版の奴位しかないからね。気になる理由も、死属性の魔力変換ができる様になるのに、役立ちそうってだけだからな。

 それに、死属性ってデバフやクリティカル,即死攻撃だけじゃなく、治癒や蘇生とかにも関わる属性で、変換できる様になって損は無いからな。

 ちなみに、魔宝石は自動充電機能が付いた、電池とかバッテリー見たいな物だと思って貰って良い。


 さて、まずはギフトボックスに入っている、スペシネイトのドロップだな……

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 湯聖石

 スペシネイトの鉱骨×4

 スペシネイトの空間の神石

 ダンジョンコア・Gランク

 神骸飛空船・スペシネイト

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 いやっ、飛空船が入ってるじゃん!

 しかも神骸って、神クラスのダンジョンコアモンスターだったのか!

 LVが上がって284に成ってるけど、神クラスを倒せるの程じゃないだろ!


『シズル様、モンスターは神クラスと言っても、神クラス相当と言うだけで、実際に神の権能や力を持っている訳では無いので、倒せても別に可笑しくないですよ?』


 え、そうなの? ソフィーちゃん曰く、実際に神格を有していたら、神を神たらしめる権能である【神魂神体】と、分霊がいる限り何度でも復活と逃走を可能とする権能、【分霊法】を最低でも持っているので、それは流石に倒すのは無理だそうだ。

 権能【神魂神体】は、この権能を持つ神独自の固有の力を発揮するもので、パッシブとアクティブの両方の効果を最初から必ず持っている。

 当然、神に相応しい超強力な効果になるそうだ。

 そして【分霊法】と云えば、エルナの権能の【特異分霊法】にも、分霊を犠牲にして復活するアビリティが有るし納得だ。

 今のエルナには使えないから忘れてたけどな。

 ちなみに、【神魂神体】は分霊だと本霊にが一定以上のBALVが無いと有効にならないそうで、エルアクシア世界に属する神の分霊は、本霊がBALV3600以上に為らないと有効にならない。その為チナは【神魂神体】が発動していないらしく、神としての力を発揮出来ていないとの事。

 つまりチナは、後二回変身を残している様な物だ。

 【神魂神体】と上位分霊化で二回分ね。


 話が逸れたが、ドロップアイテムチェックの続きだ。

 湯聖石とは、浄化と癒し効果のあるお湯を生み出す力を持つ石で、魔力を込めて置けば何時でもその湯を出せると云う代物で、どこでも温泉に入れる石って感じだ。

 見た目は濃い青に金色の筋が入った少し透明感のある綺麗な石だ。

 イメージは、宝石用のラピスラズリに、少し透明感持たせた物かな。

 スぺシネイトの鉱骨ねぇ? もう手に入らない物なんだろうけど、エルナには使い道が無いんだよなぁ。かと言って手放すのは勿体無いので、取り合えず共有倉庫行き決定かな。

 スペシネイトの空間の神石かぁ、神石何だろう?

 そう思っているとソフィーちゃんが教えてくれる。

 如何やら神石は、魔石に神力が混じった魔石の事だそうだ。

 つまりこれは、空間属性の神力混じりの魔石と言える。

 これも、空間属性の魔力変換を覚えるのに使えそうだ。

 ちなみに、神力は星輝を扱い易くし力を抑えたもので、要するに星輝の下位互換だとか。更に云うなら、ステのAURつまりオーラが霊力、霊力の上位互換が神力と為っている。

 なるほど、通りでオリジナルアーツを作る時、スピリット系のアーツを加えると、何か色々と出たりする訳だ。

 ちなみに、星輝は神でも単純なエネルギーとしてしか扱えない。

 エルナが星輝を自由に扱えるのは、星霊と云う星輝その物が精霊に成った存在だから。他に星輝を上手く扱えるのは、同じ元星霊で親でもあるエルアクシア神と、星界に属する大神位なものだそうだ。

 要するに、ほぼ大神が使う力って事ですよねー。そりゃ、大神の加護を持った相手にも効く訳だよ。

 そして、普通の人達や神は、星輝や星煉のスキルが有ってもアーツを自然に覚え無い。修行してアーツを使える様に為ったとしても、アーツ版の『星輝』位しかできる様にならないし、そこからオリジナルアーツを作るのは到底無理との事。


 はいさて、次はダンジョンコアね。ダンジョンコアは何に使うんだ?

 魔石に魔宝石それに神石とか、似た感じのが多くないか?


『ダンジョンコアはランクにも依りますが。分かり易く言うと、魔宝石を大容量大出力にして、属性の縛りを無くし更に高次元魔力結晶体にした物です。属性の縛りが無い為汎用性が高く、尚且つ大容量大出力で自動的に魔力を貯める事が出来る為、大規模な魔導装置や都市エネルギーのコア等によく利用されます。ダンジョンコアの事を、その力と万能性から魔法石と呼ぶ事も在りますね』


 ほう、都市エネルギーですか。しかも、魔宝石の上位互換と云う事は、エネルギーが自動充電される訳だ。

 これはもう、飛空船の動力源にしろと言ってる様な物だよね。


「チナ、神骸飛空船・スペシネイトって言う飛空船が有るんだけど、ここに出しても大丈夫かな?」


「ふにゅ? 竜の姿のわちが余裕で入れるからのぅ、しゅごく大きくなければ多分大丈夫なのじゃ!」


 ギフトボックスから神骸飛空船・スペシネイトを取り出す。

 全体的なフォルムは、首長竜或いは首の長い亀の様で、船体は銀色の全長28m。現実の海を往く船に例えると、ジェット船位の全長だ。

 幅は太い所で10m位で、ヒレの様な翼を含むと大体16mと言った所か。スペシネイトが浮遊島だった頃の名残は有るが、飛行機っぽくなっていて船尾が一番高い。

 そしてその船尾には、飛行機の垂直尾翼と同じ様な物が付いている。

 船首は超音速旅客機を思わせ、スぺシネイトの頭にあたる細長く伸びた舳先には砲が付いている。スペシネイトのブレス攻撃を再現できるのだろうか?


「ふぅみゅ、なかなか綺麗な船なのじゃ」


「そうだねぇ。形は、元のスペシネイトの面影は有るけど、全くの別物だし随分と綺麗な飛空船に成ったよねぇ。そうだ、船内もチェックして置こうと思うんだけど、チナも一緒に確認する?」


「もちろん行くのじゃ!」

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